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「国債買入結果を意識した売り仕掛け」


昨日実施された国債買入の結果は全取利回格差は+0.153%、平均落札利回格差は+0.158%となり16日に実施された国債買入の結果(全取利回格差が+0.101%、平均落札利回格差が+0.109%)をさらに上回り、1998年5月以来の水準となった。

 5月16日には国債の買入結果を受けて債券先物に仕掛け的な売りが入り、一時前日比78銭安の134円37銭まで下落し、現物も売られ5年71回+ 0.040%の1.300%、10年292回は一時+0.040%の1.710%が打たれた。超長期20年も+0.030%の2.265までがヒットされていた。

 しかし、22日はすでに国債買入がオファーされたあと前場の引けにかけて売り仕掛けが入るとともに、11時30分に発表された結果を受けて後場は売り気配でのスタートとなり、一時前日比1円6銭安の134円80銭まで下落した。現物も10年292回は一時+0.085%の1.690%まで打たれ、5年71回も+0.075%の1.240%に、2年268回も0.810%が打たれた。また20年100回は+0.065%の2.300%がヒットされたが、これは2007年7月以来の水準をつけた。ただし、引けにかけては急速に値を戻し、先物は135円42銭で引けており、10年292回し 1.665%に、5年71回も1.210%に、20年100回も2.280%に。

 日銀の国債買入に対しては期間の短い国債中心に入ったとみられ、実際に長期債の相場への影響は限られるはずだが、これをきっかけに先物に CTAなどから仕掛け的な動きが入り、業者もリスク許容度が低下していることに加え、大手銀行も同様に積極的に動きづらい中、現物への売りも追随してしまったことで債券相場の急落に繋がってしまった。

 国債買入での利回り格差の拡大というのは、オペに打ち込まれた国債のほとんどが6月償還のものであったことみられ、償還銘柄については国債買入の利回り格差の元になる売買参考統計値が元利金取扱手数料の収入部分を加味したものなっているために必然的に利回り格差が拡大してしまうというテクニカル的な要因によるものであった。

 それでは何故、償還銘柄の国債が持ち込まれたか。そもそも償還銘柄は売りが出やすいと言われている。その理由のひとつが償還銘柄は振替決済停止期間入りすると担保として使えなくなるというこちらも技術的な要因であり、また投資家が四半期毎の国債償還の山を均すために売却したのではないかとみられた。

 ここにきて一部大手投資家の短い期間の国債の売却によって、そういった売却額そのものがかなり増加してきたのではないかとみられている。このため、持ち込まれた業者も持ちきれずにポジション調整のため国債買入を使って売却してきたものと思われるのである。

 その結果として、日銀の国債買入に非常に期間の短い国債の償還物が打ち込まれ、基準となる利回りが償還手数料見合いとなるという技術的要因によって全取利回格差が拡大したということになる。そのため、債券相場への直接的な影響は本来は限られるはずである。ただ、国債買入が期間の短い国債ばかりとなってしまったことでその分、業者も本来これを使って長めの国債を処分しようとしてもできず、しかたなく市場で売却したのではないかとの見方もある。しかし、国債買入はこれまでも比較的期間の短い国債主体であったことで、影響そのものはあまりないはずなのである。

 それにも関わらず、相場がこれだけ揺れ動いてしまうのは、債券先物に何かしらのきっかけを待っての仕掛け的な動きが入り、それによって相場が揺れ動いてしまうほど相場全体の地合が悪化しているといえそうである。

 4月以降の10年、5年の国債入札結果を見ても業者はかなりリスク許容度が低下していた。さらに4月の投資家別売買状況見ても都市銀行は長期債は売り越しとなっているなど期間の短い債券に入れ替える動きを強めていた。債券先物の建て玉が10兆円を割り込む日が多くなるなどしているが、これも業者や大手銀行がヘッジやディーリングのための先物のポジションを減らしてきていることも一因か、債券先物は参加者が限定される中、CTAといった投資家の仕掛けが入りやすくなっている上、現物も押し目買いは入るものの積極的に上値を買ってくる投資家も限られ、いったん売り仕掛けが入ると崩れやすい地合になっている。このために、こういった国債買入の結果なども材料視され、相場変動要因となってしまったものと思われるのである。
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by nihonkokusai | 2008-05-23 09:37 | 債券市場 | Comments(0)
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