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「追加利上げのタイミング」


 2日に発表された日銀短観の内容は、大企業・製造業業況判断DIは前回と変わらずの+23と市場予想の通りとなり、高水準を維持した。2007年度大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+7.7%、中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比-16.3%と3月からは上方修正されていたものの、予想されたほどの修正ではなかった。これによる日銀の追加利上げ観測に対しての影響はほとんどなかったものとみられ、引き続き市場参加者の多くは、8月22日から 23日にかけての決定会合での追加利上げの可能性を見ているものとみられる。

 5月の鉱工業生産動向(速報)の生産は、前月比-0.4%の低下と3か月連続の低下となり予想を大きく下回ったことや、6月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は予想の+0.1%から前年同月比-0.1%となったことも含めて、7月11日から12日にかけての金融政策決定会合での追加利上げの可能性については、やや後退した感もある。

 8月の追加利上げの可能性について、個人的にも高いとみてはいるが、まだいくつか不透明要因もあり、あまり決め打ちもできない。サブプライム問題がまだ燻っている米国経済の動向や、ここにきて支持率低下が顕著な安倍政権に対しての参院選の結果がどのようなものとなるのか、といったことも不確定要因となるかもしれない。

 福井日銀総裁は6月18日の会見において「米国経済の今後の方向は、もう少し見極めなければ誰もが完全にそうですとは言えない状況にあると思います。設備投資にしても個人消費にしても、内需の基調的な拡大の持続性について私どもはより確証が欲しいと考えています。」とコメントしていた。その意味で、6月調査の短観がひとつの確証になったとみられるが、これによって8月利上げが確定的とみることもできない。

 武藤副総裁は6月21日の会見において、「中央銀行は、まず経済・物価情勢に関する判断と金融政策運営の基本的な考え方を情報発信し、市場参加者は、そうした情報を踏まえた上で、自らの経済・物価観に照らして、市場金利を形成します。中央銀行は、その形成された金利から市場参加者の経済・物価観についての情報を得ますが、自らの情勢判断に役立てていくということであって、それに従うということではありません。」とコメントしている。日銀は当然ながら市場の見方にあわせて金融調節を行なうわけではない。市場の見方が8月に集っているからといって8月に確実に利上げが実施されるわけでもない。

 とはいうものの、追加利上げを後退させるほどの経済・物価を示す指標が出ているわけでもなく、8月の利上げの可能性を見ておく必要はあろう。しかし、昨年 12月から1月にかけてのように、マスコミ報道などを含めて追加利上げ観測が強まったり後退したりすることによって、金利市場が極端に揺れ動くような事態も避けたいものとみられる。それでなくともここに来ての債券相場はやや不安定な動きになっているようにも伺える。このため、市場でも足元経済指標を丹念に確認しながら、日銀の動向をじっくりと見極めていく必要がありそうである。
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by nihonkokusai | 2007-07-02 14:24 | 日銀 | Comments(0)
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