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「委員会制度のもとでの情報発信」


 7月3日の武藤日銀副総裁のJCIF国際金融セミナーにおける講演の中で、「委員会制度のもとでの情報発信」に関してのコメントがあった。武藤副総裁はまず日銀の情報発信に関して、「講演を含め、記者会見、展望レポートや議事要旨など様々な手段を通じ」説明するとしている。

 さらに複数のメンバーから構成される委員会制度における政策決定に関して、委員会としての説明責任をどのように果たすのかについて述べている。

 合議制である金融政策決定会合では、審議や討議を通じて意思決定がなされることで、例えば、委員会における討議を通じて、会合後の私は、会合前の私とは異なるということが起こりうるとしている。

 「会合後の私は、会合前の私とは異なる」という言葉も意味深いものがある。討議の内容によっては事前の意志と異なる意思決定がなされる、いやもしかするとこれまでもなされた経緯があったものとみられる。意思が明確でなかった場合でも、たとえば議長提案がなされるといった雰囲気の中、討議の内容を見極めたうえでやや慎重な姿勢であっても議長提案に賛成票を投じるということがあるのかもしれない。

 金融政策決定会合において、反対票を投じることによっての少数意見に対しては、議事要旨でもその立場をきっちりと説明し、少数意見が存在することにより、金融政策決定会合における討議のプロセスがより明確化されるとしている。

 そして、こうしたプロセスで、中央銀行が発信すべき情報とは、経済・物価情勢に関する判断と金融政策運営についての基本的な考え方の2つとしている。一般論として、こうしたプロセスにおいて、具体的な政策変更のタイミングを示唆することは好ましくないともコメントしている。

 そして、委員会制度のもとでの情報発信の事例として、欧州中央銀行のGoverning Council(ECB政策理事会)のケースを示し、ここでは政策決定におけるコンセンサス方式とワン・ボイスでコミュニケーションについて紹介している。特にワン・ボイスでコミュニケーションについては、トリシェ総裁が、ECB政策理事会の総意を伝えることは自分の役割であり、ワン・ボイスで話をするのはキャプテンとしての自分であることを取り上げている。

 ここでやや話が主題と逸れてしまうが、10日の日経新聞によるとフランスのサルコジ大統領は。9日のユーロ圏財務省会合に異例の出席をした上で、最近のユーロ高を深刻視し、追加利上げ観測が強まるECBを牽制したそうである。うまく政治から距離を置きつつあるECBが、フランスのトップが変わったことによって再び政治的圧力を受けるようになるのか、やや気になる記事であった。

 さて、委員会制度のもとでの情報発信に戻るが、結論から言えば、日銀は政策変更に関してあからさまなシグナルを送ることはしない。中央銀行が発信する経済・物価情勢に関する判断などを元に市場参加者は推測していかねばならないこととなる。さらに「会合後の私は、会合前の私とは異なる」こともあるとすれば、討議の内容といったものも吟味する必要があり、過去の議事要旨の内容なども丹念に追っていく必要もある。しかし、議事録が発表されない限り、実際にあった具体的な議論までは外部からはわかりにくい部分もある。結局は日銀の金融政策に関してはあまり決めうち的な見方はしない方が良いということにもなるのであろうか。
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by nihonkokusai | 2007-07-10 13:10 | 日銀 | Comments(0)
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