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「白川総裁とキング総裁」

 2007年5月12日の日本金融学界における武藤日銀副総裁(当時)の講演「中央銀行の政策決定と委員会制度」の中で武藤副総裁は、英国イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)における例を引き合いに出していた。

 『MPCでは、採決にあたって、頻繁に反対票がみられます。時には、9名のうち4名までもが反対に回ることもあります。例えば、2007年1月にイングランド銀行が利上げを行った際のMPCでは、採決は5対4でした。キング総裁は多数派でしたが、金融政策担当のロマックス副総裁、ビーン理事、タッカー理事は少数派となりました。この際の投票結果は、外部委員の4名は3対1で、内部委員の5名は2対3でした。また、2005年8月にイングランド銀行が利下げを行った際のMPCの採決も5対4でしたが、このときはキング総裁は少数派となりました。この際の投票結果は、外部委員の4名は4対0、内部委員の5名は1対4でした』

 『キング総裁が、その後の議会証言において、「我々は多数決により決定しているので、論理的に総裁を含む各委員は皆少数派になることがありうる。私はそれで構わないと思っている。…MPCでは、討議を経て、各委員が自己の信念に基づいて正直に投票することになっている」と述べていたのは印象的でした。』とも武藤氏は述べている。

 福井総裁当時の日銀の金融政策決定会合では議長提案が出される前に、それぞれの意見を聞いたうえで、意見がある程度集約され、その結果、4対4に意見が分かれているとみた際には、最終的に議長である総裁が議長提案をどちらで出すのかによって決定されていた。

 武藤氏はMPCでの例において内部委員と外部委員それぞれの票数もカウントしていた。これは多少状況は異なるかもしれないが、日銀で言えば3票の執行部票と6票の審議委員票も意識したものかもしれない。

 MPCよりコンセンサスを重視しているとみられた日銀では、これまで反対票は定員9人の際でも3票までに抑えられてきた。しかし、10月31日の金融政策決定会合では、政策委員は1人少ない8人となっていたが、その中で議長提案に対して4対4に意見が分かれたのである。

 日銀の総裁が白川氏となり、それまでの福井前総裁の決定会合のプロセスがそのまま受け継がれたのではなく、イングランド銀行のキング総裁のスタイルのように「各委員が自己の信念に基づいて正直に投票すること」を、コンセンサスよりも意識したものとなってきた可能性がありそうである。
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by nihonkokusai | 2008-11-10 09:43 | 日銀 | Comments(0)
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