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2012年 09月 21日 ( 2 )

日銀の国債買入の下限金利の撤廃は輪番オペにも適用

 日銀は9月18・19日の金融政策決定会合において追加の金融緩和策を発表した。資産買入等の基金を70兆円程度から80兆円程度に10兆円程度増額する。この増額の対象となるのは短期国債5兆円程度、長期国債5兆円程度。さらに長期国債の買入を確実に行うため「買入」における「下限金利」(現在、年0.1%)を撤廃するとした。社債の買入についても同様となった。

 この長期国債の買入における下限金利の撤廃について、当日は市場関係者の間で一部混乱があったようである。これは日銀は日銀券ルールに基づく国債買入(輪番オペ)と、資産買入等の基金による国債買入を行っており、今回の下限金利の撤廃について通常の買入である輪番オペにも適用されるのかということであった。

 19日の決定会合後に発表された公表文の「金融緩和の強化について」によると、金融緩和を一段と強化する観点から「資産買入等の基金」につき、以下の決定を行った、とある。下限金利の撤廃については、長期国債の買入れをより確実に行うため、「当該買入れにおける入札下限金利(現在、年 0.1%)」を撤廃する。社債の買入れについても同様とする、としている。つまりこれには輪番オペに関しては触れていない。私自身はこの表明で、輪番オペも基金による買入も両方適用されると解釈してしまったが、確かに輪番オペもそうなるとはどこにも表記がなかった。

 これについては、総裁会見で記者から次のような質問があった。

「本日、長期国債買入れの入札下限金利を撤廃しましたが、輪番オペの下限金利についてはどうされるお考えでしょうか。」

 この質問に対する総裁の回答は以下の通り。

 「銀行券見合いの長期国債買入れの下限金利については、執行部にその運用が授権されていますが、資産買入等の基金に関する本日の決定との整合性を考えれば、入札下限金利は撤廃されることになります。その際、銀行券見合いの長期国債買入れについては、買入対象を残存 3 年以内に限っていないため、入札下限金利も全ての残存期間について撤廃されることになります。」

 つまり資産買入等の基金による国債の買入は、金融政策決定会合での決定事項であるが、輪番オペに関しては日銀の執行部マターとなっているため、こちらについては特に発表をしなかったものとみられる。ただし、資産買入等の基金に関する本日の決定との整合性を考えれば、入札下限金利は撤廃されることになると総裁は指摘していたが、このあたりは過去の経緯を知らなければ、市場参加者も理解しづらい部分であり、本来であれば公表文に注釈として付け加えるべきではなかったか。

 ちなみにもし「日銀券ルール」そのものについて、何かしら変更があるとすれば、これは執行部マターではなく決定会合マターになると思われる。これは下記の措置が2009年1月22日の金融政策決定会合で明文化されたためである。

参考、2009年1月「長期国債買入れの当面の運営について」
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/mok0901c.pdf

 輪番オペによる国債の買入対象は特に残存3年以内に限っていないため、入札下限金利も全ての残存期間について撤廃されることになると白川総裁は指摘していたが、まあ超長期とかの長い期間の金利については、さすがに意識することはないでしょうが、結果として全期間適用ということになる。

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by nihonkokusai | 2012-09-21 12:39 | 日銀 | Comments(0)

2012年6月末の日本国債(短期債除く)の保有者

 20日に日銀は今年4~6月期の資金循環統計を発表した。これによると2012年6月末時点の家計の金融資産は1515兆1479億円(2012年3月末速報値1513兆3619億円)、金融資産・負債差額は1159兆2780億円(同1145兆3902億円)となっていた。

 家計の金融資産は3月末より増加していたが、1500兆円近辺での頭打ち状態が続いている。ただし、現金・預金は844兆1202億円と過去最高となり、その一方で株式・出資金や投資信託の残高が減少した。。

 また、こちらも国債投資の原資となる民間の非金融法人企業の現金・預金は208兆4307億円となっていた。

 これに対して一般政府の金融資産は483兆2094億円(同487兆6465億円)、金融資産・負債差額はマイナス640兆7093億円(同611兆6411億円)となっており、負債総額は1123兆9187億円(同1099兆2876億円)となっていた。

 この資金循環統計を基に、2012年6月末時点の国債保有者別の残高と全体に占める割合を算出してみた。ただし、ここではマスコミで主に報じられている国庫短期証券を含んだものではなく、国債・財融債のみの、国庫短期証券は含まない数値を個別に集計しなおしたものである。一般的に国債の保有者の割合としては、こちらの数値が使われることが多い。(エクセルで国債・財融債のみ抜き出して、わかりやすい保有者別に集計し直すが、そこそこ手間が掛かる作業。集計し直したエクセルファイルがほしい方は御連絡を)。

 6月末の国債(国債・財融債のみ)の残高は、773兆1580億円(同760兆6926億円)と前回の3月末から12兆4654億円増加した(速報ベース)。国庫短期証券を加えると約940兆円となる。参考までに日銀の資金循環統計の数値は額面ベースではなく時価ベースとなっている。

 日本国債の最大の保有者は、銀行など民間預金取扱機関となり、金額で272兆172億円(同280兆1178億円)、全体に占める割合は35.2%(同36.8%)となった。次に民間の保険・年金が205兆9916億円(同199兆9108億円)の26.6%(同26.3%)、そして、日本銀行が79兆5140億円(同72兆3903億円)で10.3%(同9.5%)、公的年金が68兆7312億円(同69兆9124億円)の8.9%(同9.2%)、海外が53兆895億円(同47兆1546億円)の6.9%(同6.2%)、投信など金融仲介機関が38兆3454億円(同33兆571億円)の5.0%(同4.3%)、家計が27兆35億円(同27兆6729億円)の3.5%(同3.6%)、財政融資資金が7693億円(同8795億円)の0.1%(同0.1%)、その他27兆6963億円(同29兆5972億円)の3.6%(同3.9%)となった。

 前回の2012年3月末に比べて残高が大きく増加していたのが日銀で7兆1237億円増、続いて民間の保険・年金銀行の6兆808億円増、海外の5兆9349億円増、投信など金融仲介機関の5兆2883億円増となっていた(速報ベースでの比較)。

 これに対して大きく減少していたのが、銀行など民間預金取扱機関で8兆1006億円となっていた。

 1月から3月にかけて大きく買い越していた銀行が、期が変わったこともあり益出しの売りを入れてきたとみられる。これに対し、日銀は基金による国債買入等も進め残高は膨らみ、全体のなかのシェアも10%を越えてきた。相場環境も良かったことで、生保なども大きく買い越しており、3月末にかけて残高を落としていた海外投資家もあらためて買い越しに転じていた。

 国庫短期証券を含んだ数字でみると、海外は全体の8.7%のシェアとなり(日銀の参考図表を参考)、これまで最高だった2008年12月末の8.6%を上回り過去最高となったものとみられる。

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by nihonkokusai | 2012-09-21 09:43 | 国債 | Comments(0)
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