「リスクの知識」
最近、地域の集会に参加したり、親戚が集る機会などがあり、いろいろな人と話をしていると金融市場に関係ない人が、米サブプライム問題や原油価格の上昇などについてかなり詳しいことがわかった。ニュースなどで報じられていることもあるが、投資信託や株式、そして個人向け国債などを通じて金融市場に関心を持つ人が増えてきていることも確かなのであろう。
ただし、実際の金融商品のリスクについては、それほど詳しい知識は持ってはいないのではなかろうか。銀行や証券会社、ゆうちょ銀行などでの窓口を通じ、担当者の説明は聞くものの、結局、その担当者の言っていることを信頼して購入するといったことも多く、リスクに関して話しを聞いてもそれを完全に理解しているわけでもないようである。
金融商品にどれだけのリスクが内在されているかは現実には計りようがない。その計りのひとつであるはずの格付会社の格付が正確にリスクを示しているのかどうかは、米サブプライム問題で疑問符が生じただけでなく、日本国債への格付などを見ても疑問である。格付はあくまでひとつの専門調査機関のリスク判断に過ぎないと見ておく必要がある。
価格変動リスクに関しては、さすがに現場で相場に張り付いて経験すれば、そのリスクを肌で感じることができよう。市場関係者だけでなくデイトレーダーと呼ばれる個人投機家もその恐さとともに面白さも理解しているものと思われる。
金融商品のリスクは現実に相場を経験しないとはっきりわからないものでもある。クルマを運転していると事前に何かを察して交通事故を防いだという経験を持った人も多いのではなかろうか。視野に入ったものに何かしら違和感なり、通常ではない気配を察することがあるのは、ある種の経験によるものだと考えられる。金融のリスクも同様でなかろうか。これを知識だけで理解しようというのにも無理があるのかもしれない。