「日銀、銀行保有株の買い取りを再開」
買い取り枠は1兆円で2010年4月末までの時限措置となる。格付けがトリプルBマイナス相当以上の上場株式を対象となる。買い入れ価格は時価がベース。買い入れ対象先は、株式保有額がTier1の5割超える先、もしくは株式等保有額が5000億円を超える先、または自己資本比率規制上国際統一基準を採用している先。金融機関毎の買い入れ上限は2500億円。2012年3月末までは売却を行なわず、その後2017年9月末までに処分する。
2007年7月以降株価は下落基調となり、昨年のリーマン・ショックによりその下落に拍車がかかり、銀行保有の株式の含み損が膨らんでおり、金融機関保有の株式を日銀が買い取ることにより、金融機関の貸し出しを促し、企業の資金繰りを支援する。
日銀が前回、銀行保有の株式買取を決定したのは2002年9月18日である。この日の政策委員会にて、日銀法43条の例外規定を適用し株式の買い取りを決定した。買い取りは時価がベース。Tier1を越えた過剰株式に焦点。保有株式は10年程度は日銀は保有するとした。
この発表を受けて、当日(2002年9月18日)の債券先物は急落となり、債券先物は数度の板寄せをしたのちストップ安をつけたのである。さらに良く翌日の20日には10年国債の入札が実施されたが、この日銀ショックの尾を引き10年国債としては初めての「札割れ」が発生したのである。入札予定額1兆3500億円に対して応札額は1兆1852億円しかなく「未達」が発生した。当時は国債引受シンジケート団が存在し、入札予定額に満たない分は、シ団のシェアによって割り振りされるため、当初予定された発行額の発行は可能となることで実質発行額が予定発行額に満たない「未達」ではなく「札割れ」との表現になった。
そして今回、日銀が銀行保有株の買い取り再開を発表した当日(2009年2月3日)が、10年国債の入札日というのも何かの巡り合わせか。さすがに今回は未達といった事態は発生しなかったものの、入札結果はやや予想を下回り、最低落札価格と平均落札価格の差も大きくなった。債券先物は後場に入り一時前日比50銭を超す場面はあったものの、ストップ安といったことはなく、学習効果も働いたものと思われる。