牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

「全員一致で現状維持」

12月19日から20日の2日間かけて開催された日銀金融政策決定会合では、全員一致で現状維持が決定されました。7月の会合以来、利上げを主張していた水野審議委員も今回は現状維持に賛成票を投じました。

6日の英国イングランド銀行(BOE)の金融政策委員会では全員一致で政策金利0.25%引き下げを決定しており、同日の欧州中央銀行(ECB)でも一部メンバーは利上げ支持となっていたものの政策金利を据え置いていました。

11日には米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド金利誘導目標を0.25%引き下げ、年 4.25%とすることを9対1の賛成多数で決定しました。政策金利の引き下げは9月18日のFOMCから3回連続です。今回反対したのは、0.5%の引き下げを主張したローゼングレン・ボストン地区連銀総裁でした。

さらに12日には、FRBやECBなど米欧の五中央銀行が、金融市場の安定化に向けた緊急の資金供給策を発表しました。

FRBは新たな資金供給方式を導入し、これは公定歩合と同じ担保が使用でき、公定歩合での借り入れが可能な金融機関が参加できるというものです。この新しい方式の期間物資金供給(TAF)は年内に2回実施され、初回は200億ドルの予定と発表さ17日に実施されました。

さらに、FRBはECBと200億ドル、スイス銀行と40億ドルのスワップ協定も結んでいます。これをもとにECBは年内2回17日と20 日に、スイス銀行は年内1回17日にの特別市場公開操作を実施しました。また、イングランド銀行も資金供給の際の担保の範囲を拡充し、カナダ中銀も資金供給の拡大に踏み切ることを発表しています。

このように米国サブプライムの問題の影響により、市場では年末に向けての短期資金の逼迫感も強かったことで、越年資金供給と通貨スワップの合わせ技という、コンピューターの2000年問題への対応と、同時テロ時の対応を同時に実施するといった異例の措置を米欧の中央銀行は実施しました。

日銀は今回の欧米の中銀の措置には直接加わらないものの、スウェーデンのリクスバンクなどと同様に情報共有などの面で緊密に連携すると、12日の深夜に日銀の稲葉理事が緊急の記者会見で発表しています。

日本の3つのメガ銀行は、米サブプライム基金への融資枠設定は見送りの方針を固めたとも報じられたように、米サブプライム問題による日本国内の金融機関への影響は限られています。

しかし、日銀が14日発表した12月の日銀短観では、企業の景況感を示す業況判断指数は大企業製造業でプラス19と前回調査に比べ4ポイントの低下となり、市場予想も下回りました。これは原油高とともに、米経済の減速懸念などが響いたとみられ、先行きもさらに4ポイントの悪化を見込んでいるといった結果となりました。日本経済の下振れといったものも懸念されていたともみられます。

12月3日に福井日銀総裁は講演で、「この先、(米国の)住宅市場の調整が一段と厳しいものとなった場合や金融資本市場の変動の影響が予想以上に広範なものとなった場合には、資産効果や信用収縮、企業や家計のマインド悪化などを通じて、個人消費や設備投資が下振れ、米国経済が一段と減速する可能性が考えられます」とのリスクシナリオについても述べていました。

米国経済の減速が今後の日本経済に与える影響等を考慮するとともに、年末に向けての欧米中銀の臨戦態勢の姿勢を見て、12月20日の日銀の金融政策決定会合では全員一致での現状維持が選択されたものとみられます。

しかし、11月30日に発表された10月全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、前年同月比+0.1%と昨年12月以来の前年比プラスとなり、今後はこの上昇幅が拡大すると予想されています。

目先は米サブプライム問題の影響を押さえることが重要となるでしょうが、欧米でも原油価格や商品市況の上昇により物価上昇圧力が加わっていることから、今後は日銀や欧米の中央銀行は金融政策に対して難しい選択を迫られる可能性もあります。

こういった状況下にあって、前回の決定会合の開催された11月13日以降の日本の長期金利は1.5挟んで1.4%から1.6%のレンジの中での動きが続いています。11月22日には株価の下落などを受けて、一時1.4%を割り込む場面もあったのですが、さすがにこの水準では高値警戒もあって押し戻されました。その後、12月11日に1.585%まで後退しましたが、押し目も限られたものとなりました。

東京市場でも焦点は米国のサブプライム問題の影響となっていることで、東京株式市場は米国株式市場の動向の影響を受けやすくなっており、円債は米国債の動向とともに、この株式市場の影響も受けながらの動きになっています。

こういった神経質な相場展開は、来年はじめにかけても続くものとみられ、当面の長期金利は1.5%を挟んでの動きとなりそうです。しかし、サブプライム問題の影響が長期に渡り米経済に影響を及ぼしてくるのかどうかは見方も分かれるところです。

2008年度の政府経済見通しにおいて、実質GDP成長率は前年度比+2.0%、名目は+2.1%の予想となっています。設備投資は前年度比+3.3%の予想。改正建築基準法の施行により2007年度に大きく落ち込んだ住宅投資も持ち直しとして+9.0%となり、個人消費も+1.3%を見込むなどしています。

国内経済の下振れ懸念には改正建築基準法の施行といった官製不況と呼ばれるものの影響も大きいことにも注意が必要です。今後、こういった反動含め景気回復への期待が強まるようだと、低位安定している長期金利に再び上昇圧力が加わるという可能性もあります。
[PR]
by nihonkokusai | 2007-12-20 14:00 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー