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「日本経済の先行きと金融政策運営」


 25日に開催された大阪経済4団体共催懇談会において、日本経済の先行きについ日銀の白川総裁は「当面、停滞を続ける可能性が高い」ものの「日本経済が深い調整局面に陥る可能性は小さいと判断」しており、先行きの日本の景気については「国際商品市況高が一服し、海外経済も減速局面を脱するにつれて、次第に緩やかな成長経路に復していく」という予想を引き続きメーンシナリオとしていることを示した。

 その理由として「日本企業のリストラ努力の結果、設備・雇用・債務の3つの過剰が解消しており、景気の下振れをもたらすショックに対する日本経済の頑健性が高くなっている」点を上げている。さらに、サブプライム・ローン問題による日本の金融機関の損失が限定的であったことに加え、「日本の金融環境は全体としては緩和的」であり、これが引き続き企業活動を下支えするとしている。

 物価については、「国内の需給バランス、家計のインフレ予想や企業の価格設定行動からみて二次的効果が直ちに高まる情勢にはない」とし、消費者物価は輸入価格の転嫁の動きが続くことでしばらくはやや上昇率を高めるが、その後は「国際商品市況の上昇が緩やかとなり、価格引き上げの動きが一巡するにつれて、徐々に上昇率が低下する」と予想している。

 ただし、こうした予測についてはデータやスタッフが揃っている中央銀行の予測といえども、予測誤差は決して小さくないという実態も説明している。金融政策運営の前提となる予測も中心的なシナリオに加え、「不確実性をもたらしている様々な要因も念入りに点検するという姿勢」の重要性を述べ、「新たなデータが判明する都度、予断を持つことなく虚心坦懐にデータを点検し、予測を修正していくことが求められます。」と指摘している。時代の流れの移り変わりも激しく臨機応変といった対応は現在の中銀の金融政策に絡んで求められているものであろう。

 リスク要因として、景気に関しては、国際金融資本市場の当面不安定な状態、世界経済の下振れリスク、国内での所得の海外流出による内需下振リスクを上げている。

 また、物価面では上振れリスクを意識し、長期的なエネルギー・原材料価格の上昇に加え、日本では「家計のインフレ予想や企業の価格設定行動が変化し、二次的効果が発生するリスク」にも注意する必要性を指摘している。また、景気の下振れリスクが薄れる場合には、「緩和的な金融環境の長期化が経済・物価の振幅をもたらすリスク」についても言及している。

 金融政策運営に関しては「先行きの経済・物価の見通しとその蓋然性、上下両方向のリスク要因を見極めた上で、それらに応じて機動的に政策運営を行っていく」方針であり、また、国際金融資本市場が不安定な状況が続き、様々な不確実性が高いもとで、「国内金融市場の安定をしっかり確保していくこと」が、大事な課題であると指摘している。

 この白川日銀総裁の発言からは、日本経済は「次第に緩やかな成長経路に復していく」というこれまでの日銀のシナリオには大きな修正はないものの、不確実性が高いことでリスク要因も見極めての政策運営を続けていくとみられ、結果としては当面は現在の金融政策を維持していく姿勢を示したものとも言えそうである。
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by nihonkokusai | 2008-08-26 10:02 | 日銀 | Comments(0)
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