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「個人向け債券の種類」


 個人向け債券といえば、代表的なものが個人向け国債です。個人向け国債は既存の国債とは異なり、個人間の譲渡以外の譲渡はできず個人専用の国債となっています。これまで発行された国債の最低額面金額は5万円であるのに対し、個人向け国債は1万円から1万円単位となっています。現在個人向け国債には2種類あります。利率は半年毎に実勢金利に応じて支払われる変動金利タイプの10年満期のものと、利率が固定されている5年満期です。変動タイプの個人向け国債は発行から1年経過すれば途中換金が可能です。また固定タイプは発行から2年経過すれば中途換金が可能となり、一定期間の利子相当額が差し引かれますが、元本で政府が買い取ってくれます。それぞれ年率0.05%の最低金利保証が設定されています。発行は現在、1月、4月、7月、10月の年4回となっています。

 また、国債には個人向けとして2007年10月から新型窓口販売方式による国債の販売が行なわれています。これは期間が2年、5年、10 年の固定金利型の国債で毎月募集・発行されます。すべて固定金利型となっていることで、発行時に決定された利率は、償還時まで変わらず、半年ごとに決まった利子が支払われ、額面金額で償還されます。購入最低額面単位は5万円から可能で、5万円の整数倍単位での購入となります。

 個人向け国債は、現在のところ募集が年4回に限られていますが、新窓販国債は毎月購入が可能です。新窓販国債は、一定の期間は中途換金が制限される個人向け国債と異なり発行後いつでも市場価格での売却が可能です。ただし、個人向け国債のように元本で政府が買い取る仕組みにはなっていません。また最低金利保証といったものもありません。

 個人向け債券には国債以外にもいくつかの種類があります。地方債や社債にも個人専用の債券を発行しているところがあれます。特に個人向けの地方債としては「ミニ公募債」と呼ばれる債券が発行されています。「ミニ公募債」は、これまで法人主体に発行していた地方債に対して、消化の裾野を個人に広げようと企画されたもので、地方公共団体にとの資金調達手法の多様化が図られるとともに、住民の行政への参加意識の向上といったものも意識されたようです。もちろん個人の資金が貯蓄から投資へとの流れの変化といったものも意識されていたと思われます。

 公募地方債は総務省が許可した地方公共団体しか発行できませんが、このミニ公募地方債はすべての地方公共団体で発行することが可能です。さらに、ミニ公募地方債はその発行のための対象事業を明確にしていることもポイントになっています。

 さらに、一般企業の資金調達手段となっている社債の販売先を個人に限定した「個人向け社債」も発行されています。個人向けの電力債などは発行の単位が10万円や50万円と小口化され、個人でも購入しやすくなっています。また大手銀行も2008年に入り個人向け社債を発行しています。また証券会社などでは、個人向けの外債も販売しています。日本の債券に較べて利子が高いものが多く魅力的ですが、為替変動リスクが伴う点に注意が必要です。

拙著「最新債券の基本とカラクリがよ~くわかる本」原稿より
by nihonkokusai | 2008-05-12 10:18 | 国債
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