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「15年変動利付国債の個人の販売には注意が必要」

ブログをご覧いただいている方から国債に関しての問い合わせをいただいた。内容は残存15年程度の国債を100円額面のものを約96円で証券会社から買いを勧められているというである。これは個人向け国債と同じもので買っても良いのかというものであった。具体的にどのような国債なのかわからず、可能性としては20年国債の既発債かなと思い、念の為、その価格に近いものがあるのも調べてお答えした。少なくとも個人向け国債ではなく、価格変動リスクがあることなど注意を促すとともに、もう少し具体的に何年物の国債で何回債なのかも教えてほしいと返事をした。

その後、具体的な国債の内容がわかり、それを見て驚いた。それは20年利付国債などではなく「15年変動利付国債」だったのである。証券会社の担当者からは金商法の範囲内での価格変動リスクを含めて通常のリスクの説明はあったと思う。しかし、問い合わせをくれた人もどこか腑に落ちず、このため見ず知らずの私に問い合わせしてきたと思う。

この15年変動利付国債は債券市場関係者ならば、別なリスクがあることは周知の事実である。その状況は一般個人はまず知らないのではないかと思う。証券会社の現場の担当者もその状況を把握していたのであろうか。もし把握していたとしてもそのあたりの説明はあったのであろうか。

そのリスクとは、日経新聞などでも報じられていたように、15年変動利付国債と物価連動国債は需要がなく一時の投売り状態などもあって、すでに今年度の発行が途中で見送られるという「異常事態」となっていることである。来年度についてはまだはっきりはしないが、現状では来年度も見送られる可能性が高くなっている。

だからこそ証券会社が在庫処分に困り個人向けの商品としてリストアップした可能性もあるが、発行が今後も中止となれば流通市場も縮小し、それにより流動性リスクが強まり、償還まで持てば良いが、途中で売却できないといった可能性も秘めている。念の為、個人向け国債の10年変動タイプと15年変動利付国債はまったく異なる商品である。個人向け国債は一定期間後(10年変動タイプは発行してから1年経過後)であれば、財務省が額面で買い取る仕組みとなっており、売却に支障はない。

物価連動国債は個人に販売はできないが、15年変動利付国債には制限はなく通常の利付債同様に個人への販売は可能である。しかし、関係者ならば知っているものの、それが一般認識にまで広まっていないリスクについては、債券本部などが販売にあたり十分な注意を促す必要がある。ただし、その注意といっても一般個人にはたいへんわかりにくい事情でもあり、できればこのような特殊事情の存在する商品は、情報の非対象性の観点からも個人への販売は極力控えるべきものであろう。
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by nihonkokusai | 2008-11-26 13:37 | Comments(6)
Commented by 為替太郎 at 2008-11-26 21:58 x
いつもこちらのブログを拝見している者です。インターバンクで行われている債券取引について教えてくださいm(_ _)m

為替の場合はEBSやFXallなどの電子端末が有名なのですが、債券売買の現場で使用している電子端末はどのような物が有名なのでしょうか?

国債の価格はBIDとASKがあるのですが、利回りを計算するときにはどちらの価格が基準になるのでしょうか?

国債の価格を見るときは現物と先物のどちらを中心に見るべきなのでしょうか?

国債の指標銘柄はどのような基準で選ばれるのでしょうか?

国債価格の終値は各国によって違うのでしょうか?
Commented by nihonkokusai at 2008-11-27 12:59
ブログご覧いただきありがとうございます。

 ご質問の件、債券取引での電子取引は、日本相互証券、キャンター、ガーバン、jボンド証券、エンサイドットコムなどでの取引が行われています。
 
 国債現物取引はBIDとASKはありますが、外為のように一度に両方提示する必要はなく、売りたい人はASK、買いたい人はBIDを出すか、直接BIDとASKを叩きくかすることで、それで約定した利回りから価格を算出します。

 国債の価格をみるとは、債券相場の流れを見るということだと思いますが、先物がわかりやすいです。

国債の現在の指標銘柄は、直近に入札された銘柄です。

 米国債と日本国債はそもそも違うものなので、それぞれ国によって異なります。米国債の引けはNY取引時間での米国債の引け、日本国債の引けは東京市場の時間帯での引けとなります。
Commented by 為替太郎 at 2008-11-27 13:19 x
返信ありがとうございます、大変勉強になりました。

一番最後の回答で日本国債と米国債の引ける時間が違うと書かれていたのですか、電子取引(24時間)を行っている場合は取引所と違い明確な終わりが無いため、何を基準に終値を決めるのかがわかりません。

為替市場は受渡日が変わった時点で終値が決まるのですが、債券市場では何か特別な終値を決める方法が存在するのでしょうか?
Commented by nihonkokusai at 2008-11-27 13:42
日本国債の場合、清算値として使うのは東京時間15時現在の値段で、証券業協会や日本相互証券などが算出しているものが一般的に使われています。
Commented by Pax at 2008-12-02 14:53 x
物価連動国債の価格は急落し現在も下落しているようですが、この急落は需給が主要な要因でしょうか。また、今の局面で個人の買える物価連動国債ファンドのリスクは何でしょうか。異常事態のようで調べてもほとんど記述が見当たりません。よろしくお願い致します。
Commented by nihonkokusai at 2008-12-03 09:14
ちょうど朝日新聞での特集があり物価連動国債の動向については、こちらを参考にしてみてください。
債券市場関係者に聞く、「物価連動債」のゆくえ
http://www.asahi.com/business/fund/news/TKY200812010162.html

海外の物価連動国債を組み入れた投資信託は、特に日本の物価連動国債のような問題を抱えてはいません。

ただし、日本の物価連動国債を主体に組み入れた投資信託は
すでに保有する物価連動国債の価格下落の影響で基準価格が下落しているかと思います。

今後は発行停止の影響で、運用のための売買に影響が出てくる可能性もありそうです。

今後、商品性を変更してあらためて新型の物価連動国債が発行される可能性もあり、先行きもやや不透明です。

もし現在、すでに保有されている際には、基準価格の動向や物価連動国債の組み込み比率などを確認し、あらためて買い付けされた際の担当者に動向を再確認しておいたほうが良いかと思います。

ただし、個別ファンドの動向に関しましては私のご返答はむずかしいので、担当者に直接お問い合わせしてみてください。
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