「金融政策決定会合議事要旨(2月20日~21日開催分)より、個人消費に関して」
追加利上げが決定された2月20日から21日の日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表された。この中から「個人消費」についての箇所を確認してみたい。
「複数の委員は、10~12月のGDP統計の個人消費は増加しており、7~9月の落ち込みが一時的なものであったことを裏付けているとコメントした。」
1月の追加利上げに関して慎重姿勢を取っていた複数の委員は、この個人消費の動向もひとつの重要なポイントとして認識していたとみられる。
「多くの委員は、昨年夏場の個人消費関連指標の落ち込みは、天候不順、新製品投入前の買い控えや統計の振れなどによる一時的なものであることが確認されたと述べた。」
この多くの委員の中から、何人かの委員が個人消費の堅調さに関して発言している。
「このうちの何人かの委員は、デジタル家電、新型ゲーム機、携帯電話などの家電販売は増加しており、サービス消費も総じて堅調であると指摘した。」「ある委員は、鉱工業生産統計における10~12月の消費財出荷も増加していると指摘した。」「別のある委員は、ガソリン価格の低下や株価上昇も個人消費を支えるとみられるとコメントした。」
しかし、下記のように一人の委員が個人消費に対して慎重意見を述べている。これは岩田副総裁であることは間違いないとみられる。
「一人の委員は、10~12月のGDP統計の個人消費を前年比でみると雇用者数の伸びに満たず、また、賃金の動きが鈍いといった弱めの動きがあることにも留意する必要があると述べた。」
これを1月17日~18日の金融政策決定会合議事要旨の個人消費に関する部分と見比べてみた。
「何人かの委員は、7~9月のGDPにみられたような落ち込みが一時的なものであった点は確認できたのではないかとの見方を示した。」「別の何人かの委員は、ミクロ情報によると、年末商戦や初売りは総じて堅調であったが、その後の動きはやや伸び悩んだ模様であると述べた。」「何人かの委員は、コンフィデンス指標の改善が引き続き足踏みしている点を指摘した。」「何人かの委員は、そうした先行きの判断に確信を持つには、もう少しデータの蓄積が必要であると付け加えた。」
繰り返されて使われているのが「何人かの委員」である。個人消費に関してみる限り、1月の会合では複数の委員同士で見方が完全に分かれていたとみられる。しかし2月になると慎重な見方となっていた委員が一人となっていた。金融政策は多数決によって決定される。慎重に委員の一部がデータの蓄積によって先行きの判断に確信を持った結果、2月の会合での利上げに繋がったとも考えられる 。