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「財投機関債と政府保証」

 郵政民営化に関連して、財投機関債と政府保証についての論議が盛んなようである。今回はこの財投機関債と政府保証についてもう一度振り返ってみることにする。財投機関債とは、公団や公庫などの特殊法人(財投機関)が、資金調達のために発行する債券である。そして、この特殊法人とは簡単に言えば「特別な法律によって設立され、公共サービスを行う機関」である。

 総務省設置法によると総務省の事務として、4条15号に「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人(独立行政法人を除く。)の新設、目的の変更その他当該法律の定める制度の改正及び廃止に関する審査を行うこと。」というものがあり、「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人(独立行政法人を除く)」というものが特殊法人(ただし、独立行政法人を除く。独立行政法人については後述)を示していると言われている。

 財政投融資改革、いわゆる財投改革によって、資金運用部に預託する義務が廃止され、郵便貯金や簡易保険で集められた資金は郵政事業庁、公的年金は厚生労働省の年金基金運用基金が、それぞれ独自で運用することとなった。これにより資金を必要とする特殊法人(財投機関)は、市場から新たに資金を調達しなければならなくなった。このために発行されるのが、財投機関債、政府保証債、財投債である。

 財投機関債は、独力で資金調達できる法人が発行する政府保証がつかない債券である。政府保証債は、独力では資金調達することが困難な法人が、財務省の厳正なる審査を受けた上で政府保証が付与され発行する債券。そして、財投債(財政融資資金特別会計国債)

 財投機関債、政府保証債のいずれでも資金調達が困難な場合に、財務省が発行する国債であり、そこで調達した資金を財投機関に融資する。

 2003年の10月以降、特殊法人等整理合理化計画に従って、多くの特殊法人(財投機関)が独立行政法人になった。また、地方独立行政法人法が成立し、平成16年4月以降、自治体も独立行政法人を設置することができるようになっている。

 この独立行政法人制度はそもそも行政のスリム化を目的として96年に行政改革会議で提案されたもので、1998年の「中央省庁等改革基本法」でその導入が正式に決定されたものである。英国のエージェンシー制度を参考に基本的な枠組みが定められ、1999年には「独立行政法人通則法」が成立し、2001年4月には57の独立行政法人が発足した。独立行政法人は、法人共通の規定である通則法と、業務特性に応じた補足規定がなされている個別法に基づき設置される。

 独立行政法人制度では、業務運営の自立性・効率性・透明性を確保すべく、国の関与が抑制され、外部評価の実施や情報公開が義務付けられる。

 それでは特殊法人と独立行政法人はどのように区分けされるのであろうか。特殊法人はその行っている事務・事業の公共性などは高いが、予算による官庁の強い事前統制・事前関与がなされるのに対して事後統制が制度的にはほとんどなされない。これに対して、独立行政法人は、予算による官庁の関与はあるものの、国からの助成である運営費交付金は原則使途自由となっている。その半面、結果については主務官庁の評価委員会により事後的に厳しく評価される。その評価次第では経営層の給与が変動や、事業自体の存廃が見直されたりすることになる。

 そして、特殊法人では単年度予算であり翌年度への繰越しはできないが、独立行政法人では余った予算は翌年度へ繰越しができ、さらに経営効率化の結果、当初予定ほど予算を使わずに済んだ場合は、一定の前提のものと独立行政法人の自由裁量により使うことができるといった点も異なる。

 さて、それでは本題の財投機関債は建前上、政府保証はついていないが、実際には暗黙の政府保証がついているのか否か。法務省は「特殊法人も倒産しうる」との法解釈をしているそうであるが、そもそも国が作ったもの機関であり、国が全額出資しているケースもほとんどであり、特殊法人の経営が危機に瀕すれば、国がフォローする可能性は高いのではなかろうか。

 そして独立行政法人通則法第八条においては、下記のような条文がある。

 独立行政法人は、その業務を確実に実施するために必要な資本金その他の財産的基礎を有しなければならない。

 2 政府は、その業務を確実に実施させるために必要があると認めるときは、個別法で定めるところにより、各独立行政法人に出資することができる。

 財務的基礎がある法人ということで、これが簡単にディフォルトする可能性は低いとも思われる。その上に、「その業務を確実に実施させるため」必要ならば政府は「出資することができる」ために、債務返済の可能性は極めて高いと理解されよう。これは明示的な政府保証ではないものの、同様の理解をして良いとも思われ、これにより財投機関債には「暗黙の政府保証」がついているといった認識が強いものとなっているのである。
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by nihonkokusai | 2005-08-29 14:10 | 国債 | Comments(0)
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