「雇用の悪化と生産の低迷」
25日の講演で門間日銀調査統計局長は、雇用について、中高年の失業率が上昇し中高年の雇用環境が厳しい。全体としても雇用の伸び率は止まっているといった状況を指摘していた。今後、失業率は上昇傾向との発言もあったが、実際に29日に発表された6月の完全失業率(季節調整値)は4.1%となり前月に比べ 0.1ポイントの上昇となった。引き続き中高年の失業率が増加し、非自発的失業者数が増加に転じるなど雇用情勢の悪化を示す内容となった。また6月の有効求人倍率(季節調整値)は0.91倍となり、こちらも前月比0.01ポイント低下と悪化し、これは2005年2月以来の低水準となった。新規求人数は前年比17.9%減となり主要9産業の全てで減少した。
また経済産業省が本日発表した6月の鉱工業生産指数速報値(季節調整済み)は前月比2.0%低下と2か月ぶりの低下となり。市場予想よりも弱い数字となった。また4~6月期の生産指数は前期比0.7%の低下、これにより低下は2四半期連続となったが、2四半期連続のマイナスは2005年基準では初めてとなった。経済産業省は生産の基調判断をこれまでの「生産は横ばい傾向であるが、弱含んでいる」から「弱含みで推移」と下方修正した。生産についてもやや注意信号が点ったかたちとなっている。
大田経済財政担当相は、失業率等の発表を受けて、雇用は足踏み状態だが今回の数字には注意が必要と発言した。また日銀の水野審議委員は 24日の会見において「個人的には、今は景気の下振れの方をやや意識」と発言しており、門間調査統計局長も、いざなぎ景気を超えてきた現在の景気拡張局面から景気後退局面に入る可能性もありうると指摘していたが、今回の6月の失業率と鉱工業生産指数を見ても、足元経済が弱含みとなっていることを示し、景気後退入りするのかどうかまさに正念場といったところにありそうである。