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2011年 10月 14日 ( 2 )

牛熊ゼミナール金融の歴史第12回 ミシシッピ計画と南海バブルの崩壊

 スコットランド人のジョン・ローは、フランス王立銀行の設立に寄与し、1717年にフランス領ルイジアナミシシッピー金鉱開発を目的としたミシシッピ会社を設立しました。その後、フランスの東インド会社や中国会社を併合し、造幣局そして中央銀行の王立銀行までも傘下に収めたのです。

 新会社はルイ14世が生み出した総額15億ルーブルもの政府債務をすべて肩代わりしました。新株発行の払込については国債を額面の2割で引き取ると発表し、払込については4回の分割払とし最初の1回だけ現金、残りの3回は手形でよいとしたのです。これらのプロジェクがミシシッピ計画と呼ばれたものです。 国債そのものや手形で新株が購入され、1720年に政府の全負債はこの会社に移り、フランス国債の保有者はこの会社の株主となったのです。政府は多額の債務返済を一時的に免れ、債務免除されたような状況になりました。

 さらに王立銀行の株式払い込み手形を貨幣として機能させ、金貨が紙幣へと置き換えられました。ミシシッピ会社の株が値上がりすると紙幣を増発され、これにより資産バブルが発生し、未曾有の投機ブームが起こりました。当初500ルーブル以下であった株価は1719年後半には2万ルーブルを上回るまでに上昇したのです。ところが1720年に入り投資家が売却益を得ようと売りが殺到し、株価は急落しました。さらに払込手形という紙幣を金に替えようと王立銀行に人が殺到した結果、ローは払込手形の金との互換性を失効させる宣言をし、ミシシッピ計画は破綻したのです。

 投機資金がイギリスからパリに流れるようになり、それを危惧したイギリス政府はジョン・ローの制度を利用し南海会社を設立しました。1711年にイギリスで南アメリカのスペイン植民地との貿易の独占権を与えられた南海会社が設立されました。ただし貿易では収益が上げられず、富くじの成功により金融機関として成功を収め、1719年に総額170万ポンドの年金型国債を引き受け、それを自社株式に転換したのです。

 国債の保有者には当初の転換比率より有利な条件で株式の転換を提案し、また南海会社の株価が高いほど国債との交換に必要な株数が減り、会社と政府に分配される利益が多くなる仕組みを取り入れた結果、関係者すべてが南海会社の株価上昇で利益が享受できる仕組みとなっていたのです。

 南海会社の株の売り出しは年4回にわたり実施され、ジョン・ローがミシシッピ会社の株式発行の際に使った方法を取り入れ、当初の払い込みは総額の2割に抑え、自社株を担保に株主に融資するなどしたことで、その都度株価は大きく上昇していったのです。

 これをきっかけに投資ブームが起こり、毎日のように新興企業が設立され、投機熱は社会階層の壁を超えて強まり、株価は大きく上昇しました。1720年の夏に、類似企業との過当競争を回避しようと、会社の設立には議会の許可を義務付ける法律が制定されました。しかし、この法律の制定などが結果として株式市場の加熱を冷ますこととなり、一気に地合が悪化し南海会社の株価は急落し、経営陣までもが株を手放しました。売りが売りを呼ぶこととなりバブルは崩壊していったのです。1721年、イギリスはバブル防止法を制定、企業に新たに株式公開することを禁止し、それは100年の間続くこととなったのです。

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by nihonkokusai | 2011-10-14 15:52 | 金融の歴史 | Comments(0)

日銀の追加緩和は円高や株安次第か

 日銀は13日に、9月6、7日に開催された金融政策決定会合の議事要旨を発表した。これを基にして、今後の日銀の追加緩和の可能性を探ってみたい。

 当面の金融政策運営についての議論の中で、「何人かの委員は、このところ、景気の下振れリスクは幾分高まっているが、8月に実施した基金の増額に際し想定していた範囲内であるとの見解を示した」とある。

 この場合の景気の下振れリスクについては、米国のバランスシート調整圧力やソブリン・リスク問題の影響などによる海外経済の先行きを巡る下振れリスクを受けての、日本の為替・金融資本市場の変動が、日本経済に与える影響を指しているようである。つまり、日本の為替・金融資本市場の変動とは円高・株安のことを示しているとみられ、その動向をかなり注視している姿勢がうかがえる。

 「また、何人かの委員は、米欧金融資本市場で緊張が高まっているにもかかわらず、日本の金融市場の安定が維持されていることには、基金の増額が何がしか影響していると述べた」

 「何がしか影響」との表現が、現在の日銀の追加緩和、この場合は基金の増額という格好だが、その限界があることを示しているようにも感じられる。

 「こうした中で、複数の委員は、日本経済の直面する厳しさが、国内外の構造的な要因から生じている面も大きいことを踏まえ、金融政策で対応し得る問題とそうではない問題を見極めながら政策を進めていく必要があると述べた。」

 国内外の構造的な要因とは、具体的に何を示しているのか、これだけでは判断しにくい。国外の要因は欧州の債務問題等を示していようが、国内の構造的な要因とは何を示すのか。もしデフレであるとすれば、それは金融政策で対応すべきものであるとの一部からの声も聞こえてきそうだが。また、日本の債務問題も含んだものなのであろうか。

 「複数の委員は、欧州のソブリン・リスク問題の帰趨が不透明であるなど、景気の下振れリスクがなお高いことを踏まえると、事態の展開によっては、先行きさらなる金融緩和が必要となる可能性もあるとの見解を示した。」

 ここで気になるのは、「事態の展開によっては」との表現か。つまりは欧州のソブリン・リスク問題の影響により日本の為替・金融資本市場が変動するという事態の展開によっては、追加緩和も辞さないというように読み取れる。

 「これに対し、一人の委員は、金融緩和の一段の強化が、市場の流動性低下や金融機関の収益機会の縮小などを通じて、かえって、金融システムを不安定化させたり、金融政策の効果浸透を阻害したりすることがないよう、十分に配慮する必要があると述べた。」

 このあたり前回の量的緩和政策の際にも指摘されていたことではあるが、追加緩和の際の副作用の問題である。しかし、現在の包括緩和の強化であるのならば、それほど副作用は心配する必要はないように思うのだが。

 以上のことから、今後の日銀の追加緩和に関しては可能性は十分にあると判断される。しかし、FRBやECB、BOEなどがここにきてツイスト・オペやカバード債の購入を再開したり、量的緩和策を拡大してきたが、日銀は8月に資産買い入れを増額したあとは動いていない。今後は欧州の債務問題などから、再び円高が進行し最高値を更新したり、東京株式市場が急落するなどしてこない限り、日銀は当面、静観の構えで望むものと予想される。


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by nihonkokusai | 2011-10-14 08:12 | 日銀 | Comments(0)
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