牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

2011年 12月 23日 ( 1 )

何故、格下げで米国債も日本国債も売られないのか

 21日のR&Iによる国内格付け会社として初の日本国債の格下げは、全くと言って良いほど無反応だった。8月のS&Pによる米国の格下げの際も、売られたのは米国債ではなくてむしろ米株であった。格付け会社のソブリン格付けは、あくまで民間会社の意見に過ぎない。このため、そんなものに影響される方がおかしいと、日本国債や米国債からは言えそうである。

 それでは、ユーロ圏の国債(ドイツを除く)についてはどうであろう。格下げに影響されて国債が売られ、長期金利の上昇で、さらに国債による資金調達が困難となり、それでまた格下げされるというような悪循環に陥っているのは何故なのか。

 日本国債や米国債と、ユーロ圏の国債(ドイツ国債は除く)の根本的な違いは何か。

 それは信用という言葉に尽きると思う。

 ユーロ圏の国債はギリシャの信用が毀損されたことで、17個入っているミカンの箱の底にある1つが腐りかけ、それにより周りのミカンも腐り始めてしまった。腐ったミカンは取り除ければ良いが、ユーロというシステム上、そうはいかず、なんとか腐るのを押さえようとするのだが、それがなかなかうまくいかない。ユーロ圏諸国の格下げにより、腐りかけのミカンに対して食べられないというレッテルを貼られることになり食指を動かす人が余計にいなくなってしまうことで、影響度が大きくなる。

 これに対して、米国債も日本国債も多少腐る心配があり、格付け会社がそれを指摘しようが本当に腐ることは、ユーロ圏の国債に比較して、今は考えづらいとしてミカンそのものの相対価値は上がっている。

 米国は後退したといえど基軸通貨を持つ大国である。

 日本は中国に抜かれたとは言え、経済大国であることに加え、あれだけの国債を発行してもビクともしないだけの、買い付け可能な国内資金を維持している。国内資金はそう簡単には枯渇しないであろうとの認識も強く、枯渇するまでは買っても良いと思われている。

 とにかくいまのところは、米国債や日本国債、ドイツ国債、さらに英国債も含めて、市場からの信用度は非常に高い。さらに国債をいつでも換金できるという流動性リスクにもすぐれている面もあり、短期国債を中心に余剰資金が流れ込んでいる。

 ただし、その信認もあくまで市場参加者の期待により形成されていることに注意しなければいけない。何かしらの出来事でその信用が一気にひっくり返される懸念もないわけではない。

 人間の体はうまく出来ているもので、予測できない危険性ばかりに神経を使っては身が持たないので、それを思考から排除させる仕組みがあるように、日本国債を購入している投資家も、予測できないリスク、いや予測できるようなリスクにさえ、それを思考から排除しなければ、資金運用などは出来ないような状況となっている。

 つまり、市場参加者の間で日本国債は大丈夫であろうとの期待が形成され、それが信用力を生み出している。そんな信用力は実は盤石ではなく、非常に脆いものでもある。

 日本国債はいくらでも発行しても問題ないと言う評論家がいるが、市場に少しでも携わった者が決してそんなことは言えないのは、信用力の移ろいやすさも理解しているためだと思う。でもまだ買うしかないというのが本音であろう。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2011-12-23 11:02 | 国債 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー