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「2007年3月19、20日開催分、金融政策決定会合議事要旨より」


 日銀は7日に2007年3月19、20日に開催された金融政策決定会合の議事要旨を発表した。
 
 消費者物価指数に関しては、多くの委員は「2月の消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比は、小幅のマイナスになる可能性があると指摘し」、複数の委員は、「3月以降についても暫くは同様の状況となる可能性があるとの見方を示した」。4月27日に発表された3月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)で前年同月比-0.3%となっており、さらに4月もマイナスとなる予想となっている。

 物価を巡る基本的な環境について多くの委員は、「設備や労働といった資源の稼働状況の高まりを踏まえると、今後とも潜在成長率を上回る成長が続くのであれば、消費者物価への上昇圧力が高まっていくと考えられると述べた」というように、先行きは緩やかな上昇基調を辿るというのが政策委員の大方のコンセンサスとみられる。

 しかし、「一人の委員は、マクロ的な需給ギャップの改善と消費者物価の上昇との関係が近年変化している可能性があるほか、サービス価格は非製造業の賃金の影響を受けやすいことにも留意すべきであると指摘した。」とあるように、マクロ的な需給ギャップの改善が進んでいるにもかかわらず、現実には消費者物価指数はむしろ前年比マイナスとなっており、サービス価格についてはある程度非製造業の賃金の伸びがないと難しい点を指摘している。これは岩田副総裁の発言とも予想される。

 そして資産価格の動向に関連して二人の政策委員がそれぞれ違った見方をしている点も興味深い。一人の委員は、「都心におけるオフィス賃料の上昇がみられており、不動産市場の動向については、今後公表される公示地価の状況なども含めて、引き続き注意深く点検していく必要があると述べた。」

 別の委員は「不動産市場では、二極化がさらに進んでおり、一部地域は活況を呈しているが、他の地域への全般的な波及はみられないと指摘した。」

 あまりタカ派、ハト派との色分けも良くはないのかもしれないが、この見方の相違は、まさにタカ派的な見方とハト派的な見方の相違といえるのかもしれない。個人的には地価のトレンド自体が上昇基調に大きく変化してきているだけに、前者の注意の方を重視すべきとも思う。私自身は田舎に住んでいるだけに後者の意見も実感としては感じるものではあるが、大きな風向きは変ったと見ている。

 当面の金融政策運営に関して、ある委員の発言も興味深い。「前回の利上げについては、4月の展望レポートで十分な経済・物価情勢の説明を行うまで待つ余裕はあったと思うが、一旦決めた政策の方向性を細かく変更することは市場に無用な混乱を与える惧れがあること、0.5%程度の金利水準は市場機能の維持・強化の観点からも必要と考えられることから、現在の金融市場調節方針を維持することが適当であると述べた。」

 展望レポート発表まで待つ余裕があったと思うとの発言であり、これは2月の追加緩和に唯一反対した岩田副総裁の発言と思われる。2月に利上げに反対したが、3月の現状維持には賛成しており、その根拠の説明ともみられる。この発言からみても、今後、大きく情勢が変化しない限りは、岩田副総裁が現状維持に反対してくることはなさそうである。

 議事要旨には市場との対話についての発言もあった。「多くの委員は、合議制による意思決定のもとで日本銀行が発信すべき情報は、経済・物価情勢に関する判断や金融政策運営に関する基本的な考え方であり、この点に関する市場の理解をより十分に浸透させる努力が必要であると述べた」、まったくもって同意である。

 その方法といったものもいろいろと模索していく必要もありそうである。講演や会見だけでは、なかなか政策委員がどのような考え方であるのかが伝わりにくい面もある。政策委員の考え方を知るには、それぞれの専門分野から視点を当てた金融政策へのアプローチといったものを、わかりやすく私たちに説明してもらえる機会などがあるとうれしい。

 そして、一人の委員は「中長期的な物価安定の理解について金融政策運営との関係を改めてよく説明する必要があると付け加えた」、これも岩田副総裁であろうか。これも確かに重要なポイントであると思う。
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by nihonkokusai | 2007-05-08 10:24 | 日銀 | Comments(0)
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