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「札幌市金融経済懇談会における武藤副総裁挨拶要旨より」


 日銀のホームページに本日開催された札幌市金融経済懇談会における武藤副総裁挨拶の要旨がアップされた。

 武藤副総裁は、日本経済について「足もと住宅投資の落ち込みなどから減速しており、先行きも当面減速が続くものの、その後は緩やかな拡大を続ける」と見ている。

 12月の短観調査でも企業の業況感はやや慎重化していたものの、全体としてみれば、企業は今年度も増収・増益の見通しを維持しており、設備投資も堅調な計画となっており、輸出を見ても米国など世界経済の不透明感が高まっている中にあって、産油国やエマージング諸国などが増加傾向にあり、短観による大企業の輸出売上高予想は上方修正になっている点も指摘している。

 家計部門についてみますと、一人当たり賃金は、やや弱めの動きとなっているが、企業の人手不足感は、短観などをみても強く、雇用者数は増加を続けており、行き、労働需給がタイト化の方向に進めば、賃金の上昇圧力も徐々に高まっていくものと見ている。

 個人消費は底堅い動きを続けているが、ガソリン・灯油・食料品などの生活必需品の価格が上昇していることなどによるマインドの悪化の影響を含めてよくみていく必要があるとしている。

 消費者物価(除く生鮮食品)は、昨年10月に+0.1%とプラスに転じ、11月は+0.4%に拡大。目先、石油製品や食料品の価格が上昇する中で、さらにプラス幅が拡大するとみており、景気の拡大基調が続く中で、需給ギャップもプラス方向に向かうとみられ、それを背景に物価のプラス基調が続くとの見方に変化はない。

 しかし、上記要素に変化が生じるリスクには注意が必要とし、とりわけメカニズムの起点にある世界経済の成長の持続という点は重要なリスク要因としている。とりわけ米国経済は、現在、景気の減速感が幾分強まりつつあり、住宅投資は大幅な減少を続けており、住宅販売の減少と在庫の積み上がり傾向が一段と鮮明となっている点を指摘。

 米国の個人消費や設備投資は、減速しつつも、緩やかな増加基調を維持。目先は低成長が見込まれるが、その後は、住宅市場の調整が進むに連れて、潜在成長率近傍の成長パスに次第に戻っていくというのが基本的な見方のようである。たた゜「この先の住宅市場の調整の帰趨や金融資本市場の動向によっては、資産効果や信用収縮、マインドの悪化などを通じて、個人消費、設備投資が下振れ、米国景気が一段と減速する可能性も考えておく必要がある」とも武藤副総裁は指摘した。

 そして、「同時に、インフレ方向のリスクにも注意が必要」とし、米国でもインフレ圧力が衰えず、、中国の固定資産投資を中心に過熱感が強い状況も指摘、世界経済全体の高成長に加えて、地政学的要因や投機資金の流入などもあって、原油価格が年明けに一時的に1バレル100ドル台まで上昇するなど、国際商品市況は高値圏で推移していることから、「経済のダウンサイドリスク、物価のアップサイドリスクの双方に対処していかなければならないという意味で、各国の金融政策は難しい局面にあります。」としている。

 そして武藤副総裁は、「日本経済は、当面減速するとみられる一方で、消費者物価は石油製品や食料品の値上がりなどから当面上昇幅が拡大していくと見込まれ」るとの経済・物価情勢の中で、金融政策運営においては、こうした動きが先行きの経済や物価にどのように影響するかを予測する必要がある点を指摘している。その判断予測の注意ポイントとして次の3つをあげている。

1.減速が一時的なもので景気は拡大軌道に復すると考えてよいか、あるいは、減速が予想以上に長引くことはないか
2.物価上昇が経済に悪影響を与えて、先行きの経済や物価を下振れさせることはないか
3.逆に、物価上昇が、家計の物価についての見方や企業の価格設定行動に影響を与えて、先行きの物価を上振れさせることになるかどうか

 「見通しには不確実な面がありますので、見通しそのものだけでなくて、その蓋然性や上下両方向に乖離するリスクも重要な判断材料です。このように、見通しやその蓋然性、上下両方向のリスクを十分に点検しながら、物価安定のもとで持続的な成長を達成できるように、適切な金融政策運営を行っていく所存です。」としている。

 今回の武藤副総裁の発言内容は、比較的慎重なトーンと受け取られそうだが、日銀のこれまでの姿勢に大きな軌道修正が行なわれたわけではないことも確かなようである。武藤副総裁は今後の日銀の金融政策に関しては、「現在極めて緩和的な状況にある金利水準を徐々に調整していく方向にある」とし、「低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合」のリスクにも言及するなどした。ただし、具体的な政策変更については「経済・物価情勢を、虚心に、フォワード・ルッキングに評価した上で、慎重に判断して参りたい」とし、「慎重」な姿勢であることを印象付けた格好ともなっていた。
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by nihonkokusai | 2008-01-10 14:03 | 日銀 | Comments(0)
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