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2012年 09月 19日 ( 2 )

日銀は相乗効果型追加緩和を実施

 日銀は9月18・19日の金融政策決定会合において追加の金融緩和策を発表した。市場では一部に期待感はあったものの、追加緩和があるとすれば展望レポートの発表にタイミングを合わせるため10月との見方も強かっただけに、サプライズともなった。これを受けて日経平均は9200円台を回復し、さらに外為市場では円が売られ、ドル円は79円近辺、ユーロ円も103円近辺と円安が進んだ。

 今回の追加緩和決定は全員一致。資産買入等の基金を70兆円程度から80兆円程度に10兆円程度増額する。増額の対象となるのは短期国債5兆円程度、長期国債5兆円程度。資産買い入れ増額は2013年12月末を目途に完了し、このうち短期国債は2013年6月末を目途に完了する。これにより2012年12月末、2013年6月末と2013年12月末の基金の規模はそれぞれ65兆円程度、75兆円程度、80兆円程度となる。

 長期国債の買入を確実に行うため、買入における下限金利(現在、年0.1%)を撤廃する。社債の買入についても同様とする。

 9月16日の私のコラム(牛熊ブログ、若き知)で、下記のようなコメントをしていた。

「今回のECBとFRBの追加緩和により、為替の動き次第にかかわらず、日銀も何らかの手を打った方が良いのかもしれない。民主党の代表選や自民党の総裁選も控えているが、総選挙を見据えて、日本の政治は当面機能停止に陥る懸念もあり、このためECBやFRBとともに、日銀も景気回復に向けての協調姿勢見せれば、市場はそれを好感しよう。また直接関係はないものの、10月にはIMFの年次総会が日本で開催されることで、日本の政策そのものにも注目が集まろう。そのための追加緩和というわけではないが、協調性も意識すれば、9月18日~19日の金融政策決定会合は良いタイミングとなるのかもしれない。これは実質的な効果はさておき、あくまでアナウンスメント効果を意識しての話ではあるが。ただし、日銀の白川総裁は円高是正のため「劇場型金融政策」を求める声に対し「サプライズは長続きしない」として否定的な姿勢を示しており、この意味では追加緩和の可能性はそれほど高いわけではない。 」

 意外にも白川総裁が否定したはずの、劇場型金融政策に結果としてなっている(たぶん会見でこれは否定されると思うが)。個人的には今回の日銀の追加緩和は期待していたが、予想としてはそれほど高くないかもしれないと思っていたのは、この総裁の「サプライズは長続きしない」との発言も意識したものであった。しかし、結果は予想以上に思い切った追加緩和を行ってきたといえる。

 また、本日19日の私のコラム(牛熊ブログ、若き知)では、下記のようなコメントをした。

 「9月18日、19日の日銀の金融政策決定会合でもし追加緩和が実施されれば(どうやら可能性は薄いようだが)、「相乗効果型金融政策」となることが期待される。ただし、考えられる追加の緩和手段は限られる。もし基金による国債買入を5兆円程度増額するには、下限金利の撤廃をもう少し長めの年限まで適用させるなり、買入国債の対象となる年限をさらに長期化する必要も出てくる。今回は7月に行ったように固定金利オペを減額し、その分を短国の買入に切り替えるのではないかとの見方もある。これは実質的な追加緩和ではないが、追加緩和と同様の効果をもたらすとして行えば、アナウンス効果は出るかもしれない。」

 追加緩和の可能性は実はそれほど薄いものではなかったようであった。今日、安住財務相は閣議後の会見で、同日まで行われる日銀の金融政策決定会合について、米国の量的緩和第3弾(QE3)はじめ先週以来の動きも含め、日本が何をすべきか、今すべきかどうか議論があると思うとの考えを示した(ロイター)。このあたりの発言内容を見ても、どうやら政府からも相乗効果型金融政策への期待はそれなりにあったものと予想される。このあたりも意識しての追加緩和の決定であったのかもしれない。今回の日銀の追加緩和は良い意味で予想を裏切られ、期待に沿った格好での追加緩和となったと思われる。たぶん10月に単独で行うよりも、今回の方がタイミングから見ても適切ではなかったかと個人的には思っている。それにしても、いろいろな意味においてかなり思い切った追加緩和であった。

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by nihonkokusai | 2012-09-19 13:59 | 日銀 | Comments(0)

ECBは背水の陣型金融政策、FRBは後方支援的金融政策か

 日銀の白川方明総裁は8月24日の大阪市内での講演・会見において、円高是正のため「劇場型金融政策」を求める会場の声に対して、白川総裁は「普段から金融政策が理解されていればサプライズはない。驚かせるより、よく理解されるのが大事」と反論した(ロイター)。

 個人的には、金融引き締めの際には市場に事前に浸透させることが必要であり、金融緩和の際にはサプライズの方が効果的と考えるが、白川総裁が指摘したように効果が一時的であるのも確かである。しかし、それでもその際のショックを市場は覚えており、日銀の金融政策の変更の影響度をまざまざと感じさせることにもなり、その意味では効果的と考えられなくもない。それは裏を返すと金融政策への市場の依存度を高めさせる結果ともなる。

 現状型の金融政策を試した例としては、今年1月25日のFRBによる物価に対してのゴールの設定と2月14日の日銀によるバレンタイン緩和(物価の目途の設定)がそうではなかったろうか。しかし、どうやらFRBも日銀もこれについては、あまり成功例としは見ていない節がある。外部から見れば、ついにFRBも日銀もインフレターゲット政策を導入かとみられたが、どうもそのようには受け取ってほしくない感じのようである。日銀としては、結果として劇場型金融政策を試す例になったが、これが金融政策の良い事例とはならなかったのではなかろうか。

 その後のFRBやECBの動きを見ても、たしかに劇場型金融政策を行ってはいない。どちらかといえば、これまでのような「予告型の金融政策」とも言える。

 9月6日のECBによる国債買入については、ユーロ圏の危機回避のためドラギ総裁がユーロ安定のために「あらゆる手段を取る」と表明し、やれることはやるとして退路を自ら断ってしまい、「背水の陣型金融政策」を行った。

 それに対して9月13日FOMCでの決定は、デュアルマンデートのうち、金融政策には直接影響を与える術のない雇用の回復を旗印にしたものであった。米国経済の回復、ECBの国債買入とタイミングを合わせて、リスクオンの動きを加速させるといった効果も考えた上でのものであろうが、実際には大統領選挙を踏まえ、現職大統領に対する「後方支援的金融政策」とも言えた。

 大統領選挙を控えての10月に入ってからのあからさまな金融緩和は当然非難されよう。効果的なカードは限られるため、大統領選挙後、財政の崖への対応等見定めて、カードを切るのが適切と思われた。しかし、共和党のロムニー候補はFRB議長は再指名せずと発言し、ライアン副大統領候補も追加緩和策は悪い考えとの認識を示した。これに何も感じないのがおかしいと言えばおかしい。自らの進退はさておき、追加緩和も否定されてはたまらない。ここで追加緩和のカードを出して、現職大統領にとって再任のカギともなる雇用に対し少しでも働きかけたいとの気持ちがあったとしてもおかしくない。

 これに対して9月18日、19日の日銀の金融政策決定会合でもし追加緩和が実施されれば(どうやら可能性は薄いようだが)、「相乗効果型金融政策」となることが期待される。ただし、考えられる追加の緩和手段は限られる。もし基金よる国債買入を5兆円程度増額するには、下限金利の撤廃をもう少し長めの年限まで適用させるなり、買入国債の対象となる年限をさらに長期化する必要も出てくる。今回は7月に行ったように固定金利オペを減額し、その分を短国の買入に切り替えるのではないかとの見方もある。これは実質的な追加緩和ではないが、追加緩和と同様の効果をもたらすとして行えば、アナウンス効果は出るかもしれない。

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by nihonkokusai | 2012-09-19 09:26 | 中央銀行 | Comments(0)
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