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2011年 12月 21日 ( 1 )

国内格付け会社による初の日本国債格下げの影響

 21日に格付投資情報センター(R&I)は、日本の外貨建て・自国通貨建て発行体格付けをAAAからAA+に引き下げると発表した。格付けの方向性は安定的とし、格付けの見直しに入っていることを示すレーティング・モニターは解除する。日本の格付け会社が日本国債の格付けを引き下げるには初めてのことになる。

 11月30日にR&Iは、日本の発行体格付をモニター(格下げ方向)に指定すると発表しており、来年度予算編成や消費税の引き上げの動向を見ながら、格下げを行うであろうとの見方も強かったことで、今回の格下げによる市場への影響は軽微であろう。実際にR&Iの格下げ発表後の債券市場はピクリとも動かず、海外格付け会社による格下げ時よりも反応薄となった。まあ、国内投資家はこれで日本国債を売るというわけにもいかず、海外投資家にとりムーディーズやS&Pの動きの方を注視しているであろうから、やはりR&Iの格下げでは動かなかったとみられる。

 たしかに格下げによる直接的な影響は限定的であろうが、国債の格下げは他の債券の格付けにも影響してくるとみられ、R&Iは日本ソブリンを格下げ方向でレーティング・モニターにしたことに伴い、15の政府系機関等の発行体格付、長期個別債務格付を格下げ方向のレーティング・モニターに指定しており、こちらのほうが多少なり影響する可能性があるため、こちらの動向にも念のため、注意しておく必要がある。

 日本国内の代表的な格付け会社に格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)があるが、このうちR&Iは2001年3月から日本国債格付けの見通しをネガティブとしていたが、格下げそのものは見送ってきていた。しかし、いまになって格下げを実施してきたのは何故なのか。R&Iは今回の格下げの理由として、消費増税が実現しても今後も相当の間、政府債務残高の増大は避けられず、すでに先進国中最悪の水準にある同残高の対国民総生産比率を安定化させていくメドが立っていないとの認識を示したそうであるが、これは今に始まったことではなく、すでに年々その状況は悪化傾向にある。

 とはいえ、今回の国内格付け会社による初の日本国債の格下げは、警告として受け取ることも必要であろう。消費増税に対して民主党内部でも反対の声が強まっている。なにも消費増税だけが財政再建への道ではないが、これまでその消費増税を担保に国債を増発し続けてきたこともあり、本来、消費増税は不可避であり、その上でさらなる財政再建を進めなければ、現在、欧州で起きていることが日本でも起こりうる。

 日銀が発表した7~9月期の資金循環統計によると、2011年9月末時点の家計の金融資産は1471兆1268億円、金融資産・負債差額は1116兆8574億円となっていた。家計の金融資産はこのところ1500兆円近くでの頭打ち状態が続いている。これに対して一般政府の金融資産は482兆7287億円、金融資産・負債差額はマイナス609兆9853億円となっており、負債総額は1092兆7140億円となっていた。この数値をどう捉えるかによるが、日本国債を国内資金で賄えるには限度があることは確かである。個人だけでなく事業会社の余剰資金も国債に向かっており、まだ多少の余地が残されていることも確かであろう。しかし、それでも復興債を合わせれば年間50兆円以上の新規国債を発行している状況がこのまま続けば、いずれ国内資金では賄えなくなることは確かである。

 7~9月期の資金循環統計からは国債の保有者別のシェアも確認できるが、国庫短期証券を含んだ数字でみると国債残高に占める海外のシェアは全体の8.2%となり、これまで最高だった2008年9月末の8.5%に次ぐ水準だった。国債・財融債だけの数字でも、海外投資家のシェアは、6月末の5.7%から9月末は6.3%に上昇していた。しかし、これはあくまで欧州の信用不安を受けての一時的に資金の日本国債への待避であるとみられる。もしこのまま日本国債の海外保有を増加させられれば、国内資金で賄えなくなってもその分を補えるが、長期金利が1%を割り込む水準の国債を海外投資家が保有し続けることは考えづらい。そして、海外投資家は日本国債の信用力に問題ありと判断すれば、その資金をすばやく違う資産に移す可能性も強く、国債の価格、つまり金利そのものが不安定となる懸念も出てくる。いったん日本国債の金利が上昇し始めれば途中で止めることが非常に難しくなり、そうなると日本の財政問題は重大な局面を迎える可能性がある。


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by nihonkokusai | 2011-12-21 16:46 | Comments(0)
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