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「FRBは公定歩合を0.5%引き下げ」


 17日の米国時間早朝に、米連邦準備理事会(FRB)は臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、公定歩合を緊急に0.5%引き下げ年5.75%とすることを全会一致で決定した。

 この日の早朝にはシティグループのプリンス会長、やJPモルガンのダイモン会長、メリルリンチのオニール会長など米主要金融機関の経営者らが、FRBによる緊急のコンファレンス・コールに召集された。約20分間にわたるビデオ会議で、FRBは今回の公定歩合の引け下げ等を説明したとも伝えられている。

 公定歩合を引き下げたものの、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は現行の年5.25%に据え置かれた。これにより FF金利の誘導目標と公定歩合の差は1%から0.5%に縮小。また、地区連銀に期間がこれまでの1日から最長30日の貸し出しの供与を認めることも決めた。さらにFRBはこの日、ニューヨーク連銀を通じて米短期金融市場に60億ドルの資金供給も実施。臨時のFOMCでの緊急利下げは米同時テロ直後の 2001年9月以来となる。

 さらに、FRBはFOMC後の声明文において、「信用収縮の動きと不確実性の高まりが今後の経済成長を抑制する可能性がある。」とし「景気下振れのリスクがかなり高まった」とコメントした。さらに「市場の混乱が米経済に打撃を与える場合には、必要に応じて行動する用意がある」として、状況により政策金利の引き下げの可能性も示唆した。

 これを受けて、米国株式市場は大きく上昇し、17日のダウは233.3ドル高の13079.08ドルと7日ぶりに反発し、ナスダックは 53.96ポイントの上昇、S&P500株価指数は34.67ポイント高となった。20日の東京株式市場も寄り付きから大きく値を戻し日経平均株価は500円を超す反発となった。

 8月9日あたりからのサププライム問題から信用収縮懸念の強まりによる世界的な株安連鎖などが引き起こされていた。こういった市場の動揺を抑えるには市場参加者への不安を緩和させる必要がある。このため金融当局が不安解消への期待に働きかける必要もあり、今回のFRBによる公定歩合の引き下げは、実質的な効果というよりも、金融当局の危機対応を市場に示すことにより、市場の動揺を沈静化する働きがあるとみられる。まさに公定歩合のもつアナウンスメント効果を利用したとも思われる。アナウンスメント効果は、直接的な影響ではなくあくまで「期待」に働きかけるといったことを目的にしている。

 ちなみに米国は日銀と同様に公定歩合をロンバート化している。米連邦準備制度理事会(FRB)は2002年5月17日に連銀窓口貸し出し制度を改革することを発表し、この新制度はプライマリークレジット(優先貸し出し)と名称が変更され、日本銀行や欧州中央銀行(ECB)のロンバート金利と同様の働きを持つことになった。

 これによりフェデラルファンド(FF)金利を下回っていた公定歩合による連銀窓口貸し出しは事実上廃止され、公定歩合をFF金利よりも高い水準に変更することで短期金融市場のひっ迫などでFF金利が跳ね上がるのを阻止することになった。FRBによるとプライマリークレジットは、経営状況が健全な金融機関を対象に、FF金利の誘導目標よりも、当初1%高い水準で導入するとした。

 ちなみに日本での公定歩合は、以前は預金金利等の金利が公定歩合に連動していたため、金融政策の基本的なスタンスを示す代表的な政策金利となっていた。しかし、1994年に金利自由化が完了し、公定歩合と預金金利との直接的な連動性がなくなった。さらに銀行は高い公定歩合で借りるよりコールで調達するようになり、日銀も日々の操作を公定歩合による日銀貸し出しから、短期国債の売買などを通じてのものにシフトしてきた。

 その後、公定歩合に関しては補完貸付金利(ロンバート型貸付金利)という役割に変化している。補完貸付とは、あらかじめ定められた条件を満たす限り、金融機関が希望するときに、担保の範囲内で希望する金額を日本銀行から借り入れることができるという制度である。
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by nihonkokusai | 2007-08-20 12:34 | 日銀 | Comments(0)
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