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「サブプライム問題の影響は今後後退か」


 10月31日の日銀金融政策決定会合では、引き続き8対1の賛成多数での現状維持が決定されました。今回も反対は水野委員一人でした。

 最初に前回の決定会合の開催された10月11日以降の市場の様子から見てみましょう。日本の長期金利は前回の金融政策決定会合が開催された10月11日に1.735%となっていましたが、10月22日には1.555%まで利回が低下しました。

 16日にバーナンキFRB議長は講演で、サブプライム関連での金融市場の混乱の長引く恐れを示しましたが、9月の住宅着工件数が前月比-10.2%と市場予想を大きく下回るなど経済指標にもその影響が示されました。

 19日の米国市場では、企業決算や原油高などを受けてダウは366ドル安となり、米債は続伸し10年債利回りは4.39%に低下しました。また、113円台への円高進行もあり、22日に債券先物は136円16銭寄付と9月18日以来の136円台に乗せてきました。

 現物も買われ10年288回は1.6%を大きく割り込んできたのです。メリルリンチはサブプライム問題の影響から、7-9月決算で9000億円の評価損を計上としたことや、9月の米中古住宅販売が前月比-8.0%と大きく下回ったことを受けて、FRBによる追加利下げ観測も高まりました。

 米国では17日にベージュブックが発表されました。ここで、9月と10月上旬にかけてすべての地域で、経済活動は引き続き拡大基調となっていることが示されたものの、拡大のペースは8月以降は減速していました。個人消費が拡大したものの、レポートではややまちまちとなっており、成長は9 月、10月上旬の伸びは8月より鈍化したと指摘。製造業とサービス業は拡大傾向となったが、サービスは住宅建設と不動産関連取引に影響を受けた。いくつかの製造関連企業やサービス会社は、内需が弱いものの世界市場への好調な輸出によって、これが相殺されたと報告されました。

 住宅市場は減速し続けており、ほとんどの地区で国内販売、価格、および建設が悪化したと報告されました。金融機関からは、焦げ付きの増加や信用に対する質の低下が報告された。多くの地区の貸し手は与信基準が厳格化された。報告では、企業向け融資が増加しているものの、個人向け融資は減少もしくは伸びが鈍化しています。

 こういった状況を受けて、10月31日の米FOMCでは、米FRB政策金利であるFF金利の誘導目標を0.25%引き下げ、年4.5%とすることを9対1の賛成多数で決定しました。全員一致が一応原則とみられるFOMCで、今回反対者が出たことは注意する必要もありそうです。今回反対したのは据え置きを主張したカンザスシティー連銀総裁でした。また、公定歩合も0.25%引き下げて、年5%としました。

 FOMC後に発表された声明文では、景気の下振れリスクを指摘する反面、原油価格などの上昇によるインフレ圧力も警戒と、スタンスとしては中立的なものとなり、12月のFOMCでの追加利上げ観測は後退しています。国内の経済指標を見てみますと、総務省が26日発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)で100.3となり、前年同月比で-0.1%となりました。同時に発表された10月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く)で100.3となり、前年同月比で横ばいとなりました。

 原油高などの影響によりガソリンなど石油製品が上昇したことで、2か月ぶりにマイナス圏から脱しました。ただし、ここにきて、値上げされている食料品への影響は、指数全体への影響がごく小さいこともあり限定的となっていました。しかし、今後は潜在的な物価上昇圧力となっていくものとみられます。

 26日に総務省が発表した9月の家計調査(速報)によると、全世帯(二人以上の)の1世帯当たりの消費支出額は実質で前月比+0.7% (季節調整済み)、前年同月比では+3.2%と2004年5月以来の3年4か月ぶりの高い伸びとなりました。ただし、前年同月比の高い伸びは昨年9月が前年比大幅に落ち込んでいたことの反動との見方もあります。

 10月31日の金融政策決定会合のあとには、展望レポートの発表がありました。この展望レポートで、2007年度見通しは、GDPで4月の2.1%から1.8%に、コアCPIは、4月の+0.1%から0.0%に下方修正しました。GDPに関しては、2007年4-6月期がマイナスとなり、 6月の建築基準法改正の要因で住宅着工に影響があったためです。これについて10月の展望レポートには、「住宅投資の振れが、2007年度の成長率を幾分下押しする一方」という表記がありました。

 CPIについては、原材料高などの価格転嫁は企業間取引ほどには進んでいない、との文面も10月には入っています。ただし、より長い目でみると、(CPIの)プラス幅が次第に拡大するとみられる、との文面は4月同様に10月も残っていた。2008年度見通しは、GDPで4月の2.1%から変わらず、コアCPIは、4月予測の+0.5%から+0.4%に下方修正しました。

 「金融環境は極めて緩和的であり、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長軌道を辿るのであれば、金利水準は引き上げていく方向にある」との文が10月にありましが、4月では「金利水準の調整」としていたところが「金利水準は引き上げていく方向にある」としているところも微妙に変わっていました。あくまで表現方法を変えただけともみられますが、今後の利上げを意識してのものと言えるかもしれません。

 31日の福井日銀総裁会見では、「グローバルな下振れリスク高まっておりしばらく続く」「国際金融市場は不安定な状態続いており、今後もしばらく続く」としながらも、「金利調整ペースは必ずしも遅くなるとはいえない」「足元の下振れリスク強くても低金利継続にゆる上振れリスク却下できず」「金利調整ペースは必ずしも遅くなるとはいえない」との発言もあり、利上げに向けた姿勢は維持していることを示したものと思われます。

 サブプライム問題の影響が後退してきつつあり、12月のFOMCでの追加利上げ観測も後退しました。またここにきてビールの価格の引き上げが発表されるなど、電力やガスの料金引き上げを含め、年末以降の物価上昇リスクといったものも懸念されつつあります。

 11月1日にはFOMCの結果などを踏まえた米債安や株高などを受けて、長期金利は1.6%台半ばに上昇していますが、今後は1.7%を伺う動きが予想されます。
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by nihonkokusai | 2007-11-01 10:16 | 日銀 | Comments(2)
Commented by 星の王子様 at 2007-11-10 09:54 x
サブプライム問題まだまだ落ち着かずJGBは買われ株安米国金利低下でしばしJGBは10年1.5割れトライですか ドル円110円もあっという間に示現しました。
Commented by nihonkokusai at 2007-11-12 16:48

ですね・・・。
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