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「絶妙のパス回し」

 日銀の総裁と副総裁を合わせて執行部と呼ぶことがある。そしてまたこの執行部は「一枚岩」と表現されることがある。日銀の金融政策を決定するのは、この執行部の3人に審議委員の6名を加えた9名の多数決で行われる。この多数決においては執行部の票が割れることは考えられない。これについては、総裁と副総裁の意見や見方が本来異なるはずで、おかしいのではないかとの意見もあったが、執行部の3人は日銀を代表する立場にもいる。このため、途中で意見を戦わせることはあったとしても、日銀がいざ動く際には同じ方向に向く。

 前置きが長くなったが、この日銀の執行部の3人が相次いで、量的緩和解除を睨んだ発言を行ってきている。2日に武藤副総裁はインタビューに答えるかたちで次ぎのようにコメントしている。

 「今年末から来年初にかけて、コメ価格の下落や電気、電話料金の引き下げといった特殊要因の影響がはく落していくとみられるので、そういう過程でプラスに転じていくだろう。2006年度にかけて、安定的にゼロ%以上と判断できるようになる可能性が高くなってきているのではないか」

 安定的にゼロ%以上と判断できるようになる可能性とは量的緩和解除に向けての第二条件である。

 そして、8月27日にカンザスシティ連邦準備銀行主催のシンポジウムにおける岩田副総裁講演の中で、岩田副総裁は「量的緩和解除の条件を満たすには長い時間は必要としないと言い得る段階に達した」と指摘した上、14日の都内のシンポジウムにおいては「量的緩和政策、現在とても出口に近いところまできている」とコメントした。

 金融経済月報の中でも消費者物価指数に関して、「年末頃にかけてゼロ%ないし若干のプラスに転じていくと予想される」という表現があったように、ことCPIについては解除のための2条件については来年にも整うとの見方を執行部はしているものと見られる。しかし、これまでやや前向きのトーンが強かった福井総裁は8日の記者会見においては、「デフレに逆戻りしないか否かを判断する時には、先程申し上げた景気回復の持続性や物価形成のメカニズムが実態的にどう変わってきているか、ということをしっかり判断するのが基本である。」といったように慎重な見方を示している。

 これはアクセルを踏んだあとのブレーキをかけたとも言え、三人がうまくバランスを取りながら市場に日銀の見方を織り込ませているものと思われる。サッカーに例えれば、執行部の3人がうまくパスを回しながら、量的緩和解除というゴールを目指して進んでいるようにも思えるのである。
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by nihonkokusai | 2005-09-14 12:26 | 日銀 | Comments(2)
Commented by 太郎 at 2005-09-15 00:35 x
債権投資には日銀ウオッチは欠かせないんですね。この前銀行株のチャートをチェックしていた時に間違えて8301と打ったら日銀が出てきて驚きました。しかもJASDAQだし、にもかかわらず金融庁のEDINETには公開文書が無いしで狐につままれたような気分です。
Commented by nihonkokusai at 2005-09-15 08:51
太郎さん、ご無沙汰です。

債券ウォッチにはBOJウォッチは欠かせません。特に緩和解除となるとかなり金利に影響を与えてきますし。

日銀の株式は下記のようにやや特殊なんですよね。

日銀法 第8条  日本銀行の資本金は、政府及び政府以外の者からの出資による一億円とする。
2   前項の日本銀行の資本金のうち政府からの出資の額は、五千五百万円を下回ってはならない。
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