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2011年 10月 20日 ( 2 )

牛熊ゼミナール金融の歴史第16回 日本での金融業者の出現

 平安時代の末から大量の渡来銭が輸入され、貨幣経済の発達とともに、富裕な僧侶などが延暦寺など有力寺社の保護のもと、銭を貸して高利の利息をとる専門の金融業者が現れ、借上(かしあげ)と呼ばれました。鎌倉時代になると、これらの金融業者が担保として物品を預かるようになり、担保の品を保管するために土蔵を建てたことから「土倉」と呼ばれるようになりました。現在の質屋です。

 お金の貸し手が出てきたということは、当然ながら借り手が存在していました。貨幣経済が発達し、たとえば京都や鎌倉で過ごした御家人達は都市部での生活に慣れ、地方に帰っても同様の生活を送るようになり、消費が拡大しそのための借金をするようになっていたのです。そこに二度の元寇が起きたのですが、これにより領地が拡大されたわけできなく、国土を守った御家人たちへの恩賞は限られさらに窮乏し、借金を重ねることになったのです。

 こうした事態からの御家人の救済を目的として出されたのが徳政令です。1297年に出された最初の徳政令が、永仁の徳政令です。御家人が20年以内に質入れ、売却した所領をもとの持ち主に無償で返させるとともに、御家人の関係する所領についての訴訟を受け付けないこととしました。また今後の御家人所領の売買、質入れも禁止したのです。

 室町時代に入ると社会も不安定となり、土倉を持つ商人に貴重なお金や、財産や文書などを預けるものも現れました。商人は不特定多数の人々から利子付でお金を預かるようになり、預かったお金を元手に、貸し付を行う「合銭(ごうせん)」や、現在の為替に相当する替銭(かいせん・かえぜに)にも従事するようになったのです。

 このように土倉は預金や融資、さらに為替業務など現在の銀行に近い業務を営んでいたのです。これは日本の金融がヨーロッパ諸国に勝るとも劣らぬ古い歴史をもっていることを示しています。また、新興の禅寺などは「祠堂銭(しどうせん)」という貸し出しを行っていました。室町幕府は禅寺などにさまざまな特権を与えられて経済保護を受け、その基盤をもとに、利殖のため金融業も営んでおり、その収益の一部が幕府に入っていたのです。

 ただし、借銭・利銭、祠堂銭などによる当事の金利は年利で5~8割にものぼるとみられたいへん高利であり、返済は容易ではなかったのです。そのため、御家人階級や農民の生活を圧迫し、土一揆や国一揆などの要因となりました。


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by nihonkokusai | 2011-10-20 14:53 | 金融の歴史 | Comments(0)

23日のEU首脳会議で欧州の信用不安は払拭できるのか

 欧州連合(EU)は現在27か国で構成されているが、ユーロ圏と呼ばれるものはユーロを通貨として採用しているEU加盟国によって構成されており、それは現在17か国となる。23日に開かれるのは、正確にはEU首脳会議とユーロ圏首脳会議である。

 現在、ユーロ圏を構成しているのは、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、ギリシャ、オーストリア、ポルトガル、フィンランド、アイルランド、スロバキア、スロベニア、ルクセンブルク、キプロス、マルタ、エストニアである。

 ちなみに欧州金融安定基金(EFSF)とは、ユーロ圏諸国の資金支援を目的とした基金であり、ユーロ加盟国が株主になっているため拡充案の批准にはこの17か国の議会の承認が必要となったのである。

 EFSFの債券発行には、ECBへの払込資本金の割合に応じて決められたユーロ圏諸国の保証を受けているが、EFSF債がAAAの格付を得るためには、EFSF全体の保証枠のうち、AAA国の拠出分が融資可能額となる。このため、当初の保証枠の4400億ユーロでは2500億ユーロしか利用できなかったため、保証枠を7800億ユーロ程度に拡大させることで、4400億ユーロまで融資可能額を引き上げられることになる。

 このため、もしフランスの格付けがAAAを下回ることになれば、4400億ユーロの融資可能額が引き下げられ、その分、ドイツなどAAA国の負担が増加する懸念が出るなどすることで、フランスの格付けの行方が注目視されているのである。

 18日に英ガーディアン紙はフランスとドイツがEFSFの規模を、現在の4400億ユーロから2兆ユーロに拡大することで合意し、23日に開かれるEU首脳会議で、この案が承認される見通したと伝えた。ユーロ圏関係者からは否定的な発言もあったようだが、フランスの格付け見通しが変更される可能性も出てきたことから、さらなるEFSF拡大策が決定される可能性もないとは言えない。

 ただし、EFSF拡大策については懸念も出てきている。19日にフランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相らがユーロ圏債務危機について協議。その会合にはトリシェECB総裁、IMFのラガルド専務理事、ドラギ次期ECB総裁、欧州連合のファンロンパイ大統領、欧州委員会のバローゾ委員長、独仏の財務相も参加したと伝えられた。この会合はどうやら、トリシェECB総裁への慰労会が目的であったようだが、そこで独仏の意見対立が表面化したようである。フランスのバロワン財務相によれば、ECBとドイツがECBのバランスシート利用に反対したようである。

 また、23日のEU首脳会議では、ギリシャ債務のヘアカット率についての協議も行なわれる可能性がある。ドイツのショイブレ財務相は大幅削減をせざるを得ないとの見方を示しており、フランスのバロワン財務相も以前には慎重姿勢ともいえる発言があったが、最近ではさらなる削減が必要との発言もみられた。

 ユーロ圏内の金融機関に対しては、デクシアの破綻もあり、厳格なストレステストの再実施と、資本増強が不可欠とされる。しかし、公的資金投入となれば日本の不良債権処理の際のように、金融機関側の反発が強まることも考えられるとともに、各国財政への影響も出てくることも予想される。このあたりの協議の行方にも注目したい。

 23日のEU首脳会議に向けては、ギリシャのベニゼロス財務相からは、首脳会議の結果に期待するのは、ほどほどにすべきだとの発言があり、また、ドイツのメルケル首相も、一度の会議で終わらせられるものではないとしたものの、23日の会議では重要な決定がなされるとの発言もあった。

 23日に開かれるEU首脳会議とユーロ圏首脳会議においては、意見の修正が図られれば、ある程度踏み込んだ政策が決定される可能性もある。それが根本的な解決策とはならずとも、決定内容によっては市場の欧州への債務不安を多少なり緩和させることも可能なのかもしれない。しかし、あまり過度の期待も禁物のようである。


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by nihonkokusai | 2011-10-20 08:47 | Comments(0)
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