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2007年 07月 10日 ( 3 )

「委員会制度のもとでの情報発信」


 7月3日の武藤日銀副総裁のJCIF国際金融セミナーにおける講演の中で、「委員会制度のもとでの情報発信」に関してのコメントがあった。武藤副総裁はまず日銀の情報発信に関して、「講演を含め、記者会見、展望レポートや議事要旨など様々な手段を通じ」説明するとしている。

 さらに複数のメンバーから構成される委員会制度における政策決定に関して、委員会としての説明責任をどのように果たすのかについて述べている。

 合議制である金融政策決定会合では、審議や討議を通じて意思決定がなされることで、例えば、委員会における討議を通じて、会合後の私は、会合前の私とは異なるということが起こりうるとしている。

 「会合後の私は、会合前の私とは異なる」という言葉も意味深いものがある。討議の内容によっては事前の意志と異なる意思決定がなされる、いやもしかするとこれまでもなされた経緯があったものとみられる。意思が明確でなかった場合でも、たとえば議長提案がなされるといった雰囲気の中、討議の内容を見極めたうえでやや慎重な姿勢であっても議長提案に賛成票を投じるということがあるのかもしれない。

 金融政策決定会合において、反対票を投じることによっての少数意見に対しては、議事要旨でもその立場をきっちりと説明し、少数意見が存在することにより、金融政策決定会合における討議のプロセスがより明確化されるとしている。

 そして、こうしたプロセスで、中央銀行が発信すべき情報とは、経済・物価情勢に関する判断と金融政策運営についての基本的な考え方の2つとしている。一般論として、こうしたプロセスにおいて、具体的な政策変更のタイミングを示唆することは好ましくないともコメントしている。

 そして、委員会制度のもとでの情報発信の事例として、欧州中央銀行のGoverning Council(ECB政策理事会)のケースを示し、ここでは政策決定におけるコンセンサス方式とワン・ボイスでコミュニケーションについて紹介している。特にワン・ボイスでコミュニケーションについては、トリシェ総裁が、ECB政策理事会の総意を伝えることは自分の役割であり、ワン・ボイスで話をするのはキャプテンとしての自分であることを取り上げている。

 ここでやや話が主題と逸れてしまうが、10日の日経新聞によるとフランスのサルコジ大統領は。9日のユーロ圏財務省会合に異例の出席をした上で、最近のユーロ高を深刻視し、追加利上げ観測が強まるECBを牽制したそうである。うまく政治から距離を置きつつあるECBが、フランスのトップが変わったことによって再び政治的圧力を受けるようになるのか、やや気になる記事であった。

 さて、委員会制度のもとでの情報発信に戻るが、結論から言えば、日銀は政策変更に関してあからさまなシグナルを送ることはしない。中央銀行が発信する経済・物価情勢に関する判断などを元に市場参加者は推測していかねばならないこととなる。さらに「会合後の私は、会合前の私とは異なる」こともあるとすれば、討議の内容といったものも吟味する必要があり、過去の議事要旨の内容なども丹念に追っていく必要もある。しかし、議事録が発表されない限り、実際にあった具体的な議論までは外部からはわかりにくい部分もある。結局は日銀の金融政策に関してはあまり決めうち的な見方はしない方が良いということにもなるのであろうか。
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by nihonkokusai | 2007-07-10 13:10 | 日銀 | Comments(0)

「世界最大の先物取引所誕生へ」


 世界最大の先物取引所誕生へ、CME・CBOT合併案承認

 読売新聞によると、米国の最大手の先物取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)と、2位のシカゴ商品取引所(CBOT)は、それぞれ開いた臨時株主総会で、昨年10月に合意したCMEによるCBOTの買収・合併案が承認されたと発表した。

 新会社名は「CMEグループ」、これによって、出来高ではドイツ取引所傘下の「ユーレクッス」を抜く世界最大の先物取引所が誕生することになる。

 私がCMEやCBTの存在自体を知ったのは1984年ごろ。債券先物が東証に上場すると発表され、ぜひ関わりたいと思ったものの、当時は金融先物の本などほとんど出ていなかった。それでも専門書を取り寄せたり、東証のセミナーに参加したがその際に、米国の金融先物のメッカであるシカゴの両取引所の存在を知った。当時からなんで2つに分かれているのだろうとの疑問を持っていたが、それがやっと解消される(?)。

 1989年にシリーズ3という米国の先物オプションの外務員資格を取るために3か月ほどニューヨークに研修に行った。試験はあっさり取れたことで、ほとんどの期間は米国事情調査に充てさせていただいた。その研修の一環として、シカゴの取引所見学があった。そのときに初めて、CMEと CBOTのフロアーを見学させてもらった。そのときはここがまさに聖地なのかと感慨深げであった。
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by nihonkokusai | 2007-07-10 12:29 | 債券市場 | Comments(0)

「さくらレポートに見る地域経済」


 7月6日の日銀の支店長会議において発表された地域経済報告(さくらレポート)の内容を確認しながら、地域経済の動向をまとめてみたい。

 総括判断としては、「各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、すべての地域において拡大または回復方向の動きが続いており、地域差はあるものの、全体として緩やかに拡大している。」として、4月の支店長会議における総括が維持されている。

 ただし「総括判断において、拡大としている関東甲信越、東海、近畿と、回復方向にあるその他の地域との間で、依然、地域差がみられている。」とも指摘されているように、全9地域のうち6地域か現状維持としたものの。東北がやや上方修正した一方で、東海と北陸がそれぞれやや下方修正していた。

 個人消費については、、衣料品等で弱めの動きがみられ一方で、デジタル家電や高付加価値の白物家電を中心に家電販売は好調。乗用車販売は、すべての地域で弱い動きが続いており、これが総括判断におけるトヨタを抱える東海地方の下方修正のひとつの要因か。

 設備投資は、高水準の企業収益を背景に、すべての地域で、引き続き増加傾向としている。雇用・所得環境面では、雇用情勢について、ほとんどの地域で改善を続けていると判断しているものの地域格差はまだ大きい。一方、所得面はほとんどの地域で、緩やかな増加あるいは改善と判断していたが、中国が判断をやや下方修正した。

 また、大企業と比べると中小企業の収益改善の動きは依然鈍いことも指摘。これについて、価格支配力を強めている川上、川下の大手企業に挟まれ利幅の縮小が続いていることなどを指摘しており、川上の企業が素材価格を引き上げるとともに、川下の販売会社への価格転嫁が難しく、中小企業がある意味犠牲となっている構図が続いている。また、地域差はあるものの、業種を問わず中小企業の人材確保が困難となっていることも指摘されている。

 福井総裁はこの支店長会議において、「わが国の景気は、緩やかに拡大している。海外経済の拡大が続く中で、輸出は増加を続けている。また、企業収益が高水準で推移する中、設備投資も引き続き増加している。雇用者所得は緩やかな増加を続けており、そのもとで個人消費は底堅く推移している。」と挨拶した。

 1月の支店長会議の挨拶で冒頭で「わが国の景気は、緩やかに拡大している。世界経済が地域的な拡がりを伴いつつ拡大する中で、輸出は増加を続けている。また、企業収益が高水準を続け、業況感も良好な水準で推移する中、設備投資も引き続き増加している。雇用者所得も、緩やかな増加を続けており、そのもとで個人消費は、やや伸び悩みつつも増加基調にある。」と挨拶しており、ほぼ内容は一致している。個人消費の部分が1月の「伸び悩みつつも増加基調」から7月は「底堅く推移」に変わっている。
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by nihonkokusai | 2007-07-10 10:52 | 景気物価動向 | Comments(0)
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