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「6月15日の福井日銀総裁会見」


 6月15日の福井日銀総裁の会見要旨から気になるところを見てみたい。


 「今のところグローバルなインフレ期待は安定しているとみられます。私どもはインフレ期待が高まることが最大の敵だと思っています。まだ最大の敵は顔をみせていないと思っていますが、為替市場も含めて世界的な金融市場の動向の背後にある経済・物価の動きとともに、深く探りを入れながら今後とも十分注視していく必要があると考えています。」


 今回のグローバルな金利上昇の背景に、何があるのか。ここにきて急激な動きを見せている世界的な金利の動向の背景はインフレ期待の高まりではないと見ているが、注意は必要との認識か。


 「安定した成長軌道と、よく抑制されたインフレ期待と、この二つが長期金利の安定にとって大事です。今後長期金利がどういうレベルで新しい安定感を見出すか、その背後に安定した成長見通し、安定したインフレ期待が確認できるかどうかがポイントだと思います。」


 今回、世界的な長期金利上昇とともに、特に米国のイールドカーブが大きく動いた背景は、過去の大きなポジションを取った反動といった側面も大きいものとみられる。特に米国ではフラットニングの反動といったものが大きな要因であろう。ただし、モーゲージ絡みでその動きが加速されるなどしたことで、過剰とも言える反応となったことも確かか。


 「政策変更という行動に結びつけるためには先行きの経済・物価の動きについて私どもはより確証を持つ必要があると思っています。米国経済の今後の方向は、もう少し見極めなければ誰もが完全にそうですとは言えない状況にあると思います。設備投資にしても個人消費にしても、内需の基調的な拡大の持続性について私どもはより確証が欲しいと考えています。」


 米国経済の先行きについては、楽観視はしていないとの見方である。私はむしろこれまでやや悲観的な見方が強すぎて、バーナンキ議長が果たしてそれを想定していたのかと思われるような利下げ期待も膨らんでいたことで、その反動も大きかったのではないかと考えているが。


 「7月にどうするというような予断は一切持っていません。加えて、中間レビューの時期であるということと、政策変更の可能性が強まる度合いということとは全く無関係です。レビューが行われる月に政策変更の可能性が強まるというように考えて頂く必要は全くないと思います。例月と同じようにその時において利用可能な全てのデータを改めて分析し、先行きの経済・物価情勢を抽出しながら政策判断について丹念に詰めていくということです。」


 7月には中間レビューとともに、短観発表(3日)や日銀支店長会議(6日)が予定されている。日銀が集計している経済指標や、支店長会議を通じての地域経済の分析によって、4月の展望レポートに沿ったかたちでの経済・物価の動きが把握しやすくなるのではないか。もちろんだから、私自身は7 月にしなければならないと言うのではなく、むしろ7月が選挙だからできないわけではないことを示したかった。市場の8月説は4-6月期GDPの発表という重要な経済指標を見てというのあるが、それとともに選挙という日程が意識されているのではなかろうか。選挙というものが現在の日銀の金融政策にどのような影響を与えるのか。これは傍から見る限りしなかなか興味深いものでもある。ちなみに19日の国会に出席した福井総裁は7月の参院選が利上げの判断に影響するかどうかについて「全くない」と言明したそうである。


 「長期金利がこのように動いたのは最近では比較的新しい現象であり、注意深くみなくてはなりません。何よりも、その背後にインフレは抑えられているが健全な経済成長への期待がより強まって、金利水準なりイールド・カーブが変わるということであれば、それは市場自体の健全な動きであり問題はありません。しかし、もしインフレ期待を市場が何がしか感度良く、感度鋭く、私どもが感ずる以前に感じ取っているということがあるならば、これは非常に問題含みになってきます。従って、同じ金利水準の変化、イールド・カーブの変化であっても、背後にあるものは大いに異なり得る可能性があり、そこは大事に判断を重ねていくことが必要です。国際会議でも、しばらくはこの件について真剣に材料を持ち寄って議論し合うことになるかと思います。」


 世界的な長期金利の動向が注目される、しかも、そこに日本の長期金利の動向が含まれるなど、5月中旬あたりまでの動きを見る限りは、債券相場は考えられないような状況にある。しかし、これは突然長期金利が騒ぎ出したというよりも、これまでの長期金利の低位安定という相場自体がむしろ異常であったようにも感じる。ここ数年、長期金利の動きとはこんなものと慣らされてしまっていたが、昔は派手に良く動いたものである。動けば動くで、それも問題というのもわかるが、ある程度の動きを伴いながら、落ち着きどころを探るというのも、長期金利も含めた相場の常ではなかろうか。
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by nihonkokusai | 2007-06-19 13:57 | 日銀 | Comments(0)
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