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「31日発表の日銀展望レポート」


 23日の読売新聞ネット版によると、「日本銀行が31日発表する中長期的な経済予測「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、2007年度の実質国内総生産(GDP)成長率予測を前回(4月)の2.1%から1.9%前後へ下方修正することが22日明らかになった。」そうである。

 「4~6月期のGDPがマイナス成長に落ち込んだことや、6月に施行された改正建築基準法の影響で、新設住宅着工戸数が大幅減少したことを重視した。」としているが、それぞれ実際の景気情勢が反映されていると思えない節もある。

 たとえば4-6月のGDPがマイナスに下方修正されたのは4-6月期の法人企業統計で企業の設備投資(全産業)が前年同期比-4.6%と 17四半期ぶりのマイナスとなったことが要因であるが、これについてはサンプルバイアスの問題も指摘されている。法人企業統計の調査対象となるサンプル企業は、毎年4-6月期に入れ替えが行われる(調査対象の資本金1億円未満の中小企業約9400社すべて)。こうしたサンプル入れ替えに伴う統計の振れから、前年比等の数字が実勢以上に強含むなり弱含む可能性があるためである。

 また、新設住宅着工戸数が大幅減少したのは需要の低下が主要因でなく、あくまで6月に施行された改正建築基準法の影響である。もちろんこれによって住宅関連企業の業績落ち込むなどの懸念はあるものの、一時的なものとなる可能性もある。しかし、この要因を除いても郊外のマンション購入などが手控えられつつあるとの見方もあり、やや住宅市場も頭打ちといった可能性もある。

 「日銀は、引き続き利上げ時期を探る考えだが、市場では成長率予想を引き下げることで早期利上げが一段と難しくなるとの見方が強まっている。」と読売はしているが、成長率予想の引き下げが上記要因とするならば、それはあくまでテクニカルな要因が大きい。しかし、予測数字としては、これによって下方修正されてもおかしくはない。

 「物価の動向に関しては、利上げの判断材料になる全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)の上昇率について、今春以降マイナスが続いていることから、07年度は0・1%とした前回予測をやや下方修正する見通しだ」(読売新聞)

 全国コアCPIについては今年度に入り、前年同月比-0.1%のまま推移しており、「0%」あたりへの下方修正はやむを得ないところか。2008年度については、読売も報じていたように前回同様の0.5%前後が維持されるとみられる。

 ここであらためて、4月の展望レポートを見てみると、先行きの経済に関して、第一の「海外経済の拡大が続くことを背景に、輸出は増加を続けると予想される。米国経済は、足もとは住宅市場の調整が続いていることなどから減速しているが、先行きは安定成長へ軟着陸する可能性が高い。」としていた。サブプライム問題の発生により、住宅市場のさらなる低迷も予想されるため一部文面の修正もあろうが、「先行きは安定成長へ軟着陸する可能性が高い」との見方は維持されるとみられる。

 第二の設備投資については、「高水準の企業収益が続く中で、設備投資は増加を続けると予想」との見方も変化はないとみられる。

 第三の「好調な企業部門から家計部門への波及が、緩やかながら着実に進んでいくとみられる」については、ややその遅れも指摘されるため、若干ニュアンスの変更もありうるか。

 第四の「極めて緩和的な金融環境が引き続き民間需要を後押しするとみられる」点も変化はないとみられる。

 消費者物価指数(除く生鮮食品)については、「目先はゼロ%近傍で推移する可能性が高いものの、より長い目でみると、プラス幅が次第に拡大するとみられる」点は維持されるとみられるが、「その結果、2007年度はごく小幅のプラス」については、4月移行の全国コアCPIの前年比で-0.1% が続いていることから「小幅のプラス」が「ゼロ近傍」あたりに変更されるとみられる。

 リスク要因に関しては、第1の海外経済の動向、特に米国の動向に関し「住宅市場の調整が予想以上に深いものとなったり、設備投資が下振れた場合、景気は一段と減速する可能性がある」との文面はそのままとなりそうである。第2のIT関連財の需給動向について第1のリスクに較べてそれほど大きいものではないことで、文面が多少変更される可能性がある。米国経済でもハイテク企業の業績が好調との側面も。

 第1の柱、先行き2008年度までの経済・物価情勢の見通しについては、「物価安定のもとでの持続的な成長を実現していく可能性が高いと判断は維持されよう。

 第2の柱の、より長期的な視点を踏まえた金融政策運営の観点から重視すべきリスクにも大きな変更はないとみられる。

 その上で、「中長期的な物価安定の理解に照らして、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長軌道を辿る蓋然性が高いことを確認し、リスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行うことになると考えられる。」との見方も継続されるとみられる。
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by nihonkokusai | 2007-10-24 10:48 | 日銀 | Comments(0)
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