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2012年 09月 10日 ( 2 )

日米欧の金融政策を決める人達の男女比

 ロイターによると欧州議会は、ルクセンブルク中銀のメルシュ総裁の欧州中央銀行(ECB)専務理事就任に向けた公聴会開催を延期した。ECB内の人事に男性への「システミックな」偏りが見られることが理由だそうである。欧州議会では、ECBの運営組織が男性のみで構成されていることや、女性の候補者が検討さえされないことに懸念が示されていたそうである。

 日銀の政策委員も女性は白井委員一人だけであるが、審議委員の選定にあたっては男女の割合などより、デフレ脱却に向けて、というより政府の意向を反映した人事かどうかだけで判断された気配がある。まあ、それでも一人いるだけでも、まだましともいえる。

日銀の政策委員
http://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/index.htm/


 ECBの定例理事会の議決権を持つメンバーは、ECBの役員6名(総裁、副総裁、理事4名)と域内17か国の中央銀行総裁も加えて23名。このうちECBの役員は、イタリア出身のドラギ総裁(前職はイタリア銀行総裁)、ポルトガル出身のコンスタンシオ副総裁(同ポルトガル銀行総裁)、専務理事としてベルギー出身のプラート氏(元IMFのエコノミスト)、ドイツ出身のアスムセン氏(同財務次官)、フランス出身のクーレ氏(同財務省のチーフエコノミスト)という顔ぶれ。

 理事が一堂に会した写真はこちら。男性ばかりである。写真には5月末に退任したゴンサレスパラモ氏も。
http://www.ecb.int/ecb/orga/decisions/eb/html/index.en.html

 イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は、総裁1名、副総裁2名、理事2名と、財務大臣により任命された外部委員4名の計9名で構成されている。キング総裁は大学教授、BOEのチーフエコノミスト・副総裁を経て現職。ビーン副総裁は財務省、大学教授、BOEのチーフエコノミスト・常任理事を経て現職。ダッカー副総裁はマーチャント・バンク、BOE理事を経て現職。常任理事はBOEの金融政策と金融調節担当者が選ばれ、現在はデール理事とフィッシャー理事。外部委員のブロードベント委員は財務省の経済顧問、ゴールドマン・サックスのエコノミスト。マイル委員はモルガン・スタンレーのチーフエコノミスト。ボーゼン委員はアメリカ人のエコノミスト、ウィール委員はケンブリッジ大学で経済学を教えていた。

 こちらも一堂に会した写真はこちら。男性ばかりである。
http://www.bankofengland.co.uk/monetarypolicy/Pages/overview.aspx


 ただし、FOMCのメンバーの7名の理事に関しては、女性の比率が高くなっている。バーナンキFRB議長はプリンストン大学の教授等の後FRB理事、CEA委員長などを経てFRB議長に就任。イエレン副総裁(女性)は元サンフランシスコ地区連銀総裁。デューク理事(女性)は銀行界出身、タルーロ理事は大学教授やクリントン政権時代に大統領補佐官を務めた。ラスキン理事(女性)の前職はメリーランド州金融規制局長、NY連銀でも働いていた経歴を持つ。パウエル理事はブッシュ大統領の下で財務次官を務め、スタイン理事はハーバード大学の経済学教授。

 こちらのメンバーの写真はこちら。4対3の割合。
http://www.federalreserve.gov/aboutthefed/default.htm

 これを見る限り、欧州では金融政策は男性の仕事と意識されているようで、米国では女性の割合が高い。日本ではこれまで政策委員の9人中1人。これを見ても日本の金融政策は米国より欧州の影響を強く受けているようにも思えるような。たしかに日銀のモデルになったのはベルギーの中央銀行ではあったが。


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by nihonkokusai | 2012-09-10 16:54 | 中央銀行 | Comments(0)

デフレの意味、日銀の白川総裁の講演より

 日銀の白川総裁は6日の講演において、デフレの問題について指摘している。デフレの問題については、まさに日銀が矢面に立たされている問題であり、どのような分析をしているのか興味深い。

 総裁は日銀が毎四半期行っている「生活意識に関するアンケート調査」の結果から、物価の上昇については8割強の方が「どちらかと言えば困ったことだ」と回答したのに対し、物価の下落については、「どちらかというと好ましい」という回答が三分の一程度を占めている点を指摘した。

 これに対し、新聞などでは、国民の声としてデフレからの脱却が必要であるという記事を多く目にするとして、デフレとは「物価の継続的な下落」を意味することを考えると、このふたつの事実は矛盾するが、このことはどのように解釈すべきかと問うている。

 これについては総裁が指摘しているように、「デフレ」という言葉が様々な意味で使われているためであることは確かであり、ある意味、都合良く使われているものであるとも言える。

 「ある人はデフレを物価の継続的な下落という意味で使う一方、別の人は景気の悪いことという意味で使い、また別の人は賃金が下がっていることという意味で使っています。資産価格の下落をデフレという言葉で表現している人もいます。」

 政治家あたりから日銀に求められるデフレ解消とは、景気や雇用面を意識した面が強いように思われる。あたりまえだが、物価だけ上昇させても、政治家にとってはデフレ解消とは認識しないであろう。物価だけを上げたければ、公共料金の軒並みな値上げなどの強攻策でも可能であるはず。むろんそのようなことは選挙を意識すればできるものではないであろうが。

 また、資産価格の下落については、まさにその資産を保持している資産家や企業、さらに市場関係者などがデフレとして強く認識しているものではないかと思う。

 「実質成長率が停滞したままで単に物価だけ上がっても名目成長率は上昇しますが、それは、各種のコストが上昇し、そのコスト転嫁から物価が上昇するような場合であり、国民の生活水準は向上しません。」

 「多くの方々が望んでいるデフレからの脱却とは、単に物価さえ上がればよいということではなくて、企業収益や雇用・所得の増加など、より良い経済状態の実現を指しているものと理解されます。エコノミストの言葉に翻訳すると、実質成長率の上昇です。」

 実質成長率が高まれば、需給ギャップは縮小し、物価も上昇し、デフレは解消に向かう。問題はどうすれば実質成長率が高まるかということになる。これについて総裁は、「成長力強化の取り組みと金融面からの後押しの両方が必要だ」としている。

 そこで大きな問題としているのが、円高の問題である。日銀に限らず、円高の経済・物価への影響については、日本経済にはマイナスの影響を及ぼす可能性の方をより強く意識する必要があることは確かであろう。

 これに対して総裁は、何よりの為替レート変動対策は競争力の強い商品・サービスの開発としている。ただし、それがなかなか難しいのが現在の日本企業姿でもある。特に以前は競争力の優れていた電機メーカーのここにきての凋落ぶりを見ても、競争力の強い商品を生み出すことや、その競争力を維持することの難しさを示している。

 「やや長い目でみた場合、グローバル化した経済で最終的に鍵を握る競争力とは、差別化された商品、付加価値の高い商品であると思います。」と総裁は指摘しているが、これにはたとえばアップル社の製品などが典型的なものとなろう。これには長年培われてきた技術とともに、時代の流れを読むセンスなども求められよう。このあたり特に家電などハイテクセクターなどが昔に比べて、日本はやや後退してしまっているような感じも受ける。ここを梃子入れするには、何が必要なのか。それには日銀の金融緩和策というよりも、その技術力を向上させ、センスを磨く下地作りがまず必要になるようにも思われる。

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by nihonkokusai | 2012-09-10 09:46 | 日銀 | Comments(0)
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