牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

「大分県金融経済懇談会における水野審議委員挨拶要旨より」


 「オープンな経済社会の実現に向けて」と題した大分県金融経済懇談会における水野審議委員の講演の内容が、日銀のホームページにアップされた。この中で水野委員は、「個人的には、わが国経済は、現在、内憂外患に直面しているため踊り場的な状況にあり、幾分長引く可能性もある」と指摘している。

 内憂外患の内については「定率減税廃止による可処分所得の減少」、「改正建築基準法や貸金業法の施行を始めとする制度改正の影響」、「原材料価格の上昇によるマイナスの影響」をあげている。

 外については「サブプライム住宅ローン問題に端を発した国際金融資本市場の混乱」と「米国経済の急速な減速」そしてそれに伴っての「世界経済の不透明感の高まり」を指摘している。

 内憂については2008年には定率減税廃止による影響と制度改正の影響は剥げ落ちるものの、「米国経済の減速は巷の想定よりも長引く可能性がある」として外患による景気下振れリスクはむしろ高まると見込まれると水野委員は指摘している。

 また、サブプライム住宅ローン問題については、「証券化商品に関する格付けのあり方(流動性リスクの格付けへの反映等)、モノラインを巡る問題、バーゼル2の一部修正の要否に関する検討を含む金融監督行政の見直し、「originate-to-distribute」型の投資銀行のビジネスモデルの修正など、金融システムにおけるインフラを再構築する必要」を指摘している。

 水野委員は、「金融イノベーションは、リスク分散や金融市場の効率性を高める効果をもたらすものであり、その発達の流れを止めることは望ましくありません。」として、「今取り組むべきことは規制強化ではなく、市場の自律的な動きとしてリスクに見合った価格発見機能を取り戻させることである」としている。

 サブプライム住宅ローン問題については住宅市場の問題が根底にあり、その意味では日本の不良債権問題に近いが、そこに金融イノベーションが絡んでより問題をより複雑化し、グローバル化させてしまっている。規制強化ではなくリスクに見合った価格発見機能を取り戻すことが重要と思われるが、こういった複雑化した金融商品に対して透明度の強い価格発見機能といったものが見つけることができるのか。今後の大きな課題となろう。

 また水野委員は物価に関して次のような発言もあった。「私は、金融政策決定会合において物価情勢を考えるに当たり、表面上の消費者物価指数の動きをみて判断を行っている訳ではなく、各種物価指標の動きはもとより、その背後にある実体経済の動向を分析し、総合的に判断を行っています。」

 物価の番人とも言われる日銀がその金融政策の運営に対しては、こういった姿勢が重要なものと思われる。

 そして、金融政策に絡んで水野委員は次のように発言している。

 「金融市場の一部に利下げ期待がありますが、イールド・カーブ全体に金利が低下気味であると同時に、金融機関の貸出態度が緩いことを考えると、金融環境は十分緩和的です。過去10年以上にわたり、超低金利政策を続けてきたこともあり、わが国経済は金利感応度が低い経済体質になっており、利下げをしても追加的な景気下支え効果は不確実だと思います。現在のような緩和的な金融環境が続く中にあって仮に利下げを議論するならば、その副作用についても十分検討する必要があります。」
[PR]
by nihonkokusai | 2008-02-28 13:23 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー