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「金融危機後の財政への警戒も」


 米国では金融安定化法案が下院で可決しても、金融市場での先行き不透明感は拭えず、それ以上に、欧州の金融市場の動向に懸念も示された。欧州各国も金融危機への対応に躍起になっており、それだけ今回の金融危機への懸念がむしろ強まる結果となった。今回の米国発の欧米金融市場を直撃した金融危機の中にあって、唯一怪我が少なかった日本円が買われ、リスクの高い株が下落する反面、債券市場では「質への逃避」への動きから国債主体に買いが入った。しかし、欧米の危機対応により、いずれ欧米の財政に影響が出ることが考えられ、その結果として国債の需給に対しての懸念が強まる可能性があることにも注意が必要である。

 米国では金融安定化法案が可決されたことから金融機関の保有する不良債権の買取の準備を始めており、このため3年国債を11月から再発行するなど、今後の国債発行スケジュールが変更される見通しとなっている。国債の発行上限を引き上げる措置も安定化法案に盛り込まれた。

 また10月4日に開催された欧州4か国による金融危機に関する首脳会議において、EU財政安定成長協定に関し「例外的状況に照らし合わせて柔軟に行うべきだ」との認識で一致するなど、財政赤字はGDPの3%以下にするとのユーロ導入時の条件が見直される可能性がある。すでに欧州各国では預金保護を相次いで強化しており、そのための財政出動の可能性も指摘されている。

 日本では、1990年代に発生した金融危機に対し公的資金の導入を始め、金融危機の影響による景気後退の対策として積極的な財政政策が講じられた。その結果、1998年11月には、格付会社ムーディーズが日本国債の格付を引き下げるといった事態が発生し、さらに1998年末には国債を大量に引き受けていた大蔵省(当時、現財務省)資金運用部の国債の引き受け比率が大きく低下することをきっかけとして、資金運用部ショックと呼ばれる債券相場の急落が引き起こされた。

 欧米で、日本の「資金運用部ショック」のような事態が発生することは、現状は考えづらいものの、財政負担の増加が欧米の債券相場に今後影響を与える可能性はないとは言えない。

 日本においても、景気後退が意識され、今後二次補正も必要に応じて検討されるものと思われる。その際には減税策といった景気対策への財政出動とともに、今年度の税収減にともなう国債発行が予想される。税収減などを含めると数兆円単位となることが予想され、さらに来年度の国債発行についても、前倒し発行のバッファー分はあるにしても、今後はある程度の規模の国債が増発される可能性がある。

 欧米の金融市場の混乱はいずれ収束に向かうと思われるが、その後は金融危機による景気への影響と、それにともなう財政への影響も認識しておく必要もありそうである。
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by nihonkokusai | 2008-10-07 13:02 | 日銀 | Comments(1)
Commented by yutakarlson at 2008-10-11 10:45 x
こんにちは。当面の信用不安を克服するため、各国が資本注入することは避けられないことだと思います。しかし、その後どうするかで、実体経済の回復が決まってきます。
私は、現在多くの人々の頭の中は「経済」というキーワードでいっぱいになっていると思います。そうして、八方塞になっていると思います。私たちは、ここで「社会」に着目する必要があると思います。今後健全な社会を形成しなければ、実体経済も良くはなりません。といようより、現在全く異質な社会に入りつつある先進国においては、「次の社会」に備える国だけが、来るべき将来において、健全な社会と経済を手にするということです。逆に、「次の社会」に備えない国とっては、不健全な社会と経済で没落していきます。詳細は是非私のブログをご覧になってください。
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