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「ECBの利上げと米雇用統計」


 欧州中央銀行(ECB)は、3日の定例理事会で政策金利を0.25%引き上げ、年4.25%にすることを決定した。6月のユーロ圏15か国の消費者物価上昇率(速報値)が前年同月比で4.0%となり1999年の通貨統合後の最高水準を更新するなど、「インフレは安定水準を上回っている」とのトリシェECB 総裁の発言もあったがインフレ抑制のための利上げとなった。注目された今後の金融政策の運営に対してトリシェ総裁は、「先行きの金融政策に関しバイアスはない」とコメントし」追加利上げに関しては明言せず、これによりECBによる追加利上げ観測はいったん後退した。

 今回のECBの利上げにより、欧米の金利差は2.25%となり1999年のユーロ導入以来最大となり、ドル安への懸念なども強まっていたが、ECBによる追加利上げ観測の後退でドル売りは一服となった。トリシェ総裁とポールソン財務長官と事前に会合を開くなどしていた経緯もあったことで米国に対して一定の配慮を示したともみられる。さらに、トリシェ総裁は欧州の経済成長リスクは下向きとの発言もあったように、域内景気も意識されたのではないかともみられる。

 もうひとつ注目された6月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月比6.2万人減と6か月連続で前月比減少となったが、これはほぼ事前予想に近い数字ともなった。4月の雇用者数も2.8万人減から6.7万人減に、5月も4.9万人減から6.2万人減にそれぞれ悪化の方向で修正された。

 そして6月の失業率は5.5%と前月比横ばいに。5月の米失業率が前月比+0.5%も跳ね上がっていたことで、その水準が維持されているのかどうか注目されていた。結局、前月比横ばいとなったことで引き続き米雇用情勢は悪化していることを示した。FRB高官からも物価上昇よりも景気減速を意識するような発言もあったようだが、失業率の発表を受けてFRBによる利上げ観測はさらに後退したものとみられる。

《HK》
by nihonkokusai | 2008-07-04 09:21 | 国際情勢
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