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2012年 08月 02日 ( 2 )

つなぎ国債発行による影響

 7月31日に2012年度の赤字国債を発行するための特例公債法案の修正案が、閣議決定された。

 基礎年金の国の負担分を二分の一に維持する2.6兆円の財源について、政府は当初「交付国債」を発行して対応するとしていた。消費税率の引き上げの見通しが立っていないとなれば「つなぎ国債」の発行は難しいとし、安住財務大臣は「交付国債」を発行する案を示していたのである。

 ところが、交付国債を発行した場合には、将来の年金支払いに備えて保険料を原資とした年金特別会計の積立金を取り崩していったん穴埋めする必要がある。このため厚労省は「一時的であっても積立金を取り崩せば、年金財政への信頼が揺らぐ」と反発していた。結局、自民、公明両党の反対により、社会保障・税一体改革関連法案に関する民主党と自公両党による3党合意でこれは撤回されることが決まった。

 つなぎ国債としての年金特例公債の償還財源は、審議中の社会保障・税一体改革法案の施行による消費税の増収分を充当することになる。これに伴い、政府は今年度内に補正予算を編成し、年金特例公債の発行による歳入の追加との年金特別会計への繰り入れを行うことになる。

 財務相は今年度想定される2.6兆円の年金特例公債(つなぎ国債)の増発分に関して、カレンダーベースの発行額は変更しない方針を明らかにしている。この分は前倒し発行分の取り崩しで行うことで、今年度予定されているカレンダーベースでの発行額149.7兆円に変化はなく、このため国債市場への影響も限定的となる。

 ただし、自民党は31日の役員会で、この修正案にも現時点で反対する方針を確認しており、衆院で可決される可能性は高いようであるが、参院で可決・成立されるかどうかは見通せない状況となっている。

 政府・民主党は、特例公債法案の衆議院での採決について、消費税増税法案の参議院での採決前に行う構えだが、自民党はこの法案を解散・総選挙に追い込むためのカードというか人質としているようである。

 国債市場にとり、つなぎ国債が発行されても国債需給にはほとんど影響されないため、材料視していない。ただし、特例公債法案が成立しない場合には、10月中に財源がほぼ枯渇するとの見通しも示されており国債市場への影響も考えられる。危険な綱渡りは避けるべきではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2012-08-02 11:07 | 国債 | Comments(0)

基金による国債買入で再び未達が発生。今後の対応は

 日銀が6月1日に実施した基金による国債買入において5月16日以来の未達が生じた。日銀は残存期間1年以上2年以下、および2年超3年以下を対象にした国債の買入をオファーしたが、2本とも応札額が買入予定額に届かない未達となった。残存1年以上2年以下は、買入予定額5000億円に対して応札・落札額が3594億円、残存2年超3年以下は買入予定額2000億円に対して応札・落札額が964億円にとどまった。

 7月30日に実施された2年国債(利率0.1%)の入札では、最低落札価格100円00銭5厘(0.097%)、平均落札価格100円00銭6厘(0.096%)となり、落札利回りは2005年6月の入札以来の0.1%割れとなった。応札倍率も11.83倍とやはり2005年6月の入札(268.48倍)以来の二桁台となるなど、かなりの需要がみられた。

 公社債投資家別売買高をみると、外国人は昨年10月以降、10兆円を超える短期債の買い越しが継続している。

 7月5日に開催されたECB政策理事会では、政策金利であるリファイナンス金利を0.25%下げて、1999年のユーロ導入以来の過去最低水準となる0.75%とすることを決定し、さらに民間銀行がECBに預金を預け入れる際の預金ファシリティ金利も0.25%引き下げられゼロ%とした。このため、預金ファシリティに預けられた資金が、日本の短期債に流れ込んでいるとの見方もある。しかし、これについては為替リスクが伴う上、今朝の日経新聞にもあったように、預金ファシリティに滞留していた資金は、利子はつかないが安全な当座預金に向かったと思われ、日本の短期債への影響はなかったのではないかと思われる。

 ただし、すでにドイツなどの2年債利回りはマイナスとなっており、安全資産としてドイツなどの中短期債を購入していた投資家が、その一部を買わせリスクを負っても日本の中期債に振り向けてきている可能性はありうる。

 もちろんその前に、短期国債を主体に大口の買い手となっている日銀の存在も、中短期債の需給に逼迫感を強めさせている事も確かで、ここに海外投資家の買いが追い打ちをかけた結果での未達現象であるとも言える。

 日銀は7月12日の決定会合で、固定金利方式・共通担保資金供給オペ等で未達となるケースが多く出てきたことから、固定金利方式・共通担保資金供給オペを5兆円減額し、その分短国買入を5兆円増額し、さらに短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃した。その後、7月18日には、通常の長期国債買い入れ(輪番オペ)の残存期間1年以下を対象に0.1%の下限金利を撤廃していた。

 それぞれ、日銀が目標どおりの国債を買い入れて資金を供給しやすくするための措置であるが、それでも今回のように残存1年以上の国債買入で未達が発生したことで、1年を越す期間の国債買入の下限金利0.1%の撤廃観測も出ていたようである。

 国債買入の下限金利の撤廃は、金融政策とは異なる技術的なものであり、これを金融政策決定会合で決める必要はなく、7月18日のようにいつ事務的に発表されようが問題はない。7月12日の基金の国債買入の下限金利の0.1%等も金融政策の変更とは異なるものであった。ただし、実際に日銀が残存1年を越す国債買入の下限金利を撤廃するかどうかは、不透明であるが、今後札割れが度重なれば、その思惑は強まるとみられる。


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by nihonkokusai | 2012-08-02 09:41 | 日銀 | Comments(0)
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