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「参議院選挙での自民党大敗による債券相場への影響」


 今回の参院選の結果を受けた債券相場への影響について考えてみたい。民主党が参院の過半数を占め参院第1党となったことによる影響としては、「財政構造改革」にブレーキが掛かる懸念がある。民主党の政権公約にも、新たに新規財源が必要なものも多い。たとえば「子ども手当」の支給、農家の「戸別所得補償制度」の創設、中小企業予算の大幅拡充といったものである。現実のどの程度の金額となるかはともかく、ある程度の財源が必要となろう。また、消費税論議についても先送りされる可能性が強い。

 現在、「国債」への信認は巨額な発行残高にも関わらず維持されている。財務省の国債管理政策を進めてきた成果といった側面もあるが、なんといっても政府が財政構造改革を進める姿勢を示したことによる信認維持といった面も大きい。需給面でも市場内からは懸念する声はほとんど聞こえてこない。しかし、こういった信認はあくまで市場参加者の心理面によるものも大きく、財政構造改革への動きに変化が生ずれば、国債への信認が低下し、その結果長期金利が跳ね上がるリスクがないとは言い切れない。

 国債への信認という問題は、日本経済にとっては最重要課題のひとつでもある。もし国債の信認失墜となれば、借金をしてなんとか予算が成立している状況である以上、国家予算そのものも成り立たなくなる。需給バランスが崩れ、国債の買い手がいなくなれば、日銀による引き受けといった手段が取られるであろう。国債信認失墜による日銀の国債引受が何をもたらすかは、言うまでもない。

 安倍政権が維持されたことで、そういったリスクは引き続き抑えられてはいるものの、民主党の力の強まりにより、これまでよりは幾分か信認そのものに揺らぎが生じる可能性もある。しかし、民主党が政権を取った際でも、国債への信認を維持させる上でも財政構造改革を進めざるを得ないのが現実であろうし、日本の財政そのものを脅かすような政策は取れないはずである。

 国債への信認は維持されるとなれば国債需給への懸念はあまりないであろう。しかし、選挙結果に伴ってのファンダメンタルズへの変化によって債券相場に影響が出る可能性がある。これも安倍政権が維持されることで、目先の政局への不透明感は後退しており、日本経済そのものへの影響も限定的とみられる。むしろ、米サブプライム問題に絡んでの米経済の行方の方が注目されている。

 以上のことから、今回の参院選の結果による債券市場への影響は限定的とみられる。日銀の追加利上げのタイミングも気になるところではあるが、8月に実施してくる可能性もあり、いずれにしても次の一手は利上げであることは間違いない。このため超短期債の利回り低下余地には限度があるともみられる。
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by nihonkokusai | 2007-07-31 10:54 | 債券市場 | Comments(0)
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