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「参議院選挙での自民党大敗による日銀の金融政策への影響」


 7月29日に投開票が実施された第21回参院選の結果は、自民党が37議席しか得られず過去最低だった1989年の36議席に次ぐ大敗を喫した。民主党は結党以来最高の60議席を獲得し参院第1党となった。

 民主党が参院の過半数を占め参院第1党となったことで、重要法案の成立が今後困難になることが予想される。参院で法案が否決されても、衆院で三分の二以上の賛成を得れば再可決は可能となるが、すべての法案を衆院で再可決するのは時間的な問題が生じるとともに、強権的な与党といった印象も与えかねないため難しい。加えて、8月の臨時国会の議長選挙で選ばれる参院の新議長については、第一党から選出するという慣例に習い民主党が獲得することになろう。また、法案審議の委員長なども民主党から選出されることになれば、法案審議はかなり難しいものとなる。

 参院選の結果によって、経済政策にも影響が出る可能性がある。消費税引き上げについては民主党は反対しており、これも難しくなろう。また歳出削減については、民主党の政権公約などには、新たに新規財源が必要なものも多いことで、財政構造改革そのものの停滞といった懸念も出ている。財政構造改革そりものの流れに大きな変化はないとみているが、国債需給への警戒といったものが出てくる懸念も残る。

 今回の参院選の結果に伴う景気全般への影響はあまりなさそうであるが、こういった見方が強まれば、日銀の金融政策そのものへの今回の選挙結果の影響は少ないとみている。ただし、それ以上に気にすべきは米信用不安の高まりによる米株安の動きであろう。M&Aの動きなどが米国株式市場を大きく引き上げていたが、サブプライム問題がひとつのきっかけでその反動がここにきて強まっている。この米国株式の不安定さが日本の株式市場にも影響を与えている。日米の経済そのものへのサブプライム問題の影響も予想しがたい面もあるが、懸念材料となるのも確か。その意味で8月22日からの日銀の決定会合まで、このサブプライム問題が尾を引けば、追加利上げにむけて政策委員も慎重となってくる可能性がある。

 来年3月20日に任期満了となる日銀総裁人事に対して影響が出てくる可能性がある。日銀総裁は「総裁及び副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する」(日銀法23条)とあり、もし衆院が賛成しても参院が賛成しなければ内閣は任命できない。

 また、中川秀直氏の自民党幹事長の辞任によって、自民党幹部による日銀の金融政策への批判といったものは収まるかもしれない。しかし、中川氏による日銀批判といったものは今後も続くものとみられる。もちろんこの発言によって金融政策に影響を与えることもないであろうが。

 8月22、23日の金融政策決定会合における追加利上げの有無を巡っては、時間との勝負にもなりそうである。12日の福井日銀総裁の会見内容からは8月追加利上げの可能性ありとみているが、それまでに米サブプライム問題による影響が後退してくるのかどうか確認したい。

 4-6月期のGDPなどの経済指標にも注意したいが、7月は新潟中越沖地震による一時的ではあろうが自動車などの生産停止の影響などもありこういった足元経済指標なども確認しての利上げの有無を決定するとみられる。また、8月下旬に予定されている内閣改造などもスケジュール上、微妙な影響を与えてくる可能性もある。以上のことから、8月追加利上げについては、参院選の結果以外に不透明要素もあることから、現時点での可能性は微妙なものではなかろうか。
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by nihonkokusai | 2007-07-30 11:02 | 日銀 | Comments(0)
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