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「米国債イールドカーブのスティープニングも謎か」


 米国債券市場では、先週末あたりから急速にイールドカーブがスティープ化してきている。グリーンスパン前FRB議長は、2005年2月の議会証言でイールドカーブのフラットニングに対して、「謎(conundrum)」という表現を使ったが、カリスマのグリーンスパン氏にとってフラットニングが「謎」であれば、今回のスティープニングもやはり「謎」ということになるのか。

 しかし、今回の米国のイールドカーブのスティープニングを伴っての長期金利の上昇には、いくつかきっかけのようなものはあった。たとえば、1-3月期の米国経済の減速が一時的なものとなり、その後4-6月期には回復基調となっているとの見通しが強まり、市場の一部で囁かれていたFRBによる利下げ観測が後退したことである。この場合、利下げ観測というよりも利下げ期待のポジショニングを取っていた向きも多かったのではないかとみられる。

 米国の景気減速や、その後の利下げを見越して、たとえば短期市場で資金を調達し長期債を購入したとすれば、長期金利が政策金利の5.25%を下回って、ネガティブキャリーつまり逆ザヤとなっていても、長期金利低下に伴うキャピタルゲインを得ることによって収益チャンスがある。

 ところが米国の利下げは、あくまで期待に止まりそうな気配となっていたことで、じりじりと金利全体に上昇圧力が加わってきた。米10年債利回りでの4.8%から4.9%がスワップ金利では5.25%と政策金利近辺となるが、ここをあっさり抜いてきたことから、スワップ取引を使ってフラットニングポジションを作っていた投資家などが、それを解消する動きを強め、その後、米10年債は心理的な壁となっていた5.0%を7日の東京時間帯であっさり抜いてきたのである。さらに、米債券投資信託最大手のピムコの有名なビル・グロス氏が25年間の債券強気派から弱気派に転じ、米10年債利回りの見通しを上方修正したといったことも伝わった。ビル・グロス氏は米10年債利回りの上限を5.5%から6.5%あたりにシフトしたようである。

 また、中国が外貨準備資金の一部を米国のプライベート・エクイテティ会社であるブラックストーンに投資するというニュースがあったが、国家資産基金(Sovereign Wealth Fund)などを含めて、米国債への各国からの投資比率が下がるのではないかといった思惑といったものも出ていたとみられる。

 12日の日経新聞では、米10年債利回りは「5.5%」が焦点との記事もあったが、その前に政策金利である「5.25%」というのも大きな節となっている。ここをあっさり抜いてくるようであれば、2002年と2006年には超えなかった5.5%も心理的な節ではあるが、あっさりと抜いてくる可能性もありそうである。
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by nihonkokusai | 2007-06-12 13:46 | 債券市場 | Comments(0)
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