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「経済財政白書」


 内閣府は平成19年度の年次経済財政報告を発表した。今回の白書の副題は「生産性上昇に向けた挑戦」とある。「人口減少というこれまで経験したことのない状況の中で、経済成長を持続させていくことが今後の日本経済の最も重要な課題です」(公表にあたって)としている。

 今回はこの白書の中で、「第3節 緩やかな物価上昇への動き」について見てみたい。

 「2002年からの景気回復が続く中で、物価状況については改善がみられ、もはや物価水準が長期間にわたり持続的に下落するような状況ではなくなった。」

 言葉尻を捉えるわけではないが、デフレとは「持続的な物価下落の状態」と2001年に政府は定義していたと思うが、その意味では上記の文面はデフレ脱却を意識しているともみられる。

 しかし、引き続き内閣府はデフレからの脱却とはしておらず、その理由として次のように述べている。

 「物価の動向を総合的にみると、デフレからの脱却は視野に入っているものの、海外経済の動向などにみられるリスク要因を考慮しつつ、デフレに後戻りする可能性がないかどうか、注視していく必要がある。」

 物価の改善ペースは比較的緩やかなものにとどまっているおり、2002年からの景気回復が長期化している中にあっても、「単位労働費用」が低下し続けており、現時点では費用面からの物価上昇圧力の強まりはみられていないとしている。

 また、白書では今後の物価上昇に向けて動きを展望する際に特に重要と考えられるのは「サービス物価の動向」としている。その理由として「海外動向をみても財価格には国際競争により厳しい下押し圧力がかかっている一方で、安定的な物価上昇を支えているのはサービス物価の上昇でありその背景には賃金の上昇があると考えられる。」ためである。

 ただし、「物価の状況判断に際しては、消費者物価やGDPデフレーター関連の物価指標に加えて、経済の需給状況なども踏まえた総合判断が必要である。」とし、「実物市場における物価上昇圧力の高まりをGDPギャップからみると、2002年以降、踊り場局面を経ながらも改善を続けてきている。この指標がプラス方向に拡大している状態は、需要量が平均的な供給量を上回っていることを意味し、需給の逼迫から物価が上昇しやすい状況にあると考えられる。」と、GDPギャップ絡み手物価が上昇しやすい状況にあるとも指摘している。

 GDPギャップは改善傾向にあるものの、「生産設備などの不足感が増してきている一方、景気回復が長期化する下でも、単位労働費用は依然低下を続けており、現時点では費用面からの物価上昇圧力の強まりはみられていない」と物価の抑制要因のひとつとして単位労働費用の低下を指摘している。

 「2005年半ば以降は緩やかな増加を続けていた実質雇用者所得は2006年後半に横ばいに転じ、これが消費の伸びの鈍化につながり、需要面からの物価上昇圧力を緩和する方向に作用したものと考えられる。」とも指摘し、賃金の伸びの鈍化に伴って、家計部門の所得水準を押し下げる方向に作用し所得が伸びなかったことも、物価上昇圧力を限定的なものとする要因の一つとしている。

 また白書では、「サービス(公共料金を除く)については、アメリカ、EU で消費者物価上昇率の大半を占め、継続的に上昇しているのに対して、日本では寄与がほとんどみられていない。」点も指摘しており、サービス部門で賃金上昇が実現することが今後の安定的な物価上昇にとっては重要な要件と指摘している。
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by nihonkokusai | 2007-08-07 14:36 | 景気物価動向 | Comments(0)
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