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「武藤日銀副総裁のインタビュー」

 日本銀行の武藤敏郎副総裁はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで下記のようなコメントをしている。

 「わが国の景気は、情報技術関連分野の調整が進むもとで回復を続けている」と指摘。先行きも「海外経済の拡大が続くもとで輸出の伸びが次第に高まっていくとみられ、国内民間需要も高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、引き続き増加していく可能性が高い。こうしたことから、緩やかながらも息の長い景気回復が続くと考えている」

 ほぼこれまでの日銀福井総裁のコメントに近い内容となっている。

 「今年末から来年初にかけて、コメ価格の下落や電気、電話料金の引き下げといった特殊要因の影響がはく落していくとみられるので、そういう過程でプラスに転じていくだろう。2006年度にかけて、安定的にゼロ%以上と判断できるようになる可能性が高くなってきているのではないか」

 「本年末から来年初にかけて、米価格の下落や電気・電話料金引き下げといった特殊要因の影響が剥落していく過程で、プラスに転じる可能性が高くなると判断している」との福井総裁のコメントから、さらに踏み込んだコメントとなっている。これで福井総裁と武藤副総裁が一枚岩であることもやはり確かとなろう。今年10月から12月がプラスとなりさらに来年初めにかけても、コアCPIがプラスと確認されれば、解除の2条件が整うとの見方もこれで裏付けられた。

 日銀は4月の「経済・物価情勢の展望」で、量的緩和の解除時期について「今回の経済・物価見通しが実現することを前提とすると、2006 年度にかけてその可能性は徐々に高まっていく」と予測した。副総裁は「今日までの時間的経過のなかで、その見通しが実現するがい然性は次第に高まっている」と言明。さらに、今年度後半にもそうした可能性があるのか、という問いに対しては「そういう可能性も出てくると考えてよいのではないか」と述べた。

 あくまで可能性ではあるものの、ここまで指摘してくるとは思わなかった。早ければ来年早々にもとの見方はそれほど間違ったものでもなかったようである。ただし1月にはメガバンクの統合が控え、3月は決算期末などもある。実際に条件が整うとしても、2月中の解除とかはさすがに難しそう。早くても4月以降になるのではないかとやや時期を修正したい。

 来年8月に行われる消費者物価指数の基準年改定に伴い、同年1月以降の指数は下方修正される公算が大きい。2000年基準に改定された5 年前は、0.3%ポイント程度の下方修正が行われた。今回の改定では0.1%ポイント-0.2%ポイントの下方修正にとどまるという見方も多いが、事後的にマイナスに覆るような小さなプラス幅での解除は避けるべきだ、という声もあるとの見方について副総裁は、

 「量的緩和政策の解除を消費者物価に基づく約束に沿って判断していくとき、当然ながら、その時点において利用可能なデータを用いるしかない。したがって、判断の時点において想定していた先行きの見通しが、物価指数の技術的な改定に伴って事後的に幾分異なった姿になることは十分考えられる」と指摘。「多少、事後的に変わっても、それは仕方のないことだと思う」と語った。

 先行き技術的な要因でマイナス転換したとしても、それは解除条件には抵触しないとの見方を示したものとみられる。これについてもまさに同意。現在算出しているCPIにおいて安定的にゼロ以上と判断しうるならばそれは解除条件を満たすものと考えられる。

 「一つ申し上げたいのは、先行きの物価情勢の判断に当たって、背景にある経済情勢を含めて、広い意味での物価の基調を見極めることが非常に重要だということだ。物価指数改定に伴って多少振れる可能性があるとしても、景気が回復を続けていくもとで、物価が基調として上昇していくと見込まれる状況であるかどうかを的確に判断していくことが必要だ」

 3条件が揃ったかどうか見なすのも日銀である。広い意味での物価の基調を見極めることも重要んことから解除については慎重に望む姿勢も示している。しかし、解除する際には慎重かつ大胆な決断も求められよう。

 「日銀としては、金融経済情勢を的確に見極めながら、適切な金融政策を運営することによって、物価の安定と経済の持続的な発展を図っていく。その結果、適切な金融政策運営を通じて、マクロ的な経済環境の安定が維持されれば、結果的に財政再建にも寄与すると考えている」

 財政再建のため量的緩和解除のタイミングを遅らせるべきではない。経済学的には反対する人も多いものと思われるが、いつまでもモルヒネを打っていては本当の意味での体力回復には繋がらないはずである。量的緩和政策はあくまで緊急時の異例とも言える政策であることを意識すべきと思う。

 「ひとたび日銀副総裁に任命された以上、財務省寄りという物差しを持つようなことはあってはならないと思っている。もし、わたしが財務省寄りという見方があるのであれば、それはまったくの誤解であり、大変心外だ」

 これはある程度日銀の動向をチェックしている者にとってはある意味当たり前とも思えることでもある。武藤副総裁は日銀の副総裁であり、次期総裁の有力候補とも言われる方であるため、財務省寄りという物差しを持って見ると見方を誤る。

 「量的緩和政策の解除が今後の大きな課題であるわけだが、物価の安定を通じて、国民経済の健全な発展に資するという日銀本来の使命に照らして、この課題に取り組んでいく。したがって、日銀政策委員会の1員として、自らの見識に基づき、そうした議論に参画していくことが責務だと思っている」

 そして副総裁という執行部の一人としての立場もある。これまでの副総裁のコメントなどを見ると、調整役という立場にもいるのではないかとも思える。あくまで私見ではあるが。

 「金融システムが安定しているもとで、金融機関が資金繰り上、必要としている流動性需要そのものはすう勢的に弱まってきているのも事実だ」と指摘。今後の金融政策運営は「毎回の政策決定会合で経済、物価情勢や金融市場動向などを踏まえて検討し、決定していくことに尽きる」と述べると同時に、量的緩和解除条件が達成される前に当座預金残高目標を引き下げる可能性について「否定も肯定もしない」と述べた。

 武藤副総裁は6月23日の会見において、私は(当座預金残高目標を)引き下げるという議論に与していないともコメントしている。量的緩和解除条件が達成される前に当座預金残高目標を引き下げる可能性について明確には否定しなかったことで、引き下げに同意を示したとみるのも早計かと思われるが。
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by nihonkokusai | 2005-09-05 09:43 | 日銀 | Comments(0)
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