牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

2010年 05月 18日 ( 2 )

「日銀の新貸出制度」

 4月30日の金融政策決定会合で、白川総裁は成長基盤強化の観点から、民間金融機関による取り組みを資金供給面から支援する方法について検討を行い、改めて報告するよう、執行部に指示した。

 これを受けて5月20日から21日にかけての金融政策決定会合では、新たな貸し出し制度の大枠を固め、6月の決定会合で細かい内容を決めるとみられる。

 成長が期待できるという対象分野としては、環境・エネルギーや観光、新しい研究開発などが含まれるようである。これらに取り組む企業向けに貸す銀行に、日銀は今 年夏から、半年から1年という期間を対象に年0.1%という低利で貸し出す制度を構築する。

 日銀が特定の分野に貸し出すことを条件にした制度をつくるのは極めて異例と言える。確かにギリシャの財政危機を発端とした欧州市場での混乱は、円高・株安を誘発し日本経済にも影響を与えそうだが、国内景気は底堅く回復基調に変わりはない。

 それにも関わらずこのような制度をあらたに作る背景には、政府の意向をかなり意識している可能性がある。実際にこの制度は政府による成長戦略とも歩調を合わせた格好となっている。

 日銀はすでに、昨年末に国債などを担保とした期間3か月程度の期間10兆円規模の新型オペ導入した。さらに、今年3月にはその規模を20兆円に拡大している。しかし、新たに検討される貸し出し期間は半年から1年の方向で検討するとしており、対象は特定されるがより長い期間向けの貸し出しとなる。

 この制度を利用することにより、銀行の調達する金利が低くなり、成長分野に投資する企業に貸し出す際の金利が他の分野向けの融資より低くなる可能性はある。

 ただし、どの程度の資金需要があるのかは未知数である。この制度によるデフレ解消に向けての効果についても、限定的なものとなるのではなかろうか。成長が期待できる企業が資金調達に苦労していることは考えづらい。むしろ資金繰りに苦慮しているのはあまり成長が期待できない分野での中小企業が主体でははなかろうかと思う。このため、この制度による金融市場の影響は限定的なものとなりそうである。

 また、対象先に制限があることで、銀行が日銀の新制度により借り入れた資金が、特定された企業に融資されているのかをチェックする必要がある。このため制度開始まではそれなりに時間がかかる可能性もある。
[PR]
by nihonkokusai | 2010-05-18 14:45 | 日銀 | Comments(1)

「ECBによる国債買入策に対する不胎化政策」

 9日に欧州中央銀行(ECB)は国債の流通市場に介入することを発表し、5月10日からドイツやフランス、イタリアの中銀などが、国債買入を実施した。1999年のユーロ発足以来、欧州の中央銀行が国債の買入を実施するのは初めてとなる。

 この国債買入は、金融政策の一環としての資金供給手段としている日銀の国債買入とは目的が異なり、国債市場の安定化そのものが目的となっており、極めて異例であった。トリシェ総裁は債券購入については圧倒的多数が支持したとして、反対者がいたことを認めた。ECB理事会の票決の内容を公表すること自体も極めて異例のことであった。

 欧州中央銀行(ECB)は今回のユーロ圏での国債購入額が165億ユーロになったことを明らかにした。市場ではもう少し大きな規模の国債を買入たのではないかと予想していたようだが、165億ユーロは日本円で約1.8兆円となり、日銀による毎月の国債買入規模と同規模となる。

 今回のECBによる国債の買入目的は、日銀のように市場への資金供給が目的ではなく、あくまで市場機能の正常化が目的であった。そこで、金融政策への影響を避けるために、国債買入で放出した資金を回収する手段を講じる。

 5月18日に同額の資金を吸収するため、1週間物定期預金の入札を実施する。これはいわば国債買入策に対する不胎化政策とも言える。1週間物定期預金の金利は最高で1%、ターム物預金はユーロシステム内のオペの担保として使用できる。

 ECBは国債買入とともに同額規模の資金吸収により、インフレ懸念が台頭することを押さえ込もうとしたものとみられる。これには筋金入りのインフレファイターと言われるウェーバードイツ連銀の総裁の意向などが強く働いた可能性もありそうである。

 日欧米の中央銀行による国債買入の目的はそれぞれ異なる。日銀による国債買入は資金供給手段のひとつである。イングランド銀行の国債買入の目的は、中期的なインフレ率目標を達成するためにマネーと信用の供給量の拡大を通じて名目支出を拡大させることとしている。FRBについては、国債買入は信用緩和政策の一環と位置付け、モーゲージ金利の低位安定を期待したエージェンシーMBSの購入等を補完することが目的としている(2009年5月の水野前日銀審議委員の講演より一部引用)。
[PR]
by nihonkokusai | 2010-05-18 14:44 | 国際情勢 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー