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「円キャリートレード」


 円キャリートレードとは、相対的に低金利となっている国から資金を借り入れ、それを為替市場において他通貨に換えて、その外貨建て資産に投資することによって高利回りを狙う取引と言われます。この場合の低金利の国は以前にはスイスなども含まれましたが、主に日本を指すことが多いようです。日本で資金を調達し、それをドルやユーロに変えることで、結果として円売りドル買い、円売りユーロ買いとなり、これが大幅な円安となっている要因ともみられています。

 低い金利の国から高い金利の国への資金シフトは、為替リスクも伴うものの比較的起こりやすい動きです。このため、金利と為替との関係を考える際には相対的に金利の安い国の追加が売られやすいとも考えられます。ところが為替の変動要因は金利ばかりではありません。それぞれの国の経済、政治、国際関係、軍事力や紛争といったものによる影響も大きいものとみられます。歴史的にみても金利差と為替相場にはそれほど関連性が認められていないようです。

 しかし、何ゆえこれほど円キャリートレードが問題視されているのでしょうか。そもそも円キャリートレードという言葉が独り歩きしてしまい、やや実態を正確に捉えていない部分もあるかもしれません。確かに円資金を調達しているヘッジファンドが存在し、その影響で無担保コール翌日物の金利が跳ね上がるといったこともあったように聞きます。円資金を調達しドルに買えて、ドル資産に映した上に、さらに円安ドル高が進めば、高利回りに加えて為替差益も得ることができるため、それを狙ってのトレードは当然、そこそこまとまって入っているものと思われます。

 そういった資金だけではこれほどまでに為替市場に影響を与えることも考えづらいことも確かです。ここにはアジアの新興諸国や中東のオイルマネーなどが積極的に欧米諸国などに投資を行なっていたことなども大きな要因とみられます。

 さらに「貯蓄から投資へ」という資金の流れが起きている日本国内において、1500兆円とも言われる個人の金融資産の商品シフトも大きな影響があると思われます。預貯金からの資金は、個人向け国債などの国内資金に向かうとともに、外債もしくは投資信託などを経由してかなりの金額が外貨建ての商品に流れています。これが円売り圧力のひとつの要因ともなっているのではないでしょうか。

 日銀は2006年3月にゼロ金利を解除し、政策金利を徐々に引き上げています。欧米金利も上昇することで、なかなか円金利との差は縮まりませんが、欧米の金利に比べて、日本の金利の上昇はかなりスタートが遅れている分、いずれその金利差が縮小される可能性もあります。さらに個人の資金が一部定期預金などに戻ってきているなど、ほとんど金利が付かなかった頃に比べて、為替リスクのかからない円資産が、特に日本国民に再評価されてくることも考えられます。


こういった動きが強まれば、日銀の金利引き上げが、いずれ円高を招くといった事態を迎えることになるかもしれません。しかし、それも欧米金利との関係に加えて、為替相場を動かす要因が金利差以外のものにシフトするとまったく違った局面となる可能性もあります。それだけ相場の予測は容易ではないともいえるのです。
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by nihonkokusai | 2007-06-08 17:06 | 債券市場 | Comments(0)
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