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2008年 12月 02日 ( 2 )

「臨時の金融政策決定会合」

12月1日の九州における講演で日銀の白川総裁は、「金融面から実体経済への下押し圧力が高まる可能性について、十分な点検が必要な情勢になってきている」と指摘している。

さらに総裁は、企業倒産の増加によって銀行の信用コストが上昇していることに加え、株価の下落により、株式保有に伴う株価リスクが影響、金融機関の貸出残高は伸びているが、先行き銀行の貸出姿勢が慎重化する可能性がある。さらに国際金融資本市場が更に動揺した場合には、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まり、市場からの資金調達が一段と困難になるリスクがあることを指摘している。

11月21日の金融政策決定会合では、民間企業債務の適格担保としての取り扱いや民間企業債務を担保とする資金供給面の工夫について速やかに検討を行なうよう総裁が執行部への指示を行なったが、これを受けて12月2日に臨時の金融政策決定会合が開催された。

今回の臨時の決定会合では、年末・年度末越えの資金繰りに対応するための新たな資金供給策を打ち出された。

まず、年末に向けての対策として、日銀のオペの担保となる民間企業債務の適格担保の取扱いが変更される。格付に関し社債と企業向け証書貸付債権の適格要件のうち 、これまでのA格相当以上からBBB格相当以上に引き下げられる。これにより新たに担保となるBBB格相当の社債と企業向け証書貸付債権に適用する担保掛け目が設定された。これは12 月9 日から実施される。白川総裁は会見で、適格担保の拡大は、社債で4500億円、企業向け証券貸付債権で1.6兆円程度見込まれると発言している。

さらに、共通担保として日銀に差入れられている社債やCPなど民間企業債務の担保価額の範囲内で、金額に制限を設けずに政策金利である無担保コールレートの誘導目標と同水準の金利で資金を供給するという、民間企業債務を活用した新たなオペレーション制度が導入される。

これについては、次回12 月18・19 日に開催されるの金融政策決定会合において基本要領等が決定され、来年1 月中に実施の予定。貸付期間に関しては3 か月以内となる。ただし、期限は来年4 月30 日以前とする。こちらのオペの動向次第では、短期金利の低下圧力が強まる可能性はある。

市場ではこれらの対応策の効果に関しては限定的との見方もあるが、年末・年度末への資金繰りに対しての危機感は心理的には、やや緩和されることとなりそうである。

また、与謝野経済財政担当相は年末の資金繰りに関して、日銀・政府ともに対応を検討との発言も以前にあり、政府も何らかの対応策を講じてくる可能性がある。
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by nihonkokusai | 2008-12-02 15:06 | 日銀 | Comments(0)

「急速な景気悪化」


12月1日に、民間の非営利団体で米景気循環を正式に認定する機関である全米経済研究所(NBER)は米経済が2007年12月から景気後退局面に入ったとの判断を発表した。これにより、2001年11月からの米景気拡大は73カ月で終わったことになる。

12月1日の九州における講演で日銀の白川総裁は、本年夏以降は、国際金融資本市場や米欧金融システムの緊張が高まる中で、海外経済の減速が明確化し、これを反映して輸出が減少に転じ、これらの影響が重なり、このところ、景気の停滞色が「急速に」強まっている点を指摘している。

11月20日に発表された10月の貿易統計(速報、通関ベース)では、輸出額が前年同月比マイナス7.7%と2001年12月以来の大幅な減少となった。輸出は米国や欧州だけでなく、これまで好調さを保っていたアジアや中国向けも落ち込んでいる。

11月28日に発表された10月鉱工業生産速報値は前月比マイナス3.1%と2か月ぶりの低下となった。鉱工業生産予測値では11月が前月比マイナス6.4%、12月が同マイナス2.9%とさらなる悪化を見込んでいるなど、先行きについても厳しい見方となった。

そして、白川総裁は国内物価についても状況が大きく変化していると指摘した。コアCPIは約1年前には前年比でゼロ%近傍であったが、その後石油製品や食料品を中心にかなり急テンポで上昇し、今年の夏に一気に2.4%にまで上昇した。しかし、ごく最近は、国際商品市況反落の影響から前年比伸び率は低下に転じ、この先、前年比上昇率は「かなり急速に」低下すると見込まれるとしている。

11月28日に発表された10月全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+1.9%となっていたが、今後について白川総裁は、「需給バランスについては、当面、潜在成長率を下回る成長が続くと見込まれ、2009 年度中には一時的に物価上昇率がマイナスとなる局面も予想されます」とし、コアCPIが再びマイナスに転じる可能性を指摘した。 白川総裁は今後の日本経済について、「本年第2四半期、第3四半期と連続してマイナス成長となった後も、当面、停滞色が強い状態が続くとみられます。」との表現に留めているが、与謝野経済財政担当相は2009年度の日本の経済成長率について、「プラスとなる自信は現時点ではない」と発言しており、景気停滞が長期化する可能性がある。これに加えて物価下落が伴い再びデフレ観測も強まるようであれば、日銀も今後さらなる金融緩和策を取らざるを得ないとみられ、量的緩和政策への回帰も選択肢に上がるものとみられる。
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by nihonkokusai | 2008-12-02 10:09 | 景気物価動向 | Comments(0)
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