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2011年 09月 29日 ( 2 )

牛熊ゼミナール金融の歴史第3回 金利の起源

 世界史の中での金利の起源は、古代文明発祥の地の1つとされているメソポタミアにあったと言われています。この時代、すでに寺院や土地所有者による利子付きの貸し出しが行われていました。そもそもの利子の起源は、農業が始まった頃の「種籾(たねもみ)」の貸し借りによるものとされています。農民に対し神殿などが蓄えた種籾を貸し出し、それを借りた農民は借りた籾の量に3割程度上乗せして神殿に納めていました。これが利子の始まりとされているのです。

 メソポタミアのバビロンの商人は遠方との交易を活発に行なっており、バビロンの金持ちは妻子や財産を担保にとって、商売の資金を貸しつけていました。たとえばバビロンのエジビ家では他人から預金を受け入れて、それを使うのではなく、自己の資金から貸付を行っていたとの記録もあります。さらにメソポタミア文明の象徴とされるハムラビ法典では、銀の貸付利率の上限を20%と定め、借り手に銀のないときは銀対穀物の交換レートにしたがって、穀物で支払うことが出来ると記されています。さらに、古代バビロンでは、すでに複利による利子の計算が行われていました。

 ギリシア期にはアリストテレスが「憎んで最も当然なのは高利貸しである」と言ったように、商品を媒介せずに利子をとる貨幣の貸し付けを批判していました。すでにギリシアでは安全な保管を目的に、貨幣と地金の預託を受け入れ、契約により決まった一定の利息を支払うという個人商人が生まれていたのです。

 アリストテレスのように哲学者の多くが利子に対して批判的な見方をしていたのに対し、ソクラテスの弟子であるクセノフォンは、すべてのアテネ市民が利息収入を共有できる安全保管機関を設立しようとするなど利子に関しては好意的に見ていたものと思われます。 

 ちなみに「economy」という英語の語源であるギリシヤ語「オイコノミア」は、このクセノフォンが用いたものです。「オイコノミア」とは、「家」を意味するギリシア語の「oikos」と、「法律・法則」を意味する「nomos」が合成されたものです。

 旧約聖書では、「貧者」と「同胞」への利子は禁じていますが、お金を貸すことや利子を取ること自体は禁じられてはいません。しかし、利子を取ることは、ギリシアの哲学者たちと同様に、あまり好意的には取られていませんでした。新約聖書の中では、イルサレムの神殿には、そこを訪れる商人のために貨幣を両替し、預けられたいかなる貨幣にも利息を支払う両替商人がいたとの記述があります。 

 イスラム教では利子を取ることそのものが禁じられており、このためイスラム金融では利子ではなく、商品取引などから生じる利益や投資を行った結果の配当といった形態が採られています。

 共和制および帝政ローマ時代にはすでに両替商がおり、国家や貴族のための税金の処理や、債権者との貸借勘定の決済などを行っていました。貨幣を扱う商人は、預けられた貨幣に対して利子を支払い、両替にも従事していました。


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by nihonkokusai | 2011-09-29 15:58 | 金融の歴史 | Comments(0)

ねじれの問題

 9月21日のFOMCで、残存期間6~30年の財務省証券4000億ドルを買い入れ、残存期間3年以下の財務省証券を同額売却するというプログラムを決定した。これは1961年のケネディ政権下で、ドル防衛のため短期資本を流入させることを目的として短期金利の上昇を促すとともに、設備投資促進などによる景気対策としての長期金利低下の両方の効果を促すため行なわれたことがあるツイスト・オペもしくは、オペレーション・ツイストと同様の手段である。

 ただし、ニューヨーク連銀はステートメントでこのオペレーションを「Operation Twist」ではなく、「Maturity Extension Program」と呼称した。つまりFEDの保有する財務省証券の残存期間を延長させるプログラムということである。

 これは1961年のプログラムとは、目的等がやや異なることもあろうが、そもそも「ツイスト」という言葉がすでに死語に近いものであるため、使うことを避けたのではないかと想像される。

 1961年のケネディ政権下で実施されたツイスト・オペのツイストとは、当時流行していた上半身と下半身を逆にねじるツイスト・ダンスが名前の由来といわれている。我々世代には、ツイスター・ゲームなどでツイストと言う言葉に馴染みはあったが、現在はほとんど使われていない。現在、ツイストと同様の意味で使われている日本語は「ねじれ」であろうか。

 「ねじれ」という言葉でまず連想されるのは「ねじれ国会」であろう。現在、衆議院で与党が過半数の議席を持つ一方で、参議院では野党が過半数の議席を維持するという状態となり、ねじれが生じている。これにより、政権運営が滞るといった弊害も生じている。2011年度の公債特例法案が8月26日になってやっと可決成立するなどしたことも、ねじれ国会の弊害といえよう。

 「ねじれ国会」は米国も同様であり、下院では共和党が過半数を握り、上院は民主党が過半数を上回っていることで、日本と同様のねじれ状態となっている。これにより債務上限引き上げ問題が生じることになった。

 そして、現在、最大の関心をもたれている「ねじれ」は欧州であろう。債務問題を抱えたギリシャなどの南欧諸国と、それを救済する立場にあるドイツやフランスとの間に溝が発生し、ユーロそのもののシステムがねじれ状態となっている。

 ツイスト・ダンスがどれだけ健康に良いのかはわからない。また、FEDのツイスト・オペがどれだけ有効な政策であるのかは定かではないが、多少なりとも効果はあると判断した結果ではあろう。ただし、ツイストした状態にある国会や欧州などは、あまり良い状況にあるとは思えない。

 特に欧州のねじれ問題は、世界の金融経済に大きな影響を与えかねない。すでにリーマン・ショック以上の影響が出る可能性も指摘されている。そのキーとなっているのがドイツであろうか、ドイツ国内でも政府と国民の意識の間で、ねじれが生じつつあり、なかなか動きが取りづらい状況にある。

 ねじれを解消するのはかなりやっかいではあるが、ねじれが強まればそのままプツンと切れてしまう可能性もある。そうなれば、非常に大きなショックが生じる可能性があるため、ねじれ状態を少しでも解消すべく、特に欧州では地道な努力が求められよう。


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by nihonkokusai | 2011-09-29 08:34 | 国際情勢 | Comments(0)
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