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2010年 08月 30日 ( 3 )

「あまりに中途半端なタイミングでの追加緩和」

日銀は本日、臨時の金融政策決定会合を開催し追加緩和策を決定した。政策金利は変更せずに、新型オペの総供給額を、現行の20兆円から30兆円に増額し、新たに貸出期間6月の新型オペ10兆円を新設する。

今回の追加緩和は新型オペの拡充(量もしくは期間)と見られていことで、想定の範囲内となったが、結果としては期間と量ともに増額させ、緩和効果をアピールか。しかし、市場ではさらなる緩和策を期待していたのか、この結果発表後に日経平均は上げ幅を縮小させ、外為市場ではやや円が買われた。

日銀は今回の追加緩和の理由として声明文では、「米国経済を中心に、先行きを巡る不確実性がこれまで以上に高まっており、為替相場や株価は不安定な動きを続けている。こうしたもとで、日本銀行としては、わが国の経済・物価見通しの下振れリスクに、より注意していくことが必要と判断した。」としている。

今回の追加緩和策については、全員一致とはならず、須田委員が反対票を投じた。新型オペを通じた資金供給を大幅に拡大することについて反対と声明文はあり、今回の追加緩和そのものに反対票を投じたものとみられる。政策金利の据え置きについては全員一致となっている。

4月7日に新型オペの増額を決定した際には、須田委員および野田委員が反対していた。今回の新型オペの拡充策について、このとき反対していた野田委員は今回は賛成票を投じている。野田委員は4月とはやや考え方を異にしていたのであろうか。

日銀は今回も昨年12月1日の臨時の金融政策決定会合のときと同様に、政治的に追い込まれての追加策との印象が強い。白川総裁が訪米中で、この際にはバーナンキ議長やトリシェ総裁などとの貴重な対話の機会でもあったにも関わらず、予定を1日に早めて急遽帰国したことを踏まえても、民主党の代表選をも睨んでの円高・株安対策へのアピールら日銀も歩調をあわせざるを得なかったと考えざるを得ない。

今度の緩和策については効果がまったくないわけではない。短期金利の中でもやや長めの期間の金利を低下させてくるとみられる。ただし、この追加緩和策は市場もある程度織り込み済みであったことで、たとえばこれで債券の中期ゾーンがさらに買い進まれるということも考えづらい。

株式市場や外為市場では、やや思惑的な動きも出やすいことで一時的に失望感も出てこようが、為替介入の可能性もあり、また明日発表される追加の経済対策の内容も見極める必要があるため、株式市場での失望売りなどは限定的となろう。

債券市場では長期金利が一時の0.9%割れからすでに1.1%台にまで跳ね上がるなど、過去2度の長期金利1%割れ後の債券急落と同じような様相となっており、米債の動向次第では債券のミニバブルの崩壊の可能性が強まりつつあり、日銀による追加緩和よりも足元の国債の需給動向が意識されやすい。

今回の日銀の追加緩和で注目すべきは、また政治の力が働いて日銀が動かざるを得なくなったことであろう。あらためて政治や市場で追い込まれて動く日銀との印象を与えたことについては、日銀への信認という意味からはマイナス要因となると思われる。通常の決定会合まで動かないとしていたのならば、その信念は貫くべきではなかったのか。もしくは追加緩和に追い込まれるとみたら、即座に行動を起こすことも必要ではなかったのか。今回の追加緩和の決定はあまりにタイミングが中途半端であり、菅総理と日銀総裁の会談、政府の追加経済対策発表というタイミングでしか見ることができないものとなってしまったことが、たいへん残念である。
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by nihonkokusai | 2010-08-30 13:55 | 日銀 | Comments(0)

「20年入札や米債安に見る債券相場の変化の兆し」

24日に実施された20年国債の入札は、利率は1.6%と2003年6月以来の水準に引き下げられたが、最低落札価格は事前予想を上回り、テールも8銭と前回の5銭よりは伸びたが無難な結果となった。ただし、応札倍率は2.86倍と前回の4.46倍を下回っていたことからも、この入札では一部の大口落札者はいたものの、多くの業者は珍しく引き気味であったようである。つまりそれだけ投資家の押し目買い意欲が感じられない状況になりつつあったともいえよう。

それが明らかとなったのが、27日の相場である。昼に菅総理は急激な円高について、「必要なときには断固たる措置を取る」と述べたことが伝わり、これにより円安・株高が進行し、債券市場では20年国債を中心に急落の展開となった。

この債券急落の背景には、小沢氏の民主党代表選出馬にともなう財政拡大懸念があったとみられるが、すでに何かしらのきっかけで相場が崩れやすくなっていた状況にあった可能性がある。27日の相場を見ると、10年債利回りは前場の0.930%から後場に入り一時前日比+0.080%の1.015%まで上昇し1%台を回復した。さらに20年債利回りは一時、同+0.140%の1.705%にまで上昇した。しかし、30年債は後場は日本相互証券では出合いはなかった。これを見る限り、相場急落には20年国債が崩れたことがきっかけのようにも見える。このあたり、2003年6月のやはり結果は順調ではあった20年国債入札をきっかけとした相場下落に似ている。

さらに注目すべきは、米国債の動きである。28日の日経新聞一面にはワイオミングでの国際シンポジウムでのバーナンキ米連邦準備理事会議長の講演を受けて「米、追加緩和を検討」との記事が踊っていた。しかし、先週末の米国債券市場では、この講演の内容からは当初一部で期待されていたようなFRBによる新規の債券買い入れが迫っていることを示す内容とはならなかったことにより、米債への売り圧力が強まっていた。米10年債の利回りは利回りは前日の2.48%から2.65%と過去3カ月間で最大の下落となった。また、米30年債の利回りも、前日の3.51%から3.70%に大きく上昇した。

20年国債入札をひとつのきっかけとした27日の債券相場の下げ方や、この米債の下落の仕方を見る限り、2003年6月と同様のことが起こりつつあると判断するのは、まだ早計かもしれないが、その兆候があることは確かであろう。

日銀の追加緩和の報はあったが、本日30日の債券先物は142円39銭と先週末比16銭安と売られてのスタートとなっている。今後の債券相場の動向についてはなり注意して見ておく必要がある。
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by nihonkokusai | 2010-08-30 09:09 | 債券市場 | Comments(0)

「日銀は本日、臨時の金融政策決定会合を開催」

米国出張中の日銀の白川総裁は予定を1日に早めて急遽帰国し(日経)、本日9時から臨時の金融政策決定会合を開催し、追加緩和策を協議すると報じられた。政府は明日31日に経済対策の基本方針を決めることで、政府・日銀が一体となって円高・株安の反転や景気の下支えに取り組む姿勢を打ち出す(日経)そうである。

先週末の27日に、菅総理は急激な円高について、「必要なときには断固たる措置を取る」と述べ、為替介入の可能性を示唆した。また、米国から帰国後に白川日銀総裁と首相官邸で会談することを明らかにし、追加的な金融緩和策を求める考えも示した。

日銀の動きは昨年12月に比べると思いのほか鈍く、市場では8月18日から20日にかけて毎日のように臨時の決定会合開催の噂が駆け巡ったものの、開催されることはなかった。白川総裁も予定通りに米国に出張したことで、9月の通常の会合で追加緩和を協議するのかと思われた。

また、外為市場では24日のロンドン、ニューヨーク市場でドル円は一時83円58銭をつけるなど円高が進行したが、その後はやや円高の動きは落ち着いてはており、27日の菅総理の発言によりドル円は85円台を回復していた。日銀総裁が予定を早めて、帰国する必要があるほど週末に緊迫感が走っていたわけではない。

今回の日銀の臨時の金融政策決定会合開催は、この様子を見る限り政府の意向が強く働いていることが伺える。特に民主党の代表選に小沢氏が出馬を決定したことで、菅総理は円高と景気への対策をアピールする狙いがあったものとみられ、それに日銀もお付き合いさせられたということであろう。

このため、日銀としても積極的な追加緩和策というよりも、すでに予想されていた新型オペの拡充策を軸に協議するとみられる。また、成長基盤強化に向けた貸出制度の救急枠(現行3兆円)の拡充も検討される可能性はある。いずれにしても短期金融市場などでは、9月の通常での会合での追加緩和の可能性を織り込んでいたとみられ、債券市場などへの影響も限定的なものとなると予想される。

白川総裁は2時30分に記者会見を予定しており、臨時会合で議論が白熱するような状況にはなく、すんなりと予想される追加緩和策が時間通りに決定されるとみられる。
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by nihonkokusai | 2010-08-30 08:42 | 日銀 | Comments(1)
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