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「日銀に追加利下げの思惑も」


 2008年に入り最初の金融政策決定会合(1月21日~22日)では、全員一致で現状の金融政策を維持することが決定されました。

 しかし、世界の金融市場は米サブプライムローンの問題を発端に大きく混乱の度を深め、22日に日銀の金融政策が決定された同日に、FRB)は臨時の FOMCを召集し、ビデオ会議を通じて政策金利であるFF金利の誘導目標値を年4.25%から年3.5%に引き下げることを決めました。結果として月末の FOMCまで待てずに実施したということは、それだけFRBも市場の混乱を懸念していたためとみられます。

 先週の米国株の下げから、欧州株、アジアや中東にいたるまで世界的な大幅株安連鎖となっていました。

 日経平均株価の動向を少し遡って見てみますと、2004年3月あたりから2005年7月あたりにかけて日経平均は11000円から 12000円のレンジ内での動きが続いていました。2005年8月に12000円を大きく上回り、いったんここから上昇基調となり、2007年7月に 18261.98円が結果として高値となりました。ところが、8月以降は米サブプライム問題の表面化によって、そこから13000円割れまでの急落となったのです。

 22日のFOMC後の声明文でも「金融市場の混乱は幅広く悪化してきた」と表明していました。さらに、最近の経済指標では住宅市場の一段の低迷と労働市場のある程度の減速を示しているようにとも米経済の下振れリスクも強まったことを示しています。

 日銀の福井総裁も22日の記者会見で、「米経済は住宅市場の調整や失業率の高まりなどで減速感強まりつつある」とも指摘しています。

 国内経済については、23日の決定会合で昨年10月に発表した展望リポートの中間レビューを行い、2007年度は潜在成長率(1%台半ばから後半)を下回る成長に減速するとの判断に変え、GDP予測を下方修正しました。

 これは、住宅投資の減少が長引いている上に、原材料高による企業の収益悪化が進んだことなどが影響しています。福井総裁も会見で「世界経済、国際金融市場、原材料高をめぐる不確実性に加え住宅投資の影響から減速している」と指摘していました。

 住宅市場での落ち込みは建設基準法の改正の影響が大きいとみられますが、首都圏などのマンション販売件数も落ち込むなどの動きもあり、先行きの不透明感も強まっていることも確かです。

 日銀が23日に発表した金融経済月報では、「輸出や生産は増加を続けている。企業収益が総じて高水準で推移する中、設備投資も引き続き増加基調にある。また、雇用者所得が緩やかな増加を続けるもとで、個人消費は底堅く推移している。一方、公共投資は低調に推移しており、住宅投資は大幅に減少している」としています。

 福井総裁は会見で「先行き判断は微妙な局面に来ている」としながらも、「基本シナリオは維持し、政策スタンスは変わりない」と発言しました。

 しかし、市場ではここにきて日銀の利下げ観測の思惑もくすぶり始めています。長期金利の動向も少し振り返って見てみますと、2005年7月に一時1.2%を割り込む場面もあった以降は、長期金利は上昇基調となりました。

 2006年3月に日銀は量的緩和を解除し、これを受けて4月には2%をつける場面もありましたが、長期金利の上昇は結果として2006年5 月の2.005%までとなり、その後は1.5%から2%あたりのレンジ内での動きとなりました。しかし、2007年11月には米サブプライム問題の影響による株安などから、米債などが買われたことを受け、日本の長期金利利は2005年9月以来の1.4%も割り込んでいます。これは当然ながら日銀の量的緩和解除前の水準ともなっています。

 さらに22日のFRBによる緊急利下げの発表を受けて、米国債券市場では中短期債主体に買い進まれ、一時1.98%と2%を割り込み、 2004年4月19日以来の水準まで低下しました。また、米10年債利回りは前週末比0.20%低下の3.43%と、年3.5%に引き下げられた政策金利も引き続き下回っています。ドイツでもすでに10年債利回りもECBの政策金利を下回るなど、

 世界的にリスク回避の動きから債券は買われていました。そして日本でも、1月23日に2年国債の利回りが、現在の日銀の政策金利である0.5%を割り込みました。円金利先物なども買われるなど、ここにきて中短期の金利に低下圧力が加わり、反面、超長期債の利回りが上昇するなど、日銀に対して利下げを促すかとのような動きにも見えます。

 実際には海外投資家などによる思惑的な動きも強いものと見られますが、これまで日銀の「利上げ」はいずれあるとしても「利下げ」はないと見ていた大手の金融機関なども、利下げの可能性を全く否定することもできなくなってきた状況となり、中短期ゾーン主体に買いを入ってきているとも指摘されています。

 福井総裁は22日の会見で、「利下げ観測があることは承知している」とも発言しています。「株価下落、逆資産効果やマインドへの影響通じてネガティブな影響及ぼすリスク」も指摘し、さらに「低金利であるゆえに金融政策に制約あるとは考えず」と今後、利下げという選択肢を全く考えていないわけではないことを指摘していました。 

 現実にはここにきての物価上昇圧力の強まりなどもあり、今後の日本の実態経済の動向を見極めながら、引き続き慎重に先行きを見ていくことにはなりそうです。しかし度重なるFRBの利下げなどがあったものの、金融市場の混乱が今後も続き、さらに米経済の減速が世界経済に大きく影響し、その結果日本経済についても当初の見込みからさらに落ち込むというリスクが顕在化した際には、日銀としても数少ない利下げというカードを切らざるを得ないかもしれません。

 2月9日にG7が東京で開催されます。福井総裁は「G7では金融市場の変化の中で先行き展望を共有できるよう議長国としてリーダーシップ発揮したい」と発言していましたが、今回の金融市場の混乱に対し、今後日銀がどのような対応をしてくるのかも注目されそうです。
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by nihonkokusai | 2008-01-23 13:36 | 日銀 | Comments(3)
Commented by toshi at 2008-01-24 05:34 x
国内のFBと2年債の金利が逆転して逆イールドになりました。これは景気後退の予兆でしょうか?
Commented by nihonkokusai at 2008-01-24 09:04
需給による影響もあるとは思いますが、日本の景気の先行きを見越した動きと見ることもできるかもしれません。
Commented by toshi at 2008-01-25 03:50 x
お返事、ありがとうございます。
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