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「7月12日福井日銀総裁会見より」


 7月12日福井日銀総裁会見要旨が日銀のホームページにアップされた。内容を確認してみたい。

 「経済・物価情勢については、短観も含め前月以降いくつかの指標が明らかになりましたが、日本経済は引き続き緩やかに拡大しているということを確認しました。この点は先週の支店長会議でも、地域により程度の差はありますが全ての地域で拡大または回復方向にあるということを確認しました。」

 「先行きについても、生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持され、景気は息の長い成長を続けていく可能性が高いと判断しています。」

 「中間評価については、国内企業物価が国際商品市況の影響などから上振れているという点を除けば、経済・物価とも概ね見通し通りという評価となりました。」

 短観、さくらレポートなどでも日本経済の緩やかな回復基調を確認、先行きについても息の長い成長続ける可能性が高いと指摘、そして、展望レポートの中間評価も概ね見通し通りとなっている。しかし、7月12日の金融政策決定会合では結果として賛成多数で現状維持となっている。

 「一人の審議委員は、この際金利水準の調整を行うべきという見解でした。」

 「(一人の審議委員は)最終的に現状において将来の経済のパス、その蓋然性について他の委員よりもより強い確信を、本日持たれたということに尽きると思います。」

 「委員の大勢は政策変更を行うためには、今後公表される指標や情報を引き続き丹念に点検し、見通しの蓋然性とそれに対するリスクをさらに見極めることが適切であるという意見でした。」

 「不安という言葉が適切かどうかは私は各委員の心の底までは量りかねますのでわかりません」

 「不安というよりはこの蓋然性についてより確信を持ちたいというポジティブな方向についての確信度合いの差だと思って頂ければ良いと思います。」

 今回、現状維持に反対したのは、利上げを主張した水野審議委員、他の委員との意見の違いを福井総裁はこのように説明している。「私は各委員の心の底までは量りかねます」と総裁は発言したが、決定会合では各委員の動向はその発言内容とともに、全体的な空気の流れといったものも各委員が意識しているともみられるが、今回については各委員の心の底はさておき、追加利上げを行なうタイミングではないという共通認識が強まったのか。

 「(米サブプライム問題に関連して)米国の住宅市場では在庫が依然として高水準にあり、住宅価格の伸び率が低下するなど調整局面が続き、あえて言えば事前の予想よりも住宅市場の調整はやや長引いている、あるいはやや遅れているというものです。しかし、こうした調整の実体経済全体に対する影響は目下のところ限定的なものに留まっており、米国経済そのものは減速しつつも足腰はしっかりしているという認識です。」

 懸念事項のひとつ米経済の動向、それに大きな影響を与えかねない米サブプライム問題については、その影響は限定的との認識とみられる。今回の利上げ見送りに対してはひとつの懸念要因となったともみられるものの、決定的な要因でもなかったと思われる。

 「将来にわたってフォワード・ルッキングな政策判断をしようと思う場合には、個々の政策委員の持っているものの考え方、それを将来の経済・物価の変動予測のパスに当てはめて考えた場合に、政策措置に結びつけることが適当かどうかという判断にまでその確信が深まっているかどうかということについては、常に差があるということだと思います。その差はありますが、政策委員会の場では一つの結論を出すために議論を戦わせるので、会議に臨むにあたって持っていた差は議論を通じて相当修正されるものです。従って、多数のメンバーの意見が事前に持っていた差が修正されるかたちで収斂すれば、それは政策的結論になるということであり、今回の場合は多数の意見はまだ政策措置の変更に結びつくようなところにまで確信が深まっていなかったということだと思います。」

 「会議に臨むにあたって持っていた差は議論を通じて相当修正されるものです。」との表現は、7月3日の講演で武藤日銀副総裁が発言した「会合後の私は、会合前の私とは異なる」という言葉と合い通じるものがありそうである。

 「将来、選挙結果に関係なく目をつむって何かする、ということではもちろんありませんが、選挙結果がどう出ても、経済全体の動きに影響があるのかないのかということが自ずと経済指標に出てきますので、そういう判断をしていきたいと思っています。」

 「(4~6月のGDPで)多少低めの数字が出たことが決定的要因となるというよりは、それ以外の経済指標も合わせてみて、経済の将来への認識を再構築したいと思っています。」

 今回の現状維持に対して参院選という存在が全く意識されなかったとは言えない。その結果によっては8月も利上げが見送られる可能性がないとは言えない。しかし、4~6月のGDPで多少低めの数字が出たとしても、参院選で政局がよほど大きく変わらない限り、現状では今回の福井総裁会見の内容からも、8月における追加利上げの可能性を見ておく必要があろう。もし、8月22日から23日の会合で政策金利が0.50%から0.75%と0.25%の追加利上げが行なわれれば、ロンバート金利については現在の0.75%から1.25%へ0.5%程度の引き上げが行なわれる可能性がある。
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by nihonkokusai | 2007-07-17 10:51 | 日銀 | Comments(0)
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