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「10月31日の日銀金融政策決定会合議事要旨より、0.25%と0.20%の違いとは」


0.2%の利下げが実施されたものの、政策委員の意見が割れていた10月31日の日銀金融政策決定会合議事要旨が発表された。なぜ意見が割れたのが。具体的な様子は10年後の議事録を待たなければならないものの、おおよそのところを発表された議事要旨から探ってみたい。

まず、この議事要旨からわかったのは0.2%の利下げの議長提案に賛成したのが白川委員、山口委員、西村委員、野田委員である。それに対して0.25%の利下げの議案を提示したのが須田委員・中村委員・亀崎委員であった。水野委員は現状維持を主張した。

議事要旨によると、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、一人の委員は、「無担保コールレート( オーバーナイト物)を、0.5%前後で推移するよう促す」という現在の金融市場調節方針を維持することが適当であるとの見解を示した。この一人の委員が水野委員であった。

これに対し、大方の委員は、無担保コールレート( オーバーナイト物) の誘導目標を引き下げることが適当であるとの見方を示した。その理由としては、「わが国経済は、当面、停滞色の強い状態が続くと見込まれること、先行きのリスクをみると、景気の下振れリスクが高まっていること」を指摘した。

さらに政策金利の引き下げ幅について、「委員は、引き下げ後の金利水準とスプレッドの両面において、短期金融市場の機能維持に十分配慮する必要があり、補完貸付と補完当座預金制度の適用金利も含めて総合的に検討することが適当である、との認識を共有した上で、議論を行った。」としている。

どうもキーは短期金融市場の機能維持とともにロンバートと超過準備への付利の金利との兼ね合いにあったものとみられる。

0.25%利下げの主張派は、これまで0.25%刻みで実施することが多かった点が市場等で強く意識されている点をより重視することが適当としている。

興味深いのは次の文である。「このうちの複数の委員は、市場機能への影響という点では、0.2%と0.25%の引き下げ幅に大きな差はないのではないかと述べた」。引き下げ幅に大差ないと言っている委員が複数いた。あまり推測もいけないが流れから見てこれは審議委員で唯一執行部案に賛成した野田委員と、利下げそのものには反対したが水野委員ではないかと思われる。

続いて何人かの委員は、「政策金利の水準は既に極めて低く、更なる金利引き下げを行うにあたっては、金利水準の低下が持つ金融緩和効果とともに、引き下げが短期金融市場の機能を阻害し、却って資金の流れを悪くする可能性についても十分配慮する必要がある。特に、現在のように、金融市場の機能の大幅な低下がみられる局 面では、後者の問題の重要性が一段と増大している、と指摘した上で、これらを考慮すると、0.2%の引き下げとし、市場機能に配慮しているという姿勢を明確に示すことが適当であるとの認識を示した。」

もちろんこれは執行部案による0.25%ではなく0.2%とした大きな理由であろう。短期金融市場の機能を阻害については、25日の金融調節に関する懇談会における白川総裁挨拶「短期金融市場の機能度と中央銀行の金融調節」(http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0811e.htm)で総裁がさらに説明を行なっている。

このうちのある委員は「0.05%の差であっても、その違いは無視できないと述べた。」とあるが、これは山口副総裁とみられる。

別の委員は「国際金融市場の全面的な動揺というかつてない状況の下では、従来の0.25%刻みにとらわれる必要はないと付け加えた。」、西村副総裁か野田委員であろう。

そして、補完貸付と補完当座預金制度の適用金利については、政策金利とのスプレッドはどの程度が適切かという観点から議論が行われたとある。この点もポイントとなったとみられる。

多くの委員は、「スプレッドが広い場合には金利のコントロールが難しくなる一方、狭い場合には金融機関が資金を市場に放出せず市場取引が不活発になるなど市場機能が阻害される、といったことを踏まえて検討することが大切であるとの認識を示した」

上記が一般的な見方ということであろう。これに対し、

ある委員は「市場機能を阻害する可能性には留意する必要があるが、金融市場の安定確保が重要な時期であること、補完当座預金制度の導入は臨時かつ時限的な措置であること、を考慮すると、例えば上下0.15%という狭いスプレッドもやむを得ないのではないかと述べた。」これは須田委員・中村委員・亀崎委員の0.25%引き下げ派の一人であろう。

別の委員は、「補完貸付の適用金利のスプレッドは従来と同様に0.25%とするのが適当であるとした上で、最近の無担保コール( オーバーナイト物) 市場における取引金利の散らばりに関するデータを紹介し、0.15%までのスプレッド縮小なら市場取引にさほど影響を及ぼさないため、補完当座預金制度の適用金利のスプレッドは0.15%とするのが適当であるとの見方を示した。」。スプレッド0.15%でも問題なしとするデータを事前に準備してた委員がいたとみられる。須田委員であろうか。

これに対し、「ある委員は、市場には一旦取引量が細り始めると加速度的にそれが進行するという面があるため、導入当初はスプレッドを広めに取る方が良いとの認識を示した。また、別の委員は、市場機能への配慮の観点から、補完当座預金制度の適用金利を、ゼロではない一定の水準以上に設定することが適当であると述べた。こうした議論を踏まえ、何人かの委員は、スプレッドを上下0.2% とすることが適当であるとの見解を示した。」

これは執行部案に賛成した3人のうちの意見であるが、「補完当座預金制度の適用金利を、ゼロではない一定の水準以上に設定することが適当」としたのは総裁もしくは副総裁の発言と思われる。

以上、なんとなくではあるが、0.25%と0.20%の主張の違いが垣間見れる。特に執行部は短期金融市場の機能を阻害、補完当座預金制度の適用金利をゼロではない一定の水準以上に設定といったことが強く意識されたのではないかと思われる。

そして水野委員の反対理由としては、「現下の政策課題は政策金利引き下げよりも、C P ・G C レポ市場等の現状を踏まえた資金の目詰まり対策であること、景気が一層悪化した場合の対応について更に議論が必要であること、C P ・社債市場の機能低下等を踏まえると、利下げの効果が実体経済に波及するメカニズムがはっきりしないこと、追加利下げ期待からコールレートに低下圧力がかかり、金融市場調節上、潤沢な流動性供給が却って難しくなるリスクがあること、全員一致で現状維持を決定した会合から時間が経っていないことから、反対した。」としている。

利下げの前に資金の目詰まり対策を行なうのではないかというのが、突如利下げ観測が強まる前の市場の見方でもあった。また、14日の臨時の金融政策決定会合で全員一致で現状維持となっていたものの、それからからさほど時間も経過していないにも関わらず、利下げを行なう点について指摘している。
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by nihonkokusai | 2008-11-27 10:13 | 日銀 | Comments(0)
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