牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

「さくらレポート」


7月7日に公表された日銀の地域経済報告(さくらレポート)の内容を確認してみたい。

総括判断としては、「足もとの景気は、地域差はあるものの、エネルギー・原材料価格高の影響などから、全体として引き続き減速している」として基調判断は据え置かれたものの、全9地域のうち、東北は現状維持としていたが、その他の8地域は個人消費に弱めの動きがみられること等からやや下方修正されている。ちなみに4月時は北海道以外の8地域がやはり下方修正となっていた。

このさくらレポートの中で、今回は設備投資に関して見てみたい。総括としては「設備投資は、交易条件の悪化等により企業収益が減少していることなどを背景に、増勢が鈍化しているないしは、高水準ながら横ばいとなっているといった報告が目立っている。」としている。

そして、最近の企業の設備投資動向として「交易条件の悪化による企業収益の減少や先行きの需要に対する不透明感の高まりを背景に、増勢が鈍化している。こうした中で、企業の規模や業種等の違いによる投資スタンスのばらつきが一段と鮮明化している」としている。

「交易条件の悪化による企業収益の減少」は今後の国内景気動向を見る上でのひとつのポイントとなりそうだが、設備投資においての「投資スタンスのばらつきが一段と鮮明化」している点も興味深い。

特に大企業製造業では、投資抑制の動きが一部にみられるものの、先行きの市場成長が見込まれる分野に対しての投資は着実に実施するとのスタンスが維持されている。これは「企業が財務体質の改善強化を進めてきた結果、経営環境の悪化に対する耐性を強めている」点も指摘している。また、エネルギー・原材料コスト増に対応するための合理化や省力化投資に対する関心も強まり、「環境関連投資や被災リスクへの対応、食品の安全性向上などに向けた投資に取り組む動きが目立ちはじめているのも最近の特徴である」としている。

大企業非製造業は、グローバル需要の取り込みが難しことや、消費の先行きに対する不透明感などで大企業製造業ほどは積極的ではないとみられる。

注意が必要なのは、中小企業の投資へのスタンスかと思われる。中小企業では業種に関わらず抑制的な投資スタンスが広がりつつあり、大企業に比べ投資余力や価格交渉力、技術力・販売力に乏しい先が多いことで「リスクの大きい投資を見合わせたり、必要最低限の投資に絞り込もうとする動きが目立ち始めている」としている。ただし、「高い技術力を持つオンリーワン企業やニッチ分野における需要の取り込みに成功した先等では、積極的な投資スタンスを維持している」として、中小企業間でも投資スタンスの「ばらつき」が鮮明化している点をレポートは指摘している。

そしてレポートでは、「今後の企業収益や内外経済の動向次第では、中小企業の抑制スタンスが一段と強まるのみならず、大企業の中長期的な戦略に基づく投資計画にも少なからず影響が及び、こうした下支え効果が剥落するリスクには留意する必要があると考えられる。」としている。

7月1日に発表された日銀短観では、2008年度全産業設備投資計画は例年通り3月の見通しに較べて上方修正され+2.4%となり、市場予想を上回る結果となったが、一時期に較べて低水準であることも確かである。設備投資について今後はばらつきがより一掃鮮明化した上で、全体として抑制的な投資スタンスが広がる可能性もあることで、先行きの動向には注意が必要となりそうである。
[PR]
by nihonkokusai | 2008-07-08 09:31 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー