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2011年 11月 29日 ( 1 )

日本国債、急落の要因

 昨日の債券先物は大幅続落となり142円を割り込んでいる。23日のドイツの10年国債入札での札割れをきっかけに、日本の債券市場の地合は大きく変化してきている。債券先物の日足チャートを見ても、急激な調整が入ってきていることがわかる。

 今回の日本の債券相場の下落要因として、米国債や英国債、そして日本国債と同様にリスク回避のための安全資産として買われていたドイツ国債に異変が起きたことが挙げられる。入札における大幅な札割れがドイツの国債に対する需要が減少と捉えられ、その結果、ドイツ国債の利回りが上昇した。ユーロ圏での信用不安が盤石とみられていたドイツに及んだことで、ユーロ圏内の信用不安がさらに高まるとともに、資金の逃避先とされている国債への警戒感も出てきた。

 ドイツと同様に経常黒字国ではあるものの、イタリア以上に債務状態が悪化している日本に対して、多少なり警戒感が出てきたことで、日本国債にも売りが入った。これは10年債利回りで1%割れという超低利回りとなっていたことや、債券先物は8月から142円から143円でのかなり高い水準でのレンジ相場が続いていた反動によるとも言える。

 きっかけは何にしろ、このような調整売りが入ることは過去の値動きを見ても当然予想はできていたと思う。しかし、何をきっかけに動くのかは予測できなかった。そのきっかけが、たまたま今回のドイツ国債の札割れであったと言える。つまり、日本国債への信用そのものが後退した結果として、債券先物が売られたと判断するのはまだ早計であろう。

 ただし、市場は財政再建にむけた野田政権への動きは歓迎しているものの、消費税の引き上げについて民主党内で意見が分かれるなど、財政再建に向けた実現性には多少警戒感も出てきているのも事実である。年末も迫り来年度の国債発行計画なども意識され、積極的には買いづらいという環境にもあり、その分、売りが入りやすかった面もある。

 債券先物は8月上旬から続いていたレンジ相場の下限を割り込んだことにより、当面は下値を模索する展開になることが予想される。チャートを見る限り、いずれ債券先物での140円半ば、10年債利回りでみると1.1%台の後半あたりまで下落してくる可能性もありうる。これは今年の5月あたりから7月上旬にかけての相場の下限となっているところである。このあたりまでの下げがあったとしても、あくまで調整と見ておいたほうが良いと思われる。日銀の包括緩和政策は当面継続されることが予想され、10月の全国CPIのコア指数が前年同月比マイナス0.1%となるなどしており、長期金利が一方的に上昇することは考えづらいためである。

 日本の国債相場の下落は欧州の信用不安が渦巻く最中、市場参加者を含めてかなり神経質にさせることも確かである。水準訂正ではあるものの、そこに日本への信用不安が多少なり生じると下げのピッチを早めさせ、予想以上の下落となり、その価格下落によりさらに売りを誘発させるような事態が起きかねない。このあたりは、日本も財政再建に向けた努力を怠ってはいないことを内外に示す必要がある。財政再建に向けて消費増税すらできないと見なされれば、それが日本国債の利回りに直接反映される恐れもある。

 信用リスク・プレミアムと呼ばれるものがある。日本語でのプレミアムとは楽しいおまけのような印象があるが、この場合のプレミアムとは信用不安に伴い上乗せされる金利分である。それには方程式は存在しない。まさにマーケットの不安心理が反映されるものである。ギリシャの20%を超える利回り、イタリアの7%を超える利回りは日本国債には無縁と片付けられるものではない。いったん不安心理が高まってしまうと、その利回り上昇は急激なものとなることを今回のユーロ圏の国債が教えてくれている。そうさせないためにどうしたら良いのか。それはまず政治家が考えるべきものであろうが、その前に日本国債を間接的に保有している国民こそが真剣に考えなければならないものである。


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by nihonkokusai | 2011-11-29 10:02 | Comments(0)
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