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2011年 11月 09日 ( 2 )

牛熊ゼミナール金融の歴史第30回 金本位制の導入

 ナポレオン戦争により、イングランド銀行の保有する貴金属が激減し、一時的に兌換が停止されました。さらにナポレオン戦争の終結後、輸入が増大したことで金の流出が起きました。これにより紙幣価値が大きく下落し、インフレが発生しました。

 経済学者デイビッド・リカードは1810年に「地金の価格高騰について、紙幣暴落の証明」という小論を発表し、これをきっかけに金本位制に向けて議会に専門の委員会が作られました。1816年に貨幣法が成立し、これにより世界で始めてイギリスで金本位制が導入され、ソブリン金貨と呼ばれる1ポンドに相当する金貨が鋳造されたのです。

 イングランド銀行は1833年の銀行条例によって額面5ポンド以上のBOE券が法貨として認められ、同時に割引率も自由に変更が可能となりました。さらに1844年のイギリスの銀行法(ピール条令)によって、イングランド銀行以外の民間銀行が発行していた流通通貨の額を増やすことができなくなり、事実上イングランド銀行が通貨の発行権を独占することになりました。これは1820年代の英国の金融危機を受けてのものですが、これによりイングランド銀行は中央銀行としての地位を高めていったのです。

 ピール条例はイングランド銀行券の発行高を金準備による制約を課して、厳格に制限しました。この厳格な規制によりイングランド銀行券の価値は金と等しく見なされました。つまりイングランド銀行は、金と交換できるポンド表示の兌換紙幣を発行し、イングランド銀行が発行した紙幣と同額の金を常時保管することで、金と紙幣との兌換を保証することとなったのです。

 こうしてポンドはその通貨価値が金と等しくなったことで国際的にも信用度を高めて行きました。1816年の金本位制採用から1914年の金本位制度停止までの約100年近くの間、金平価によるポンドの信認が維持され、国際通貨として通用するようになり、国際間の取引がポンドを通じてロンドンで行なわれるようになったのです。これによりロンドンが世界の貿易金融の中心地となり、世界の銀行とも呼ばれるようになりました。イギリスに続き1871年にドイツ、1873年にアメリカ、1876年にフランスなど、欧米主要国は金銀複本位制や銀本位制などから金本位制へと移行しました。


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by nihonkokusai | 2011-11-09 18:32 | 金融の歴史 | Comments(0)

ECBによるイタリアへの対応

 今月1日にECB総裁に就任したのは、イタリア出身のマリオ・ドラギ氏である。その結果ECBの役員会は、イタリア出身のマリオ・ドラギ総裁、ポルトガル出身のヴィトル・コンスタンシオ副総裁に加え、スペイン出身のゴンザレス・パラモ氏、ドイツ出身のユルゲン・シュタルク氏、ベルギー出身のピーター・プラート氏、イタリア出身のビーニ・スマギ氏の6名の専務理事で構成されている。

 ちなみにECB役員会はECBの執行機関となっており、最高意思決定機関であるECB理事会が策定するガイドラインに従い金融政策を実施する(日銀のサイトより)。

 ECB理事会にはユーロ圏の17か国の中央銀行総裁も加わる。このため、マリオ・ドラギ総裁、ビーニ・スマギ専務理事、そしてイタリア中銀のイグナシオ・ビスコ氏総裁と、23人のECB理事会メンバーのうち3名のイタリア出身者が存在する。

 イタリアのベルルスコーニ首相は10月にビーニ・スマギ専務理事に対し、フランスとイタリアの関係がこれ以上冷え込むのを防ぐため、フランス出身のトリシェ前総裁が抜けることで役員会の席をフランス人に譲るとして、早期に辞任するよう求めていた。

 しかし、ビーニ・スマギ専務理事は任期が2013年までとなっており、辞任の強制はECBの独立性に対する攻撃であり、スマギ理事はECBの支持を得ているとしてそのまま専務理事にとどまっている。これには、理事会メンバーであるメルシュ・ルクセンブルク中銀総裁なども理解を示すような発言があったが、政治からの独立性を意識すれば妥当であろう。

 そして、そのメルシュ・ルクセンブルク中銀総裁は、もしイタリアが確約した改革を実行しないと判断した場合、ECBによるイタリア国債の買い入れを停止する可能性をECB内で、討議していたことを明らかにした。

 11月3日のECB理事会において、国債の買入増額などは行わず利下げを行った。ECBによる国債買入拡大にはドイツなどの反対があったためとみられるが、メルシュ総裁の発言を見る限り、そもそもイタリア国債の買入増額を議論できるような状況にはなかった可能性がある。

 メルシュ総裁を含めECB理事会メンバーからは、ユーロ圏債務危機解決に向けECBが最後の貸し手となることは望まないとの発言が繰り返されている。メルシュ総裁は責任を果たさない政府を救済するのがECBの仕事ではないとして、名指しはしていないものの、その政府は婉曲的にギリシャ、そしてイタリアを示していたものと思われる。

 イタリア政府は緊縮財政を確実に進めるため、IMFの監視を受けることで合意したと伝えられている。イタリアのベルルスコーニ首相は、2013年までに財政の均衡化を目指す一連の措置を提示したが、これが実行に移されるのかどうか他のユーロ加盟国、そしてECB内でもそれを危ぶむ見方も強いようである。

 欧州の信用不安がギリシャから直接、イタリアに向かいつつあり、これを回避するにはイタリアそのものが財政再建に積極的にならざるを得ず、だからこそ異例ともいえるIMFの監視も受け入れたとみられる。

 イタリア出身のマリオ・ドラギ総裁を含め、3名のイタリア出身のECB理事会メンバーは、かなり難しい立場に置かれているようにも見える。ドラギ総裁として最初のECB理事会では利下げという手段をとってきたが、そのカードは限られている。出身国を信用不安から救うためには国債買入増額とかではなく、財政再建を促すことが重要となる。しかし、それは国民の痛みを伴うものであり、また政権の実行能力にも問題が残る。イタリア国民の意識を変えられるものなのか、ECBによるイタリアへの今後の対応についても注意しておく必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2011-11-09 08:16 | 中央銀行 | Comments(0)
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