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「FRBによる異なる新たな資金供給策」


 米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、そしてイングランド銀行(BOE)に、スイス中銀、カナダ中銀は、11日に各国の短期金融市場で資金供給を拡大するとの緊急声明を発表した。FRBは最大2000億ドルの資金を市場に供給するとしたが、この方式が通常の公開市場操作とは異なる新たな手法を取り入れた。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080311a.htm

これは新たな債券貸し出しプログラム(Term Securities Lending Facility、TSLF)となり、FRBは最大2000億ドル規模の国債をプライマリーディーラーに貸出す際に、その担保として連邦機関債や住宅ローン担保証券(RMBS)、民間の高格付けRMBSも受け入れる方針を示した。つまり国債を借り入れた金融機関は、信用力の高い国債を担保に資金を調達が可能となる。機関も従来の債券貸し出しの期間が1日だけだったのに対し、今回のプログラムは28日となる。

 またFRBは、ECBとスイス中銀にドル資金を融通する際に設けたスワップラインを拡大した。具体的にはECBとの通貨スワップラインを 200億ドルから300億ドルへ拡大し期間も延長、スイス中銀とのスワップラインも40億ドルすら60億ドルへ拡大し、こちらの期間も延長する。

 日銀も昨夜記者会見を開き、欧米5中銀の協調措置を歓迎する下記のようなコメントを発表している。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0803a.htm

 「G10諸国の中央銀行は、昨年12月の協調行動の後も、金融市場における資金調達圧力に対し、密接に協調し常時連携を取りながら、対処してきた。足もと、いくつかの市場では、再び資金調達圧力が高まっている。われわれは、引き続き協調して、これらの調達圧力に対処するため、適切な措置を講じていく。本日、こうした目的のもと、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、連邦準備制度およびスイス国民銀行は、諸措置を公表した。日本銀行は、これらの措置を歓迎し、国際金融市場の安定確保に貢献することを期待する。日本の短期金融市場は、国際金融市場の動揺の中にあっても、なお比較的落ち着いている。日本銀行としては、今後とも、年度末越え資金の供給を含め適切な金融市場調節を通じて、市場の安定に努めていく所存である。」

 日経新聞によると福井日銀総裁も出席した10日のBIS中央銀行総裁会議において、これらの施策が最終調整されたのではないかとみられる。このFRBによる新たな資金供給策の発表等をマーケットは好感し、昨日の米国株式市場では、金融株を中心に買い進まれ、ダウは2002年7月以来となる上昇幅となり、米国債券市場では、信用リスク懸念の後退や大幅利下げ観測も後退したともみられ米2年債利回りは0.25%もの上昇となり1.74%に、 10年債利回りは0.14%の上昇の3.59%となった。
by nihonkokusai | 2008-03-12 09:54 | 日銀
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