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「債券相場の見通し」


 米国のサブプライム問題、モノラインと呼ばれる金融保証専門の保険会社に対する問題に端を発しての米金融市場の混乱と、米国経済の先行きの減速懸念はさらに強まっています。

 バーナンキFRB議長は、不振が続く住宅市場の現状について「資産価値のマイナスが広範囲にみられる点で、過去とは違う」と述べ厳しい状況にあるとの認識を示しました。そして、金融機関に対してサブプライムローンの借り手の救済を巡り、元本のカットを含む追加策の検討を求めるなど、FRB総裁が具体策に言及するなど異例ともいえる発言を行なっています。

 ここにきて米国で発表される経済指標は景気の悪化を示すものが多くなっています。たとえば2月26日に米国のコンファランスボードが発表した2月の消費者信頼感指数は75.0となり2003年3月以来の低水準に落ち込みました。向こう6か月の先行き景況感をみる期待指数は69.3から 57.9へと落ち込み、これは湾岸戦争が始まった1991年1月以来の約17年ぶりの低水準です。住宅市場の低迷継続や雇用の減少、さらにガソリンや食品価格の上昇が景況感を悪化させたものとみられました。

 3月5日に発表されたベージュブックでも、2008年はじめから2月下旬にかけて「米経済の成長が減速した」との総括判断を示し、前回報告より景気の減速感をはっきりと認める形となりました。

 こういう状況下、日本経済に関して日銀の水野審議委員は講演で、「個人的には、わが国経済は、現在、内憂外患に直面しているため踊り場的な状況にあり、幾分長引く可能性もある」と指摘しています。

 内憂外患の「内」については「定率減税廃止による可処分所得の減少」、「改正建築基準法や貸金業法の施行を始めとする制度改正の影響」、「原材料価格の上昇によるマイナスの影響」を指摘していますが、2008年には定率減税廃止による影響と制度改正の影響は剥げ落ちるとしています。

 しかし、「米国経済の減速は巷の想定よりも長引く可能性がある」として外患による景気下振れリスクは、今後むしろ高まると見込まれると水野委員は指摘しています。

 日本で発表された経済指標を見てみますと、2月28日に発表された1月の鉱工業生産速報値は前月比-2.0%の109.8と市場予想を下回りました。また、3月5日に発表された法人企業統計では2007年10~12月期の設備投資は7.7%減と企業収益の悪化に伴って3四半期連続のマイナスとなり、2007年10~12月期のGDPが二次速報で下方修正が確実な見通しとなっています。

 ただし、2月29日に発表された1月の「2人以上の世帯の家計調査」では、1世帯あたりの消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比3.61%と2か月連続のプラスとなるなど、ここにきて消費は堅調ともなっているなど、日本経済については総じて足踏み状態といった状況にあります。

 日本の物価に関してみてみると1月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比+0.8%となりました。前年同月比での上昇は4か月連続となります。1月の指数を押し上げたのは、ガソリンや灯油、さらに電気代と都市ガス代、プロパンガスを合わせたエネルギー価格の上昇が大きく影響しています。

 ここにきて米国の原油先物が史上最高値を更新するなどしており、4月から農水省は輸入小麦の値上げも発表するなど、今後もさらに物価上昇圧力は強まるものとみられます。

 こういった外部環境の中にあり、債券相場は1月25日から続いていた長期金利での1.4%から1.5%のレンジを下に抜けるかたちとなり、2月29日には1.320%と1.3%近くまで利回りが低下しました。

 米国の信用収縮への懸念が強まったことで米株の下落や、ドル円が102円台をつけるなど円高圧力も加わり、日経平均が13000円の大台を割り込むなどしたことで、債券は買い進まれました。

 3月の国債大量償還や3月期末を控えての投資家の買い需要の強さも相場の押し上げ要因となり、2年債利回りは3月3日に0.525%まで利回りが低下し、5年債利回りは3日に0.790%と再び0.8%を割り込みました。相対的に超長期ゾーンは重かったものの、20年債利回りも3日に 1.985%まで買われ昨年11月以来の2%の大台割れとなりました。ここにきての債券市場も米国市場の動向の影響を受けやすくなっています。米国債の動向とともに、外為市場やその影響を受けての株式市場の影響も受けやすくなっています。

 ただし、レンジ相場を抜けてからは、投資家需要などに応じての現物債の動きも活発化しつつあります。3月4日に入札された10年国債の利率は1.4%と2006年1月以来の水準となったものの入札そのものも無難な結果となり、投資家の買い需要も強いものとみられます。

 そういった投資家の需要が下支えとなりそうですが、2年の0.5%も5年の0.8%、10年の1.3%といった水準を大きく割り込むには、あらためて日銀による「利下げ」が意識されないことには難しいともみられます。

 現状、日本経済の先行きもやや不透明ながらも米経済ほど懸念が強まっているわけでもありません。日本におけるサブプライム問題の影響は軽微ながらも東京市場の株価の下げが突出している面も気になりますが、株価対策のための利下げも考えづらいことも確かです。債券は買い一巡後は再び上値も重くなり、長期金利は1.4%台に戻すと予想しています。
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by nihonkokusai | 2008-03-06 13:39 | 債券市場 | Comments(0)
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